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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました
いけ好かない男爵令嬢を友人がざまぁしました
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「ありがとう、エルダ」
私がエルダに庇ってくれたお礼を言うと
「あれがあなた所の領主の娘なの。どうしようもないわね」
呆れてエルダが言った。
そう、本当にわがままお嬢様なのだ。その存在自体を意識的に忘れていた私も私なのだが・・・・出来たら近づきたくなかった。Aクラスにいなかったからホッとしたんだけど。どのクラスにいるんだろう?
「あなたの着ていた服、お母様が縫ってくれたんでしょう? シンプルだけど、とてもセンスがいいって思ったんだけど、あの子、何故貶すの?」
「おそらく、カリーネ様は母に色々余計な注文されたから、変になったんじゃないかと思うんだけど」
「ああ、そう言うことね。あの見た目通りで、本人にセンスが無いのね」
エルダもズバズバ、本音できついことを言ってくれる。
「アン、これでなにか困った事があったら言いなさいよ。お父様から言ってもらうから」
「いえ、そんな恐れ多いことは」
私は首を振った。公爵家から下手に言ってもらうと、ちっぽけな我が領地なんて本当に一瞬で弾き飛ばされてしまう。それはさすがに男爵が可愛そうだろうと、人の良さそうな男爵を私は思い浮かべた。
でも、話はそれでは終わらなかったのだ。
私達がトイレを終えて、次の授業の講堂に向かった時だ。
前からカリーネ様が一団を率いて戻ってきたのだ。何なのだ。これは。ヤクザのお礼参りなのか?
「レーア様。こいつが生意気な平民のアンです。Aクラスになったとたんに生意気になっているんです」
「あなたが、公爵家のご令嬢を呼び捨てにしているという、とんでもない平民のアンね。あなたがそう言うことをしてくれると、このヨンソン地方の住民が、皆、田舎者の世間知らずと蔑まれるのが判らないの? この学園は皆平等など単なる建前なのよ。それをさも当然のように振る舞うなんて恥ずかしいのもよいところだわ」
令嬢が私に向かって言った。
やっぱ世間はそう見るんだ。
私はエルダを見た。
「私がそれでいいって言っているんだけど、何か文句があるの」
エルダが怒って言った。なんかブチギレている。
「ええい、黙らっしゃい。平民風情がこの方に逆らってもいいと思っているの。このお方はね、ヨンソン地方の旗頭レーア・ヨンソン伯爵令嬢様なのよ」
カリーネ様は無謀にも公爵令嬢のエルダに向かって言い切ったのだ。
止めて、領地がお取り潰しになるから。あんたの父親下手したら処刑されるわよ。私は青くなった。
それはレーアも同じだったみたいで、途中から青くなっていた。必死にカリーネを止めようとしているが、カリーネに伝わらなかったのだ。
「や、止めなさい」
「はいっ?」
やっと言葉が届いたみたいで、カリーネ様はキョトンとした。
「も、申し訳ありません。知らないこととは言え、エルダ・オールソン様にこのようりな失礼な態度取ったこと、何卒お許しください」
レーアは頭を下げていた。周りの貴族令嬢たちも慌てて頭を下げた。
「ちょっとあんたも謝るのよ」
「えっ、でも」
「えっ、もクソもないわよ。あんたが今、言った相手は公爵家のご令嬢なのよ」
「えっ! も、申し訳ありません」
その言葉を聞いた途端にカリーナ様は蒼白になって頭を下げた。名前を聞いても判らなかったみたいだ。平民の私なら許されてもお貴族様はそれではいけないだろう。私は前途多難なことを思い知らされた。
でも、カリーネ様はもう土下座しそうな勢いで頭を下げている。何だ? この違いは。
「もう良いわ。ただし、次はないわよ。次にこんな事があったら、お兄様に言いつけるから」
エルダのきつい一言に貴族令嬢たちは震え上がった。公爵令息である生徒会長に睨まれたら、この学園で生きていけない。
「学園に在学中は皆、平等という理念はこの学園の基本なのよ。判った?」
エルダの声に皆かくかく首を振っている。
「それと、そこのセンスのなっていないあなた」
エルダはカリーネ様を指さした。
「は、はいっ」
震えてカリーネ様が答える。
「アンのお母様の作った服がセンスが無いですって。なんてことを言うのよ。私、彼女の私服見たけど、どこのお貴族様かなと一瞬思ったほど、センスは良かったわよ。
あなたが余計な事をつべこべ注文するから変になるのではなくて。次のパーテイーの時は必ず、アンの母親の思うままの服を作ってもらって着て来るのよ。判ったわね」
「はい」
直立不動で、カリーナ様は答えていた。まあ、ここまで言ってくれたら母さんの仕事が減ることは無いと思うけど・・・・
私はエルダの影響力を甘く見ていた。この発言によって母はお貴族様からの注文が10着以上入っててんてこ舞いになるのだ。
私がエルダに庇ってくれたお礼を言うと
「あれがあなた所の領主の娘なの。どうしようもないわね」
呆れてエルダが言った。
そう、本当にわがままお嬢様なのだ。その存在自体を意識的に忘れていた私も私なのだが・・・・出来たら近づきたくなかった。Aクラスにいなかったからホッとしたんだけど。どのクラスにいるんだろう?
