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追ってきた暗部を殲滅しました
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エイベルを張り倒した後が大変だった。
言い訳するようだが、決して本気で張り倒したわけではない。私が本気で張り倒したらエイベルは生きてはいなかっだろう。強化魔術を使わずに、張り倒しただけだ。
歯の二、三本折れたかもしれないが、私に今までやってくれた所行に比べれば、たいしたことはないはずだ。
インスブルク王国の王女である私を蔑ろにした挙げ句に婚約破棄してくれたのだ。頬を張り倒されたくらいですんで良しとすべきだ。
そうだそうだと私は一人で納得していた。
「おのれ、よくも殿下を」
でも、目の前で王太子が張り倒されたのだ。
近衛騎士達が黙っていなかった。
近衞騎士達が抜剣して私に斬りかかってきたのだ。
仕方がないから、ここは二三人、張り倒した。ちょっと力加減を失敗して後ろにいた面々2、30人を巻き添えに吹っ飛んでくれたんだけど。まだ死人は出ていないはずだ。
私はくれぐれも本気を出すなと父や守役から口を酸っぱくして言われているのだ。
この婚約破棄された件でまたグチグチ言われるかもしれないが、それはとても気が重いが、まだ本気は出していないから許されるはずだ。
「じゃあね。皆」
私はクラスメートや剣術部の面々に手を振るとドレスのまま駆けだしたのだ。
「ちょっと、リディアーナ様」
「リディ」
「待てよ」
ハワードらは私を追いかけようとしてくれたが、これ以上彼らを巻き込みたくない。私は身体強化して加速した。
私を追いかけようとした彼らをあっという間に引き離した。
学園の壁を越えて、外に出る。
私は石畳の道をハイヒールで駆けた。
こんな衣装と靴ではさすがに国までもたない。途中でドレスは着替える必要がある。本来は大使館に寄っておきたかったが、絶対に騎士達が手を回しているだろう。私は王都の郊外にある隠れ家に向かうことにした。
でも、走り出して少しして、何かが追ってくるのを感じた。
私はエイベルに婚約破棄されて、まだ少しムカムカしていた。もっと思いっきり張り倒せば良かった、と後悔していたのだ。
追ってくる奴らと戦う?
私は少し後ろに意識がいきすぎた。
はっと気付いたときには前方に広場の入り口に何か膜のような物が張られていた。
今から避けても間に合わない。
私の力ならなんとかなるだろう。
私は更に加速したのだ。
私はその膜のような物に激突した。
ドシーーン
ドカーーーーン
凄まじい衝撃が私を襲って、次の瞬間、大爆発が起こった。
私は何が起こったのかよく判らなかった。
爆発の後で立上がると2体の黒焦げの男が転がっていた。
私は爆裂魔術は使えないのに、何でだろう?
後で守役のレナードに聞いたら、私と魔術師の魔力がぶつかって爆発したのではないかとのことだった。
元々、待ち構えていた魔術師が私を魔法の網で捕まえようとしていたのは感じたので、それを突き破ろうと魔力を強化して突っ込んだのだ。でも、その魔術師も結構強力な魔術師だったのだろう。私はその魔法の網を中々破れないので、破ろうと魔力を目一杯網に流し込んで、その結果、魔術師の魔力と私の魔力がぶつかって爆発してしまったらしい。
「まあ、普通はそんなことは起こらないのですが、姫様の魔力は特別ですからな。姫様に逆らおうとしたその魔術師が愚かだっただけです」
レナードは笑って言ってくれたが、私を化け物みたいに言うのは止めてほしい。
「いたぞ、あそこだ」
そこに私を追ってきた黒服の男達の声がした。
これが噂に聞くシュタイン王国の暗部みたいだった。
シュタイン王国の特殊部隊だ。諜報と特殊工作等に特化した部隊で要人の護衛もしているそうだ。海外の王侯貴族や反王族派の暗殺もやるまさにシュタイン王国の暗部だ。
数は10人。
男達は早速投げナイフを投げてきた。
私は逃げる途中で近衛騎士から奪った剣で弾く。
カンカンカンカン
大半を弾き飛ばした。
その間に暗部の者達は近づいてきた。
一人目が短剣を構えて突っ込んできた。
私はその剣を避ける。
でも、避けきれずに、一部短剣が私の腕を傷つけていた。
次の瞬間には男を一撃で斬り飛ばしていた。
後ろにすぐに迫っていた3人もろとも弾き飛ばす。
あと7人。
続いてもう一人突っ込んできたのを下段から斬り上げた。
血しぶきを上げて男が飛んで行った。
残りの男達は私を遠巻きに投げナイフを投げてきた。
私はその大半を弾く。
地面に落ちていたナイフを拾うと男の一人に無造作に投げつけた。
男は短剣で弾くが弾ききれずに一部かする。
男の顔が一瞬こわばる。
「グワッ」
男は叫ぶと血を吹き出して倒れた。
やはりナイフには毒が塗られていたのだろう。
私の驚いた顔色を見て頭領らしい男がにやりと笑った。
「王女殿下。そのナイフにも短剣にも猛毒が塗られています。そろそろ殿下も毒が効いてきたでしょう」
「私を殺すつもりなの?」
「前国王陛下はあなた様のことを本当に買っておられました。もし他国に取られるようだとこの国の損失だと。絶対に他国に取られては成らぬと言われておりました」
「ふうん。陛下は私が国を出ることがあれば殺せと言っていたというのね」
「いえ、絶対に恨みを買うなとだけ。どんなことをしても国にとどめよといわれていました。ただ、既に王太子殿下が失礼極まりないことをされましたからな。申し訳ありませんが、恨みを持たれた殿下を国元に返すわけには参りません」
平然と頭領は言ってくれた。
「そう、じゃあ、私も、遠慮しなくていいというのね」
私は笑うと一瞬で距離を詰めるて頭領に斬りかかったのだ。
「ギャッ」
頭領は驚愕した顔で倒れた。
その両横の男達も瞬間に斬り捨てる。
瞬く間に暗部は全て斬り捨てていた。
「な、何故だ」
目を見開いて頭領が呟いた。
「ふんっ、私に毒は通用しないのよ」
私はそう言い捨てると、二度と目を開けない暗部達を残してその地を後にした。
********************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました
メンツ丸つぶれのシュタイン王国でした。
このまま無事にリディは逃げ切れるのか?
