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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました
王妃の言葉に絶望して友人の胸の中で泣きました
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私は王妃様の言葉に呆然自失していたところを、女官長によって強引に王妃様の部屋から叩き出されてしまったのだった。
そんな! せっかく憧れのフィル様とお話できるようになったのに・・・・。全く話してはいけないなんて!
それは、私もフィル様と話せるのは学園の間だけだと思っていた。でもいきなり、もう二度と話すなと言われるなんて!
それもフィル様も納得しているなんて・・・・そんな・・・・
私は目から期せずして、涙がこぼれ落ちた。
フィル様と話してはいけない理由が、赤の他人のアンネローゼ様に似ているからだなんて・・・・私は初めてアンネローゼ様が憎くなった。
「あなた、大丈夫? 本当に酷い王妃よね!」
「えっ」
私は隣の侍女さんに言われて驚いた。この侍女さん、王妃様のことを呼び捨てにしているんだけど・・・・
「余程言い返してやろうかと思ったけれど、あんまり問題を起こすなって、父からは言われていて、ごめんなさいね!」
侍女さんが雇い主の王妃様の悪口を言うなんて、それも呼び捨てなんて、どうなっているんだろう? でも、この侍女さんの父が命じたということは高位貴族のご令嬢なんだろうか?
「さあ、こんなむかつく王宮なんてさっさと出ましょう!」
侍女さんが私を引っ張って歩きだした。
私は、私の意思に関係なく侍女さんによって強引に馬車溜まりに連れていかれた。
「アン!大丈夫だったの!」
そこに丁度馬車が着いて、エルダが飛び出してきた。
「エルダ!」
私はエルダの胸に飛び込んだ。
「あなたが襲われたと聞いて本当に驚いたわ!」
エルダは私を抱き締めてくれた。
「ああん! エルダ! 王妃様に二度とフィル様に話しかけるなって言われたの!」
私はエルダの胸で思いっきり泣いた。
「な、なんですって! それは襲われてショックを受けているあなたに言う言葉なの!」
嬉しいことにエルダが切れてくれた!
「本当よね。しかも、それをフィルも承知しているみたいよ」
侍女さんが頷くんだけど、フィル様を呼び捨てにしているんだけど、どういうことだろう?
「クリスティーン様!」
驚いてエルダが声をあげた。
「クリスティーン様?」
私が二人を見比べる。
「クリスティーン様は、カールソン公爵家のご令嬢よ。私達よりも3っつ上の」
「こ、公爵家のご令嬢だったのですか?」
私は驚いた。
「何驚いているのよ。それ言うならエルダもでしょ! 私も呼び捨てで読んでほしいわ! 最後がeのアン!」
にこやかに笑ってクリスティーン様が言うけれどそんな事が出きるわけない。
「申し訳ありません! 公爵家のご令嬢だとは知らずに食事まで準備して頂いて」
私が恐縮して言うと、
「それは仕事だもの。気にする必要はないわ」
「ええええ!泣く子も黙るクリスティーン様が侍女になられたのですか?」
エルダが驚いている。
「エルダ! 泣く子も黙るって何よ!その言い方」
ムッとしてクリスティーン様が睨む。
「ヒィィィ」
あの誰をも恐れないエルダが恐れている。私には信じられなかった。
「ちょっと、それ、恐れすぎじゃ無い? 侍女になったのは、父に、侍女になってフィルを引っ掛けて来いって言われたからよ!」
引っ掛けて来いなんて言葉を公爵が使うんだ! 私は思わず思ってしまった。
「ええええ! クリスティーン様が王太子を狙って侍女なんてされてるのですか?」
「だって仕方が無いじゃない。そうしないとスカンディーナの王子と婚約しろなんて言うのよ。そんなの絶対に嫌よ!」
「ああ、あの気持ち悪い王子でしょ。私にも打診がありました」
エルダにも打診があったんだ。と私は全く他人事だった。
「でも安心してね! アン! 私は絶対にあんたの味方だからね!」
クリスティーン様が私に言われた。なぜこのタイミングで私なのか私は判らなかった。
「亡国の王女と王太子の愛! 絶対に応援するから!」
「えっ、いや、だから私はアンネローゼ様ではありませんから!」
私が否定するが、
「まあ、フィルの相手が、末尾がeの平民のアンでも良いわ。いざとなったら私が後ろ楯になるからね! ここはどーんと大船に乗ったつもりで、頑張ってね」
そう言うとクリスティーン様は来た道を帰って行こうとした。
「どちらに行かれるのですか?」
「フィルを張り倒しに行くのよ! 王太子がスカンディーナの脅しなんかに屈して、アンに対して、母親から酷いことを言わすなんて、絶対に許せないわ」
そう言うクリスティーン様がとても怖いんだけど。
王妃様の言葉にショックを受けた私は、エルダに連れられて寮に帰ったのだった。
その後フィル様がどうなったか私はしらなかった・・・・
そんな! せっかく憧れのフィル様とお話できるようになったのに・・・・。全く話してはいけないなんて!
