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婚約破棄されて、その婚約者が浮気していた相手に頬を張られました
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それに私は一切、クラーラを虐めたことなんてない。
逆に色々嫌味を言われていたのだ。
「あーーら、アデリナ様。ハウゼン王国ではそれが良いのかもしれませんが、メンロスではそのやり方は間違っておりましてよ」
私は何度嫌味を言われたことか。
王太子のアヒムにしても、私と月に1回のお茶会こそ開いてくれたが、それ以外はクラーラたちと宜しくやっていたのだ。
特に我が王国がエンゲル王国に占拠された後はお茶会すら無くなってしまった。
もっとも亡国の王女など何の価値もないと言われてしまえばそれまでだったが……
「その理由だが、アデリナは私と仲が良いと言うだけで、クラーラを虐めていたのだ」
この王太子、なんてことを言ってくれるのよ。私は虐めたことはないわよ。確かに私という婚約者がいるのだからアヒムにはあまり近寄らないでと最初こそ色々話したけれど、アヒムが止めないのでそれすらおなざリになってしまっていたのに!
「殿下、私はクラーラの事なんて虐めてはいません」
私が反論すると、
「アデリナ、君はもう、王女ではないのだよ。君の国は滅んでしまったのだ。無位無冠の君はクラーラ様と呼ばなければいけないだろう」
アヒムは言ってくれたのだ。
「申し訳ありません。クラーラ様」
私は屈辱を感じながら謝った。
でも、もう、国はないのだ。これからは私も、平民アデリナとして、生活していかなければならない。まあ、それは前世の記憶が役に立つだろう!
そんなことしか、役に立たないなんて、なんて事だ。だって、今まさに、断罪されようとしているのだから、もうどうしようもなかった。
今頃、前世の記憶で小説の中身を知ったところで、どうしろと言うのだ!
「ふんっ、今頃謝っても遅いのよ! この平民のアデリナは王女であったことを良いことに私に何度もアヒム様に話しかけるなと言ってきたのよ」
「それは私が婚約者であったから」
「黙れ! アデリナ、この婚約は元々貴様の国がゴリ押しで言ってきたんだろうが」
「いえ、元々メンロス側が」
私が本当のことを言おうとした時だ。
「おだまり!」
パシーーーーン
その瞬間、私はクラーラに頬を張られていたのだ。
逆に色々嫌味を言われていたのだ。
「あーーら、アデリナ様。ハウゼン王国ではそれが良いのかもしれませんが、メンロスではそのやり方は間違っておりましてよ」
私は何度嫌味を言われたことか。
王太子のアヒムにしても、私と月に1回のお茶会こそ開いてくれたが、それ以外はクラーラたちと宜しくやっていたのだ。
特に我が王国がエンゲル王国に占拠された後はお茶会すら無くなってしまった。
もっとも亡国の王女など何の価値もないと言われてしまえばそれまでだったが……
「その理由だが、アデリナは私と仲が良いと言うだけで、クラーラを虐めていたのだ」
この王太子、なんてことを言ってくれるのよ。私は虐めたことはないわよ。確かに私という婚約者がいるのだからアヒムにはあまり近寄らないでと最初こそ色々話したけれど、アヒムが止めないのでそれすらおなざリになってしまっていたのに!
「殿下、私はクラーラの事なんて虐めてはいません」
私が反論すると、
「アデリナ、君はもう、王女ではないのだよ。君の国は滅んでしまったのだ。無位無冠の君はクラーラ様と呼ばなければいけないだろう」
アヒムは言ってくれたのだ。
「申し訳ありません。クラーラ様」
私は屈辱を感じながら謝った。
でも、もう、国はないのだ。これからは私も、平民アデリナとして、生活していかなければならない。まあ、それは前世の記憶が役に立つだろう!
そんなことしか、役に立たないなんて、なんて事だ。だって、今まさに、断罪されようとしているのだから、もうどうしようもなかった。
今頃、前世の記憶で小説の中身を知ったところで、どうしろと言うのだ!
「ふんっ、今頃謝っても遅いのよ! この平民のアデリナは王女であったことを良いことに私に何度もアヒム様に話しかけるなと言ってきたのよ」
「それは私が婚約者であったから」
「黙れ! アデリナ、この婚約は元々貴様の国がゴリ押しで言ってきたんだろうが」
「いえ、元々メンロス側が」
私が本当のことを言おうとした時だ。
「おだまり!」
パシーーーーン
その瞬間、私はクラーラに頬を張られていたのだ。
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