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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました
王太子と食事して帰ってきたら筆入れの中身が四散していました
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結局、その後はフィル様とまたお昼を食べている。
当然二人だけではなくて、フィル様の側近のアルフとバートとルーカスと私の友達のエルダとイングリッドとなんだけど、皆子爵以上で平民は私だけだ。
そして、フィル様の隣が何故か私だ。
せめて席を代わろうとしたんだけど、エルダとイングリッドにはあっさりと拒否されてしまったのだ。
それで良いんだろうか?
ドーソンさんらは伯爵令嬢なのにトイレ掃除させられているみたいだし。私は何もしなくてよいのか。そもそも、私がおそらくAクラスの中で一番身分が下だ。
平民は商人の娘メリーもいるけれど、彼女は王都で超有名なメリー商会の娘さんだと思う。私だけなのだ、名も無い普通の平民の娘は。それがのほほんと王国で二番目に偉い王太子殿下と一緒に御飯食べているなんて絶対に変だ。
そうエルダに言ったら、
「まあ、私達も一緒だから問題ないんじやない」
「そうよ。そんな事言ったら、私ともご飯を一緒に食べたいなんて令嬢山ほどいるわよ。そんなのに付き合っていられないから」
エルダとイングリッドに言われてしまった。
確かにこの二人は学園でもフィル様を除けば最高位の貴族令嬢だろう。一緒にご飯食べたい令嬢もわんさかいるはずだ。私と違って。
その二人を私が独占している形になっているんだけど。それはそれで怖いんだけど。
そして、当然フィル様もそうなわけで。
そんなフィル様を独占して良いはずがない。一度は近寄るのは止めようと思ったのだ。
でも、あれから更にフィル様がかまってくることが多くなったのだ。授業に関する質問等もしてくるんだけど、特に私の得意な歴史とか文学とかで。苦手な物理とかは聞いてこない。というかそれは教えてほしい・・・・。いや、そんな事したら更に殺されかねない。
うーん、でも、絶対に歴史とかもフィル様のほうが詳しいんだと思うんだけど。
そんな私達を白い目で周りは見てくるんだけど・・・・。これじゃクラスの他の人とは全然溶け込めない。まあ、元々平民の私がこの貴族の方が大半のAクラスに溶け込めるかというと難しいとは思うけど。
そんな私達の間に強引に入ってこようとするのはヒロインの聖女だけで、
「殿下。お昼ご一緒してもいいですか」
キターーーー。今日も元気いっぱい二人で話しながら歩いているところに突入してきたのだ。
それもフィル様と私の間目指してと言うか、私を弾き飛ばそうとして、私めがけて飛んできたんだけど、フィル様が瞬間的に私を庇って立ってくれて、聖女の前に空のトレイを突き出してくれたのだ。
ガンっ
青磁の顔がトレイに激突したのだ。
「痛あーい、酷いです。殿下」
鼻を抑えて、聖女が叫んでいる。
「パウラ嬢、横入りはいけないよ。ちゃんと後ろに並ばないと」
「そんな、殿下。いつもその赤毛の平民とばかり酷いです」
「というよりも、横入りはダメだよ。教会では聖女だからと言って横入りが許されているのかい? 」
「いえ、そうじゃなくて」
「ほら、皆の視線見てご覧。皆パウラ嬢を白い目で見ているよ」
「えっ」
聖女は後ろを見るとたしかに白い目が私達の方に来ていた。でも、半分はいつもフィル様の横にいる私に注がれているような気がするんだけど。
「そうそう、さっさとちんと並びなさい」
イングリッドがトレイで聖女を押し出す。
「そんな、殿下・・・・」