それは、私もフィル様と話せるのは学園の間だけだと思っていた。でもいきなり、もう二度と話すなと言われるなんて!
それもフィル様も納得しているなんて・・・・そんな・・・・
私は目から期せずして、涙がこぼれ落ちた。
フィル様と話してはいけない理由が、赤の他人のアンネローゼ様に似ているからだなんて・・・・私は初めてアンネローゼ様が憎くなった。
「あなた、大丈夫? 本当に酷い王妃よね!」
「えっ」
私は隣の侍女さんに言われて驚いた。この侍女さん、王妃様のことを呼び捨てにしているんだけど・・・・
「余程言い返してやろうかと思ったけれど、あんまり問題を起こすなって、父からは言われていて、ごめんなさいね!」
侍女さんが雇い主の王妃様の悪口を言うなんて、それも呼び捨てなんて、どうなっているんだろう? でも、この侍女さんの父が命じたということは高位貴族のご令嬢なんだろうか?
「さあ、こんなむかつく王宮なんてさっさと出ましょう!」
侍女さんが私を引っ張って歩きだした。
私は、私の意思に関係なく侍女さんによって強引に馬車溜まりに連れていかれた。
「アン!大丈夫だったの!」
そこに丁度馬車が着いて、エルダが飛び出してきた。
「エルダ!」
私はエルダの胸に飛び込んだ。
「あなたが襲われたと聞いて本当に驚いたわ!」
エルダは私を抱き締めてくれた。
「ああん! エルダ! 王妃様に二度とフィル様に話しかけるなって言われたの!」
私はエルダの胸で思いっきり泣いた。
「な、なんですって! それは襲われてショックを受けているあなたに言う言葉なの!」
嬉しいことにエルダが切れてくれた!
「本当よね。しかも、それをフィルも承知しているみたいよ」
侍女さんが頷くんだけど、フィル様を呼び捨てにしているんだけど、どういうことだろう?
「クリスティーン様!」
驚いてエルダが声をあげた。
「クリスティーン様?」
私が二人を見比べる。
「クリスティーン様は、カールソン公爵家のご令嬢よ。私達よりも3っつ上の」
「こ、公爵家のご令嬢だったのですか?」
私は驚いた。
「何驚いているのよ。それ言うならエルダもでしょ! 私も呼び捨てで読んでほしいわ! 最後がeのアン!」
にこやかに笑ってクリスティーン様が言うけれどそんな事が出きるわけない。
「申し訳ありません! 公爵家のご令嬢だとは知らずに食事まで準備して頂いて」
私が恐縮して言うと、
「それは仕事だもの。気にする必要はないわ」
「ええええ!泣く子も黙るクリスティーン様が侍女になられたのですか?」
エルダが驚いている。
「エルダ! 泣く子も黙るって何よ!その言い方」
ムッとしてクリスティーン様が睨む。
「ヒィィィ」
あの誰をも恐れないエルダが恐れている。私には信じられなかった。
「ちょっと、それ、恐れすぎじゃ無い? 侍女になったのは、父に、侍女になってフィルを引っ掛けて来いって言われたからよ!」
引っ掛けて来いなんて言葉を公爵が使うんだ! 私は思わず思ってしまった。
「ええええ! クリスティーン様が王太子を狙って侍女なんてされてるのですか?」
「だって仕方が無いじゃない。そうしないとスカンディーナの王子と婚約しろなんて言うのよ。そんなの絶対に嫌よ!」
「ああ、あの気持ち悪い王子でしょ。私にも打診がありました」
エルダにも打診があったんだ。と私は全く他人事だった。
「でも安心してね! アン! 私は絶対にあんたの味方だからね!」
クリスティーン様が私に言われた。なぜこのタイミングで私なのか私は判らなかった。
「亡国の王女と王太子の愛! 絶対に応援するから!」
「えっ、いや、だから私はアンネローゼ様ではありませんから!」
私が否定するが、
「まあ、フィルの相手が、末尾がeの平民のアンでも良いわ。いざとなったら私が後ろ楯になるからね! ここはどーんと大船に乗ったつもりで、頑張ってね」
そう言うとクリスティーン様は来た道を帰って行こうとした。
「どちらに行かれるのですか?」
「フィルを張り倒しに行くのよ! 王太子がスカンディーナの脅しなんかに屈して、アンに対して、母親から酷いことを言わすなんて、絶対に許せないわ」
そう言うクリスティーン様がとても怖いんだけど。
王妃様の言葉にショックを受けた私は、エルダに連れられて寮に帰ったのだった。
その後フィル様がどうなったか私はしらなかった・・・・
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