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第二部 学園波乱編 隣国から多くの留学生が来ました

私の騎士が皆の人気ものになりました

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それからが大変だった。

先生や騎士達が飛んできて、決闘していたこともバレて、ルンド先生らに皆で延々怒られたのだ。

張本人のメルケルと傲慢王女は気絶していたけど・・・・。何か私がメインで怒られているんだけど何故に・・・・

それも延々とだ。

「本当にアンがあんなところでミニアンちゃん出すから大事になっちゃったじゃない!」
エルダが攻めるんだけど・・・・。

「だって、あのままだとメルケルが殺されそうになっていたし」
「本当にあのボケ王女、手加減を知らないわよね」
イングリッドが私のフォローしてくれた。

「でも、イングリッド、アンがあそこでミニアンちゃん出したから、もっと大事になったのよ」
「仕方がないでしょ。あのままならメルケル本当に死んでいたわよ」
「まあ、そこまでは無かったと思うけど、あの王女も手加減はしていたわよ」
私が言うと、
「爆裂魔術を人に使って?」
イングリッドが呆れて言った。

「まあ、でも私もファイアーボールを人に使ってしまったし」
「本当よ。というか、あなた魔術を人に使ってはいけなかったんじゃないの?」
エルダが言ってくれた。

「そうなの・・・・でも、あんなゆっくりなファイアーボール、ふつう避けるわよ」
「何言っているのよ。見た目は威力がなさそうだから。あの傲慢王女なら絶対に避けないと思ったわよ」
「本当に」
私の言葉はエルダとイングリッドの二人にやり込められてしまった。
うーん、そうなのか・・・・避けないとふたりともわかっていたんだ・・・・

「「当たり前じゃない!」」
私のつぶやきは二人に完全にはもられてしまった。

決闘した二人と何故か私もトイレ掃除一ヶ月の刑になってしまった・・・・メルケルマンのせいに出来ると思ったのに・・・・

「「出来るわけ無いでしょ」」
そう言ったら二人に、またしてもはもられてしまったのだが・・・・解せない。ミニアンちゃんの変装は完璧だったのに・・・・
二人の凍てつくような白い目にそれ以上は呟けなかったけれど・・・・

その事を話したら、ガーブリエル様には爆笑されるし、ヴィルマル魔道士団長にはそれ見たことかと言われるし、なんか最悪だった。



でも、良いこともあった。Aクラスに一人で留学してきたメルケルが決闘騒ぎで完全にクラスに溶け込めたことだった。

特に騎士目指しているアルフとかと完全に意気投合したみたいで、食事も男子の中で食べているのだ。
「よう、アンの騎士」
「昨日はすごかったじゃないか」
「感激したわ」
メルケルが登校してくると皆彼のもとに集まって褒めそやした。一躍彼はクラスの人気ものになったのだった。

「いやあ、でも、こてんぱんにやられたし」
謙遜して彼は言うんだけど。

「いや、そこが良いんだって。あの化け物相手に少しは善戦したって」
「そうよ、やられてもやられても立ち上がるところ感激しました」
アルフとかメリーとかが言うんだけど、それって褒めているんだろうか?


そして、先生方にも無謀にもブルーノの娘に決闘を申し込んだ男として知れ渡ったみたいだ。

「はい、ではこの問題を無謀男のメルケル君」
数学の先生はいきなりメルケルを当ててくれた。

メルケルはがたいがデカくてどうしても目立ってしまうのだ。
「えっ、いきなり」
メルケルは固まっていた。うーん、数学も中2のレベルなんだけど・・・・。そんなに難しくないのに、スカンディーナはもっと遅れているんだろうか?

「じゃあ、その主のアンさん」
「えっ?」
先生、私、メルケルの主じゃないんですけど。

でも、先生は私のつぶやきを無視してくれるんだげと。

「わからないのですか?」
「いえ」
私は黒板にすらすらと回答を記載する。

「えっ、まだ教えてもいないのに・・・・」
何故か先生ががっかりしているんだけど、中学レベルならまだ前世の記憶があるからなんとかなるのだ。というか、教えていない問題を聞くなよ。私は言いたかった。

「さすがアンネローゼ様」
メルケルは感激しているんだけど、メルケルにはもう少し勉強させねば、全部こっちに来るんじゃないのか、私は危機感を覚えたんだけど。


その嫌な感覚は礼儀作法の時間に的中した。

「はい、ではまず、椅子に座る基本動作をして下さい。まず、シーデーンさん」
ルンド先生はメルケルに振る。

ガタン
メルケルは大きな音をたてて椅子に座った。

「はい。シーデーンさん。まず音は立てない。もう少しゆっくりと優雅にして下さい」
「判りました」
「では、次はその主のアンさん」

いや、だから、違うって・・・・
でも、昨日怒られたばかりのルンド先生に逆らえるわけはなく・・・・

私はゆっくりと椅子を引いて、腰掛ける。

「50点です」
ルンド先生にダメだしされたんだけど・・・・何で?・・・・
それから昼休みまで徹底的にしごかれたのだった。

「何なのよ。ルンド先生ひどくない?」
食堂に向かう途中で私は切れていた。

「大分マシになったと思うのに、あなたのは優雅さがないって、それは無いんじやない。私は元々お貴族様ではないんだから優雅さはないわよ」
「まあまあ、ここは抑えて」
「そもそも、アンは元々王女様じゃない」
アルフとエルダが言ってくれるんだけど、

「ええええ、でも、生まれて1年位だし」
「でも、未来の王妃様なんだから」
エルダが言うけど、
「いや、絶対に無理だって」
そう言うと何故か怒った顔のフィル様が横にいたんだけど。

「ひどい。アンはそんなに俺の横にいるのが嫌なの?」
「えっ、いや、そういうのではなくて・・・・私は平民ですし、フィル様の横にいるのは難しいのでは」
私は必死に言い訳しようとしてドツボを踏んでしまった。しまった。益々フィル様の怒りがふくれていくような・・・・・

「アン、敬語になっている」
「いや、でも」
「俺たちは婚約者なんだから」
「いや、ちょっと、近いです」
フィル様が私に寄ってくるんだけど、本当に近いんだから。必死に逃げようとしたが、フィル様が離してくれなかった。

そんな私達をクラスの皆が生暖かい視線で見てくるんだけど・・・・

「本当にアンネローゼ様は殿下に好かれているんだな」
メルケルなんか呆れて見ているし。
ちょっと私の騎士なら少しは助けなさいよ。
私の視線は全く無視してくれるんだけど。

「あれ、イングリッドは?」
バートが思いついたように言った。
そういえばいつもは煩いイングリッドがいない。

「あの子、まだ、学園祭の演劇の脚本上げていなかったのよ」
「ええええ! あいつ、夏休み中に書いてくるって言っていたじゃないか」
エルダの声にアルフが文句を言う。

「何か昨日の決闘見てインスピレーションが湧いたとか叫んでいたわ」
エルダの言葉に私は不吉な予感がした。

そう、そして、この予感が当たらなかった例はないのだ。
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