みんなの視線がさすがにやばいと思ったのか、すごすごと聖女は引き下がって行った。聖女らしくなく。本来ならばもっと騒ぎ立てるはずなのに。しかし、この時は、私はこれが聖女の作戦だとは思ってもいなかったのだ。
「しかし、あのパワーは凄いな。毎日毎日朝昼晩と」
アルフが感心して言った。
ふーん、そうなんだ。朝も夜もやっているんだ。
「アンさん。朝も夜も食べているのは男たちだけだからね」
フィル様が強調してこられるんだけど・・・・いやいやいや、それ更にまずいんじゃ。
じゃあ、フィル様の横にいるはずうーーーっと私になってしまうんだけど。
「他の魔術も色々使えるようになったの?」
明日は土曜日だ。また、王宮に行かないといけない。ガーブリエル様に会うのは良いんだけど、あんまり王宮には行きたくはない。まあ、あれから王妃様と会う機会なんて無いけれど。
「一通りは使えるようになったんですけど・・・・」
私は言葉を濁した。
「口を濁す所を見るとなにか問題があるの」
「皆私が出来る魔術はとても小さくて」
そう、風も小さな微風、水も少ししか出ないし、土も少し動く程度だ。
「でも、全部できるんだろ。凄いじやないか」
横からアルフが言ってきた。
「そうなんだけど・・・・」
「そうなんだけど?」
「全部の威力が馬鹿みたいに大きいんですって」
口を濁す私の代わりにイングリッドが言ってくれた。
そう、風魔術は騎士の更衣室を吹き飛ばしてしまい、水魔術は馬小屋を一棟壊してしまったのだ。結界以外での、使用は厳禁にされてしまった。
「それは凄いね」
フィル様は驚いておられたし、
「すげーーー」
「さすがアン」
アルフとバートは驚いていた。
「下手したら無敵じゃない」
イングリッドまで言ってくれるんだけど。
「でも、遅いし、使い勝手は悪いのよね」
魔術訓練の様子を魔導師団長も見ておられたが、微妙な表情をされていたのだ。
「そんなのなんとでもなるわよ。全部使えるだけで凄いんだから」
エルダが慰めてくれるけど、あの魔導師団長の残念そうな顔がなんだかなという感じなのだ。
皆で楽しく魔術談義の食事して教室に帰ってきた時だ。
私の筆入れが割られて、机の周りに四散していたのだった・・・・
当然二人だけではなくて、フィル様の側近のアルフとバートとルーカスと私の友達のエルダとイングリッドとなんだけど、皆子爵以上で平民は私だけだ。
そして、フィル様の隣が何故か私だ。
せめて席を代わろうとしたんだけど、エルダとイングリッドにはあっさりと拒否されてしまったのだ。
それで良いんだろうか?
ドーソンさんらは伯爵令嬢なのにトイレ掃除させられているみたいだし。私は何もしなくてよいのか。そもそも、私がおそらくAクラスの中で一番身分が下だ。
平民は商人の娘メリーもいるけれど、彼女は王都で超有名なメリー商会の娘さんだと思う。私だけなのだ、名も無い普通の平民の娘は。それがのほほんと王国で二番目に偉い王太子殿下と一緒に御飯食べているなんて絶対に変だ。
そうエルダに言ったら、
「まあ、私達も一緒だから問題ないんじやない」
「そうよ。そんな事言ったら、私ともご飯を一緒に食べたいなんて令嬢山ほどいるわよ。そんなのに付き合っていられないから」
エルダとイングリッドに言われてしまった。
確かにこの二人は学園でもフィル様を除けば最高位の貴族令嬢だろう。一緒にご飯食べたい令嬢もわんさかいるはずだ。私と違って。
その二人を私が独占している形になっているんだけど。それはそれで怖いんだけど。
そして、当然フィル様もそうなわけで。
そんなフィル様を独占して良いはずがない。一度は近寄るのは止めようと思ったのだ。
でも、あれから更にフィル様がかまってくることが多くなったのだ。授業に関する質問等もしてくるんだけど、特に私の得意な歴史とか文学とかで。苦手な物理とかは聞いてこない。というかそれは教えてほしい・・・・。いや、そんな事したら更に殺されかねない。