「あなたの着ていた服、お母様が縫ってくれたんでしょう? シンプルだけど、とてもセンスがいいって思ったんだけど、あの子、何故貶すの?」
「おそらく、カリーネ様は母に色々余計な注文されたから、変になったんじゃないかと思うんだけど」
「ああ、そう言うことね。あの見た目通りで、本人にセンスが無いのね」
エルダもズバズバ、本音できついことを言ってくれる。
「アン、これでなにか困った事があったら言いなさいよ。お父様から言ってもらうから」
「いえ、そんな恐れ多いことは」
私は首を振った。公爵家から下手に言ってもらうと、ちっぽけな我が領地なんて本当に一瞬で弾き飛ばされてしまう。それはさすがに男爵が可愛そうだろうと、人の良さそうな男爵を私は思い浮かべた。
でも、話はそれでは終わらなかったのだ。
私達がトイレを終えて、次の授業の講堂に向かった時だ。
前からカリーネ様が一団を率いて戻ってきたのだ。何なのだ。これは。ヤクザのお礼参りなのか?
「レーア様。こいつが生意気な平民のアンです。Aクラスになったとたんに生意気になっているんです」
「あなたが、公爵家のご令嬢を呼び捨てにしているという、とんでもない平民のアンね。あなたがそう言うことをしてくれると、このヨンソン地方の住民が、皆、田舎者の世間知らずと蔑まれるのが判らないの? この学園は皆平等など単なる建前なのよ。それをさも当然のように振る舞うなんて恥ずかしいのもよいところだわ」
令嬢が私に向かって言った。
やっぱ世間はそう見るんだ。
私はエルダを見た。
「私がそれでいいって言っているんだけど、何か文句があるの」
エルダが怒って言った。なんかブチギレている。
「ええい、黙らっしゃい。平民風情がこの方に逆らってもいいと思っているの。このお方はね、ヨンソン地方の旗頭レーア・ヨンソン伯爵令嬢様なのよ」
カリーネ様は無謀にも公爵令嬢のエルダに向かって言い切ったのだ。
止めて、領地がお取り潰しになるから。あんたの父親下手したら処刑されるわよ。私は青くなった。
それはレーアも同じだったみたいで、途中から青くなっていた。必死にカリーネを止めようとしているが、カリーネに伝わらなかったのだ。
「や、止めなさい」
「はいっ?」
やっと言葉が届いたみたいで、カリーネ様はキョトンとした。
「も、申し訳ありません。知らないこととは言え、エルダ・オールソン様にこのようりな失礼な態度取ったこと、何卒お許しください」
レーアは頭を下げていた。周りの貴族令嬢たちも慌てて頭を下げた。
「ちょっとあんたも謝るのよ」
「えっ、でも」
「えっ、もクソもないわよ。あんたが今、言った相手は公爵家のご令嬢なのよ」
「えっ! も、申し訳ありません」
その言葉を聞いた途端にカリーナ様は蒼白になって頭を下げた。名前を聞いても判らなかったみたいだ。平民の私なら許されてもお貴族様はそれではいけないだろう。私は前途多難なことを思い知らされた。
でも、カリーネ様はもう土下座しそうな勢いで頭を下げている。何だ? この違いは。
「もう良いわ。ただし、次はないわよ。次にこんな事があったら、お兄様に言いつけるから」
エルダのきつい一言に貴族令嬢たちは震え上がった。公爵令息である生徒会長に睨まれたら、この学園で生きていけない。
「学園に在学中は皆、平等という理念はこの学園の基本なのよ。判った?」
エルダの声に皆かくかく首を振っている。
「それと、そこのセンスのなっていないあなた」
エルダはカリーネ様を指さした。
「は、はいっ」
震えてカリーネ様が答える。
「アンのお母様の作った服がセンスが無いですって。なんてことを言うのよ。私、彼女の私服見たけど、どこのお貴族様かなと一瞬思ったほど、センスは良かったわよ。
あなたが余計な事をつべこべ注文するから変になるのではなくて。次のパーテイーの時は必ず、アンの母親の思うままの服を作ってもらって着て来るのよ。判ったわね」
「はい」
直立不動で、カリーナ様は答えていた。まあ、ここまで言ってくれたら母さんの仕事が減ることは無いと思うけど・・・・
私はエルダの影響力を甘く見ていた。この発言によって母はお貴族様からの注文が10着以上入っててんてこ舞いになるのだ。
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