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モバイルスーツ編

厄災女は噂とは違い天女で、俺はそんな天女に一目惚れしてしまった

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俺は世間に恐れられている傭兵バスターズの面々が、どんないかつい奴等だろうと、身構えて待っていた。
来るのは厄災女だ。
厄災女自体は絶対に不細工で筋肉もりもりの女に違いない。男のプロレスラー顔負けの容姿と体をしているはずだと俺は勝手に想像していた。

でも、現実は違った。

何と、飛行船からは見たこともない天女が降りてきたのだ。

嘘だって? 

いやあれは本当の天女だった。

俺は今まで生きてきた中でも、前世も含めてこんな美女に出会ったことがなかった。

本当に天女もかくやと言えるほどの美女だったのだ。
どこが筋肉隆隆な女なんだよ!
俺はそう思っていた自分に怒っていた。

ボケーとした俺の前に天女様がタラップを降りてきた。
俺は思わずひれ伏しそうになったのだ。

「あなたが、人形使いのエイブラハム・バーンなの?」
何と天女様は俺の名前を知ってくれていたのだ。俺はその事に天にも登る気持ちだった。

「私はキャロラインよ。宜しくね」
ニコっとキャロラインが笑ってくれた。
俺に向けて笑顔で名乗ってくれたのだ。
もう俺はいちころだった。

その瞬間、世界の全てが薔薇色に見え出した。
この女だ。この女こそが俺の女神様だ。
俺は心の底からそう思ってしまった。

もう他の雑魚なんてどうでも良かった。
天女に比べれば剣聖など大したことはなかった。本当に目立たない男だった。

「ようこそお出で頂きました。国王陛下の下で人形使いをしております、エイブラハム・バーンです。エイブとお呼び頂ければ結構かと」
俺はそう言うと後ろを振り返った。
「早速お部屋に案内させましょう」
俺は侍女達に指示した。

キャロライン達が到着したその夜に急遽歓迎会が開かれた。

本来歓迎会など予定にはなかったのだが、キャロラインの容姿の報告を俺から受けた陛下自ら歓迎会を開こうと言い出したのだ。

歓迎会の間中、俺の目はキャロラインに釘付けだった。他の雑魚など目にも写らなかった。

陛下もキャロラインを横に侍らせて、まな尻を下げていた。

そして、そんな皆の注目を浴びていたキャロラインが、その場で俺を呼んでくれたのだ。そして、是非ともその力を見せたて欲しいとお願いされた。

「エイブの人形使いとしての腕を是非とも見てみたいの」
「分かりました。明日ならば、訓練場でお見せしましょう」
キャロラインにせがまれて、俺は喜んで頷いていたのだ。


翌日、競技場には多くの見学者がやってきた。

キャロラインは陛下と一緒に現れた。

俺はやる気満々だった。
ここまで力が充実したのは久しぶりだった。

そして、キャロラインの見ている前で、
「変身」
俺はあっという間に回りの土を集めて、モバイルスーツをまとったのだ。
それは地上に現れた白い機動戦士だった。見た目も実際も最強の戦士だ。

俺はキャロラインの前で土剣を構えてやったのだ。この勇姿を見ればキャロラインも俺に惚れることは間違いないだろう。俺はニヤけた顔をしていた。

「セド!」
そんな俺の思惑を知ってか知らずか、キャロラインが、剣聖を呼んでいた。

何か耳元で話す。
「はああああ! 何で俺がそんなことをしなければいけないんだ」
「文句を言わずにやりなさいよ」
あろうことか冴えない剣聖はキャロラインに文句を言っている。
こいつはここで叩きのめす必要があるだろう。

キャロラインの言葉に逆らうとは良い根性をしているものだ。
剣聖と俺がどちらが強いか思い知らせてやる。

俺は一歩前に出た。

「エイブ。セドと模擬戦をやってみせてくれる」
キャロラインが俺に微笑みかけてくれたのだ。

「任せてくれ。剣聖様がなにか知らんがここで目にもの見せてくれるぜ」
俺は土剣を構えた。

「ふんっ、やれば良いんだろう」
剣聖は剣をいい加減に構えてくれた。

「行くぞ」
俺は強化魔術をかけて渾身の力で真上から剣聖に剣を叩きつけたのだ。

カキン!

しかし、剣聖はその渾身の俺の剣を受け止めてくれたのだ。

「ふんっ、少しはやるようだな」
俺は剣を構え直した。

もう一度振り下ろした。

ガキン

また剣聖が受ける。

俺は次々に剣を切り下ろしたが、剣聖はそれを尽く受けてくれたのだ。

「おのれ!」
俺は更に強化すると思いっきり剣に力を込めて渾身の一撃を剣聖に浴びせたのだ。

ガキン 
バキ。

と言う音とともに剣聖の剣がポキリと折れた。

「それまで」
審判が俺の方に手をあげた。

「よっしゃーーーー」
俺は拳を振り上げた。

「さすが、エイブ、凄いわ」
変身を解いた俺にキャロラインが褒めてくれた。

俺は天にも登る気分だった。

「古代竜がやってきたら、エイブ、あなたのその人形で古代竜を抱き止めて」
「俺が古代竜を止めるのか」
「あなたなら出来るわ」
総キャロラインに褒められると俺でも出来るという気分になったのだ。

「そこをセド、あなたがトドメを指すのよ」
「へいへい」
いい加減にセドが応えていた。

「俺がトドメを指すのではなくてか」
「あなたの人形がちょうど古代竜を抱きとめるのに良いのよ。全てはエイブ、あなたの方にかかっているわ」
そうキャロラインに褒められたら、そうするしかないではないか。
俺達の作戦はこうして決められたのだ。
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