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第一章 娘が生贄にされるのを助けるために地獄から脱獄します
親友の身代わりになる代わりに娘の事を親友に託しました
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そう、もともと聖女の神託ではコニーに生贄をさせるというものだったのだ。
コニーはそれを聞いて3日3晩泣き明かした。そして、子供が病気持ちの親切な親友のシャラを思い出したのだった。シャラは出来そこないのコニーを庇ってよく色々な事を手伝ってくれていた。今度も娘の事を盾に取ればなんとかなるのではないかと思っていたのだ。
「私怖くて、生贄の場なんて行けないの。このままではこのダレルの国は壊滅するわ」
コニーは泣き崩れて地面に伏していた。
「コニー、それと私とどう関係するの」
シャラは冷酷に言った。
「そう、何も関係しないわ。あなたは友の死を平然と笑って見送れば良いのよ」
「コニー。確かにあなたが生贄に選ばれたのは災難だわ」
「他人事だからそんなふうに言えるのよ。それにもう良いわ。私が死んだ後にシャラが後妻としてこの伯爵家に嫁に入れば良いのよ」
「何を言っているのよ」
「そうだ、コニー、なんてことを」
シャラとブルースはコニーの言葉に驚いた。
「私知っているのよ。ブルースがシャラのこと好きだったの」
「何を言っているんだ。コニー」
ブルースは慌てた。
「学園の庭園で、シャラに告白していたじゃない。私見ていたのよ」
「私はビリーがいたから断ったでしょ」
驚いて言葉の出ないブルースの代わりにシャラが答えた。
「でももうビリーはいないじゃない。私が生贄として殺された後に二人で仲良く暮らしたら良いわ」
「何言っているのよ。コニー」
「だって私は、私はもう、死ぬしかないのよ。魔力も殆どない私は有能なシャラと違って蛮族共の生贄にされるくらいしか出来なの」
コニーは号泣していた。
「コニー」
シャラは立ち尽くしてそれを見ているしか無かった。
「でも、生贄さえ、私ではちゃんと出来ないわ」
泣きながらコニーは言った。
「私は失敗して犬死するだけの愚かな魔導師に過ぎないのよ」
コニーは興奮して言った。
「私が失敗したせいで皆殺されるのよ。あなたの娘のクローディアもよ」
赤い目を光らせてコニーが言った。そう、国のためにもこうするしかないのだ。コニーは決断した。
「クローディアも」
思わずシャラはコニーの真っ赤に光る目を見てしまった。
「あなた、クローディアが殺されてもいいの?」
ギラリとコニーの赤い目が怪しげに光る。
「それは嫌よ。でも、それと私が生贄になるのは関係ない」
シャラの言葉が弱くなった。
「無い訳はないじゃない。私が生贄になってうまくやれると思う?魔導学園でもあなたにずうーっと助けてもらわないと生き残れなかった私がきちんとやれると思うの」
コニーは笠に着て言った。
「それは確かにそうは」
シャラには到底コニーがうまく出来るとは思えなかった。
「そうでしょう。クローディアのためにもあなたが代わってくれないと、この国は滅んでクローディアも殺されてしまうのよ」
有無を言わさぬ調子でコニーが言った。
「でも、コニー、それはあなたの役目で」
「私の役目でも、私がうまくやれた試しが有った?」
コニーは畳み掛けた。そう、コニーがやる時はどんなにシャラ達がコニーを鼓舞しても、最後にはコニーは失敗した。上手くいくときは必ずシャラが陰からばれないように、手を伸ばしてくれた時だけだった。
ふとシャラは悟ってしまった。このままコニーを生贄にさせてもコニーが無駄死にするだけだと。
コニーが失敗すればまた誰かが代わりのものが生贄にされるだろう。それは新米宮廷魔導師の自分である可能性が高い。それならばここはコニーと代わってやっても良いのではないか。愛したビリーもノルディン族に殺された。これはその仇を取ることでもある。唯一の気がかりはクローディアの事だったが、きちんとコニーが育ててくれるのならばそれでも良いのではないかと。
何故かシャラは思ってしまった。
「でも、シャラ、もう良いの。私のわがままだったわ。ブルーノの事はお願い」
悲劇のヒロインのように芝居かがってコニーが言った。もっともこのまま行けば悲劇のヒロインになるはずだった。でも、いつものコニーに似ず、それはあまりにも芝居がかっていた。
「判ったわ。コニー。私がやる」
コニーの言葉にシャラが何かに憑かれたように申し出た。
「えっ、でも」
「その代わり約束して。あなたの命にかけて誓って。必ずクローディアを幸せに育てると」
きっとコニーを見てシャラは言った。何故かその青い目も心持ち赤く光っていた。
「それは誓うわ」
「ブルース、あなたも」
「それは当然だが、良いのか本当に」
ブルースは驚いていた。何かがおかしい。でもブルースには何がおかしいかは判らなかった。
「だってコニーに生贄になってもらっても上手くいく未来が見えないんだもの。それならば私が行くわ」
「シャラ」