うーん、でも、絶対に歴史とかもフィル様のほうが詳しいんだと思うんだけど。
そんな私達を白い目で周りは見てくるんだけど・・・・。これじゃクラスの他の人とは全然溶け込めない。まあ、元々平民の私がこの貴族の方が大半のAクラスに溶け込めるかというと難しいとは思うけど。
そんな私達の間に強引に入ってこようとするのはヒロインの聖女だけで、
「殿下。お昼ご一緒してもいいですか」
キターーーー。今日も元気いっぱい二人で話しながら歩いているところに突入してきたのだ。
それもフィル様と私の間目指してと言うか、私を弾き飛ばそうとして、私めがけて飛んできたんだけど、フィル様が瞬間的に私を庇って立ってくれて、聖女の前に空のトレイを突き出してくれたのだ。
ガンっ
青磁の顔がトレイに激突したのだ。
「痛あーい、酷いです。殿下」
鼻を抑えて、聖女が叫んでいる。
「パウラ嬢、横入りはいけないよ。ちゃんと後ろに並ばないと」
「そんな、殿下。いつもその赤毛の平民とばかり酷いです」
「というよりも、横入りはダメだよ。教会では聖女だからと言って横入りが許されているのかい? 」
「いえ、そうじゃなくて」
「ほら、皆の視線見てご覧。皆パウラ嬢を白い目で見ているよ」
「えっ」
聖女は後ろを見るとたしかに白い目が私達の方に来ていた。でも、半分はいつもフィル様の横にいる私に注がれているような気がするんだけど。
「そうそう、さっさとちんと並びなさい」
イングリッドがトレイで聖女を押し出す。
「そんな、殿下・・・・」
みんなの視線がさすがにやばいと思ったのか、すごすごと聖女は引き下がって行った。聖女らしくなく。本来ならばもっと騒ぎ立てるはずなのに。しかし、この時は、私はこれが聖女の作戦だとは思ってもいなかったのだ。
「しかし、あのパワーは凄いな。毎日毎日朝昼晩と」
アルフが感心して言った。
ふーん、そうなんだ。朝も夜もやっているんだ。
「アンさん。朝も夜も食べているのは男たちだけだからね」
フィル様が強調してこられるんだけど・・・・いやいやいや、それ更にまずいんじゃ。
じゃあ、フィル様の横にいるはずうーーーっと私になってしまうんだけど。
「他の魔術も色々使えるようになったの?」
明日は土曜日だ。また、王宮に行かないといけない。ガーブリエル様に会うのは良いんだけど、あんまり王宮には行きたくはない。まあ、あれから王妃様と会う機会なんて無いけれど。
「一通りは使えるようになったんですけど・・・・」
私は言葉を濁した。
「口を濁す所を見るとなにか問題があるの」
「皆私が出来る魔術はとても小さくて」
そう、風も小さな微風、水も少ししか出ないし、土も少し動く程度だ。
「でも、全部できるんだろ。凄いじやないか」
横からアルフが言ってきた。
「そうなんだけど・・・・」
「そうなんだけど?」
「全部の威力が馬鹿みたいに大きいんですって」
口を濁す私の代わりにイングリッドが言ってくれた。
そう、風魔術は騎士の更衣室を吹き飛ばしてしまい、水魔術は馬小屋を一棟壊してしまったのだ。結界以外での、使用は厳禁にされてしまった。
「それは凄いね」
フィル様は驚いておられたし、
「すげーーー」
「さすがアン」
アルフとバートは驚いていた。
「下手したら無敵じゃない」
イングリッドまで言ってくれるんだけど。
「でも、遅いし、使い勝手は悪いのよね」
魔術訓練の様子を魔導師団長も見ておられたが、微妙な表情をされていたのだ。
「そんなのなんとでもなるわよ。全部使えるだけで凄いんだから」
エルダが慰めてくれるけど、あの魔導師団長の残念そうな顔がなんだかなという感じなのだ。
皆で楽しく魔術談義の食事して教室に帰ってきた時だ。
私の筆入れが割られて、机の周りに四散していたのだった・・・・
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