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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました

怒りのあまり大使に魔術を叩きつけて遥か彼方まで弾き飛ばしました

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プッツン!

私の頭の中の何かが大きな音を立てて割れたように感じた。たしかに母は優しいだけでなくて、時には厳しく私を叱咤してくれたけれど、その母をこんな風に拷問するなんて許せなかった。

私がアンネローゼかも知れない?
スカンディーナ王国との外交問題になる!
摂政のブルーノが私を探している?
その私兵共が私に襲ってくる?
そのアンネローゼを匿うと戦争になるだ?

それが一体どうしたというのだ!

確実に言えることは私は平民の末尾がeのアンだ。母さんに大切に育てられたアンなのだ。

その今まで私を大切に育ててくれた母さんに対して、こんな酷い事をするのが許されるわけはない。

やった奴は絶対に許さない。ただではおかないのだ。たとえそれがスカンディーナ王国の摂政であってもだ。いわんや、目の前の豚など、許すわけはなかった。

ピキピキピキと私は切れていた。

私の大切な母さんに、こんな酷いことをして許さない。


「おい、あの女、手錠を外しているぞ」
豚が叫んでいる。
手錠! そんな物あったっけ? と言うくらい母を抱きしめるのに邪魔な手錠は一瞬で四散させていた。

母の傷ついた姿を見て、母を縛っているロープは一瞬で引きちぎっていた。

そして、私が母に駆け寄ろうとしたのを邪魔したベントソン商会親子は一瞬にして弾き飛ばした。私の邪魔をすると言うか母さんをこんなひどい目に合わせた一味を私は許さない。親子は両壁に頭から突っ込んでいた。

更に邪魔しようとした兵士たち5人も瞬時に弾き飛ばして壁に激突させていた。壁の一部に穴があいていた。

母を縛って連れてきた奴なんて、私の怒りの張り手をモロに受けてこれは天井に下から突き刺さっていた。

しかし、そんな事では私の怒りは収まらなかった。

私には魔力がどんどん集まってくるのが判った。

「そこの豚。よくも私の母さんをこんなひどい目に合わせてくれたな!」
私は手を突き出した。


「ええい、煩い。貴様は前王女アンネローゼ。その命は我が摂政ブルーノ様が望んでいらっしゃるのだ」
豚がなにかほざいている。

「何回も言うけれど、私は末尾がeの平民のアンよ。私の母さんから生まれたアンなの。その母さんを傷つけたお前は絶対に許さない」

私の怒りに震えた目を見て豚は叫んでいた。

「ええい、者共出会え」

豚の叫び声とともに、部屋の外からバラバラと兵士たちが飛び込んできた。

どいつもこいつも傭兵のような格好をしていた。

全員剣を抜いていた。

「構わん、このアンネローゼを殺してしまえ」
豚が叫んでいた。

兵士たちが斬り込んでこようとした。

「邪魔だ」

兵士たちが剣を持って私に斬りかかろうとした目前で、私が手を一閃した。

周りにいた兵士たちは先程の兵士たちのように一瞬で弾き飛ばされて壁に激突していた。

衝撃で建物全体が揺れる。

「ヒィィィィ」
豚は驚いて腰を抜かしていた。

「そこの豚、よくも母さんをこんなひどい目に合わせたな」
「ゆ、許してくれ」
豚は恐怖に怯えて、必死に後ずさった。しかし、震えながらではなかなか下がれない。

私は豚のズボンを踏みつけていた。

しかし、ズボンがビリビリに破れて、豚はズボンを残して下がって行く。

「ま、待て、私はスカンディーナ王国の大使だぞ。大使は治外法権がありるのだ。俺に手を出すと貴様が困ったことになるぞ」
豚が必死に言い募った。

「豚が何を言うの。自分が豚だからと言って私の母さんを傷つけても良いという権利はないわ」
「俺は豚ではない。スカンディーナ王国の大使ビリエル・ボクルンドだ」
「ふんっ、どちらでも同じよ。食らえ!」
私の手から凄まじい爆裂魔術が炸裂、それは一瞬にして豚に命中し、その豚を弾き飛ばした。

豚は次の瞬間には後ろの壁を幾重にも突き破って森の中に飛んでいったのだった。

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