コニーが赤い瞳でシャラを見つめた。
「ただし、条件があるわ。国王陛下にも娘の事を保証してもらいたいの」
シャラの心配も当然だとブルースは思った。
コニーはそれを聞いて3日3晩泣き明かした。そして、子供が病気持ちの親切な親友のシャラを思い出したのだった。シャラは出来そこないのコニーを庇ってよく色々な事を手伝ってくれていた。今度も娘の事を盾に取ればなんとかなるのではないかと思っていたのだ。
「私怖くて、生贄の場なんて行けないの。このままではこのダレルの国は壊滅するわ」
コニーは泣き崩れて地面に伏していた。
「コニー、それと私とどう関係するの」
シャラは冷酷に言った。
「そう、何も関係しないわ。あなたは友の死を平然と笑って見送れば良いのよ」
「コニー。確かにあなたが生贄に選ばれたのは災難だわ」
「他人事だからそんなふうに言えるのよ。それにもう良いわ。私が死んだ後にシャラが後妻としてこの伯爵家に嫁に入れば良いのよ」
「何を言っているのよ」
「そうだ、コニー、なんてことを」
シャラとブルースはコニーの言葉に驚いた。
「私知っているのよ。ブルースがシャラのこと好きだったの」
「何を言っているんだ。コニー」
ブルースは慌てた。
「学園の庭園で、シャラに告白していたじゃない。私見ていたのよ」
「私はビリーがいたから断ったでしょ」
驚いて言葉の出ないブルースの代わりにシャラが答えた。
「でももうビリーはいないじゃない。私が生贄として殺された後に二人で仲良く暮らしたら良いわ」
「何言っているのよ。コニー」
「だって私は、私はもう、死ぬしかないのよ。魔力も殆どない私は有能なシャラと違って蛮族共の生贄にされるくらいしか出来なの」
コニーは号泣していた。
「コニー」
シャラは立ち尽くしてそれを見ているしか無かった。
「でも、生贄さえ、私ではちゃんと出来ないわ」
泣きながらコニーは言った。
「私は失敗して犬死するだけの愚かな魔導師に過ぎないのよ」
コニーは興奮して言った。
「私が失敗したせいで皆殺されるのよ。あなたの娘のクローディアもよ」
赤い目を光らせてコニーが言った。そう、国のためにもこうするしかないのだ。コニーは決断した。
「クローディアも」
思わずシャラはコニーの真っ赤に光る目を見てしまった。
「あなた、クローディアが殺されてもいいの?」
ギラリとコニーの赤い目が怪しげに光る。
「それは嫌よ。でも、それと私が生贄になるのは関係ない」
シャラの言葉が弱くなった。
「無い訳はないじゃない。私が生贄になってうまくやれると思う?魔導学園でもあなたにずうーっと助けてもらわないと生き残れなかった私がきちんとやれると思うの」
コニーは笠に着て言った。
「それは確かにそうは」
シャラには到底コニーがうまく出来るとは思えなかった。
「そうでしょう。クローディアのためにもあなたが代わってくれないと、この国は滅んでクローディアも殺されてしまうのよ」
有無を言わさぬ調子でコニーが言った。
「でも、コニー、それはあなたの役目で」
「私の役目でも、私がうまくやれた試しが有った?」
コニーは畳み掛けた。そう、コニーがやる時はどんなにシャラ達がコニーを鼓舞しても、最後にはコニーは失敗した。上手くいくときは必ずシャラが陰からばれないように、手を伸ばしてくれた時だけだった。
ふとシャラは悟ってしまった。このままコニーを生贄にさせてもコニーが無駄死にするだけだと。
コニーが失敗すればまた誰かが代わりのものが生贄にされるだろう。それは新米宮廷魔導師の自分である可能性が高い。それならばここはコニーと代わってやっても良いのではないか。愛したビリーもノルディン族に殺された。これはその仇を取ることでもある。唯一の気がかりはクローディアの事だったが、きちんとコニーが育ててくれるのならばそれでも良いのではないかと。
何故かシャラは思ってしまった。
「でも、シャラ、もう良いの。私のわがままだったわ。ブルーノの事はお願い」
悲劇のヒロインのように芝居かがってコニーが言った。もっともこのまま行けば悲劇のヒロインになるはずだった。でも、いつものコニーに似ず、それはあまりにも芝居がかっていた。
「判ったわ。コニー。私がやる」
コニーの言葉にシャラが何かに憑かれたように申し出た。
「えっ、でも」
「その代わり約束して。あなたの命にかけて誓って。必ずクローディアを幸せに育てると」
きっとコニーを見てシャラは言った。何故かその青い目も心持ち赤く光っていた。
「それは誓うわ」
「ブルース、あなたも」
「それは当然だが、良いのか本当に」
ブルースは驚いていた。何かがおかしい。でもブルースには何がおかしいかは判らなかった。
「だってコニーに生贄になってもらっても上手くいく未来が見えないんだもの。それならば私が行くわ」
「シャラ」
コニーが赤い瞳でシャラを見つめた。
「ただし、条件があるわ。国王陛下にも娘の事を保証してもらいたいの」
シャラの心配も当然だとブルースは思った。
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