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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました

トイレ掃除で悪役たちと仲良くなりました

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授業が終わって私達は中庭に集まった。
クラス委員と体育委員、エルダとバートとルーカスだ。

「どうだ。上手く、人形出来たか」
アルフが聞いてくる。

「私のはやっぱりとても小さかった」
私が言うと、

「俺は俺くらいの大きさだけど、火だからな」
「まあ、でも、いいわ。見せてよ」
アルフの言葉にイングリッドが聞く。

「出でよ、人形」
アルフのは人並みの大きさの火の人形だった。

「これで走れるの?」
「こんな感じかな」
アルフが走らせる。普通に走れている。やっぱり私のは厳しそう。

「あとは、火だから燃えるのがネックだよな」
「床は耐火だけど、ボールがな」
「手袋かなんか嵌めたら良いんじゃないかな」
ルーカスが言う。

「でも、水は厳しいだろう」
「氷にしても溶けると思うのよね」
「じゃあ、風でやってみるか」
横からフィル様が言う。

「風で出来るの?」
「障壁みたいな感じだろう」
「じゃあやってみてよ」
イングリッドの言葉にフィル様が詠唱を唱える。

「出でよ、手袋」
人形の手になんかかぶった感じだ。

「じゃあこれでも受けてみてよ」
イングリッドが小石を投げる。が上手く受けられない。

「うーん、すぐには無理じゃないか」
「まあね練習してみよう」
アルフの言葉にフィル様が答えた。

「アンの人形はどんな感じなの」
皆一通り出した後で、イングリツドが聞いてきた。
一応皆ある程度の大きさの人形だ。さすがに風魔術の二人は人形には出来なかったみたいだけど。


「とても小さいわよ」
私はことわってから構えた。

「出でよ、人形」
私が詠唱すると小さな人形が出てきた。

「すごい、この人形アンさんみたいだね」
フィル様が褒めてくれるけど、それは嬉しいのだけど・・・・。

「でもなんかとても小さいよね」
イングリッドか正直に言ってくれた。

「まあ、アンだから」
「食らえ」
アルフがいきなり踏みつけてきた。

ええええ!

私は人形に手を挙げさせて受け止める。

「ひ、酷い!」
エルダが文句を言う。

「いやでも踏みつぶせていないけど」
アルフが慌てて言っているけど、ミニアンちゃんになんてことしてくれるのだ。

「最低!」
私は人形の手で弾き飛ばした。

アルフの人形はそのまま弧を描いて後ろの木に激突したのだ。

ドシンっという音がする。

木に火が燃え移った。

「えっ」
「大変よ」
エルダとイングリッドで燃え始めた木の上から水をぶっかけた。

木は少し焦げた程度だ。良かった。これならバレないだろう。
私はホッとした。

「でも、アンさんの人形は凄いね」
フィル様に褒められて私は少し赤くなった。

人形も胸を張っている。

「大きさは最小なのに、力はすげえな」
「まあね。胸は本人に似て無いけど」
アルフが余計な一言を言う。

「アルフ、何か言った?」
「いえ、何も言っていません」
慌ててアルフが誤魔化した。

「アルフは掃除当番決定」
「ええええ! そんな」
イングリッドの言葉にアルフが叫ぶ。

「さあ、行くわよ。やるのは人形でだからね。人形でガンバってやってみよう」
イングリッドはそう言うと皆を連れて歩き出したのだ。



そして、向かった、女子トイレではドーソンさんらが掃除していた。

「えっ、何しに来たの? 私たちはちゃんとやっているわよ」
ムッとしてドーソンが言った。

「そんなの当たり前でしょう。今日は実験しに来たのよ」
「実験?」
ドーソンさんが聞いてきた。

「そうよ、皆で作った人形で掃除できるかどうかよ」
「人形で?」
「そうよ。丁度ここに女子10人いてトイレの個室も10個あるから一斉にやるわよ」
イングリツドが言う。

「さあ、皆、良い。一番早く出来た人は掃除当番を免除するわ」
「本当でしょうね」
イングリツドの言葉にドーソンが一番にやる気になっていた。

「私は嘘をつかないわ」
「判りました。私もやります」
「私も」
ヨセフィーナ、キャロリーナ、ディオーナ達も俄然やる気になった。

私は割り箸にスポンジ切ったものをつけて、トイレブラシ代わりにする。
「行くわよ。よーいドン」

皆一斉に人形を出して便器にトイレブラシを入れてこすりだす。
私は人形に中に入ってこすらせる。
これ結構大変なんだけど、人形が小さいから制御は簡単だ。

でも、皆まだ制御になれないみたいで大変みたいだ。

「あっ、やった。トイレの壁ぶち壊した」
男子トイレからルーカスの声が聴こえてくる。

「えっ?」

「ギャーーートイレの床が熱で溶けた」
これはアルフの声だ。

「ちょっとあんた達何やっているのよ」
そこにエレオノーラ・ルンド女史の怒り声が響いたのだった。

結局私たちは、ルンド先生に捕まって、延々怒られた。その上、罰として1ヶ月トイレ掃除を扨せられることになってしまったのだった。

「あんた達何しているのよ」
ドーソンさんの呆れた声に対して私は何も言えなかった。

でも、これで少しはドーソンさんらと近くなったような気がするのは気のせいだろうか?
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