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
言い訳するようだが、決して本気で張り倒したわけではない。私が本気で張り倒したらエイベルは生きてはいなかっだろう。強化魔術を使わずに、張り倒しただけだ。
歯の二、三本折れたかもしれないが、私に今までやってくれた所行に比べれば、たいしたことはないはずだ。
インスブルク王国の王女である私を蔑ろにした挙げ句に婚約破棄してくれたのだ。頬を張り倒されたくらいですんで良しとすべきだ。
そうだそうだと私は一人で納得していた。
「おのれ、よくも殿下を」
でも、目の前で王太子が張り倒されたのだ。
近衛騎士達が黙っていなかった。
近衞騎士達が抜剣して私に斬りかかってきたのだ。
仕方がないから、ここは二三人、張り倒した。ちょっと力加減を失敗して後ろにいた面々2、30人を巻き添えに吹っ飛んでくれたんだけど。まだ死人は出ていないはずだ。
私はくれぐれも本気を出すなと父や守役から口を酸っぱくして言われているのだ。
この婚約破棄された件でまたグチグチ言われるかもしれないが、それはとても気が重いが、まだ本気は出していないから許されるはずだ。
「じゃあね。皆」
私はクラスメートや剣術部の面々に手を振るとドレスのまま駆けだしたのだ。
「ちょっと、リディアーナ様」
「リディ」
「待てよ」
ハワードらは私を追いかけようとしてくれたが、これ以上彼らを巻き込みたくない。私は身体強化して加速した。
私を追いかけようとした彼らをあっという間に引き離した。
学園の壁を越えて、外に出る。
私は石畳の道をハイヒールで駆けた。
こんな衣装と靴ではさすがに国までもたない。途中でドレスは着替える必要がある。本来は大使館に寄っておきたかったが、絶対に騎士達が手を回しているだろう。私は王都の郊外にある隠れ家に向かうことにした。
でも、走り出して少しして、何かが追ってくるのを感じた。
私はエイベルに婚約破棄されて、まだ少しムカムカしていた。もっと思いっきり張り倒せば良かった、と後悔していたのだ。
追ってくる奴らと戦う?
私は少し後ろに意識がいきすぎた。
はっと気付いたときには前方に広場の入り口に何か膜のような物が張られていた。
今から避けても間に合わない。
私の力ならなんとかなるだろう。
私は更に加速したのだ。
私はその膜のような物に激突した。
ドシーーン
ドカーーーーン
凄まじい衝撃が私を襲って、次の瞬間、大爆発が起こった。
私は何が起こったのかよく判らなかった。
爆発の後で立上がると2体の黒焦げの男が転がっていた。
私は爆裂魔術は使えないのに、何でだろう?
後で守役のレナードに聞いたら、私と魔術師の魔力がぶつかって爆発したのではないかとのことだった。
元々、待ち構えていた魔術師が私を魔法の網で捕まえようとしていたのは感じたので、それを突き破ろうと魔力を強化して突っ込んだのだ。でも、その魔術師も結構強力な魔術師だったのだろう。私はその魔法の網を中々破れないので、破ろうと魔力を目一杯網に流し込んで、その結果、魔術師の魔力と私の魔力がぶつかって爆発してしまったらしい。
「まあ、普通はそんなことは起こらないのですが、姫様の魔力は特別ですからな。姫様に逆らおうとしたその魔術師が愚かだっただけです」
レナードは笑って言ってくれたが、私を化け物みたいに言うのは止めてほしい。
「いたぞ、あそこだ」
そこに私を追ってきた黒服の男達の声がした。
これが噂に聞くシュタイン王国の暗部みたいだった。
シュタイン王国の特殊部隊だ。諜報と特殊工作等に特化した部隊で要人の護衛もしているそうだ。海外の王侯貴族や反王族派の暗殺もやるまさにシュタイン王国の暗部だ。
数は10人。
男達は早速投げナイフを投げてきた。
私は逃げる途中で近衛騎士から奪った剣で弾く。
カンカンカンカン
大半を弾き飛ばした。
その間に暗部の者達は近づいてきた。
一人目が短剣を構えて突っ込んできた。
私はその剣を避ける。
でも、避けきれずに、一部短剣が私の腕を傷つけていた。
次の瞬間には男を一撃で斬り飛ばしていた。
後ろにすぐに迫っていた3人もろとも弾き飛ばす。
あと7人。
続いてもう一人突っ込んできたのを下段から斬り上げた。
血しぶきを上げて男が飛んで行った。
残りの男達は私を遠巻きに投げナイフを投げてきた。
私はその大半を弾く。
地面に落ちていたナイフを拾うと男の一人に無造作に投げつけた。
男は短剣で弾くが弾ききれずに一部かする。
男の顔が一瞬こわばる。
「グワッ」
男は叫ぶと血を吹き出して倒れた。
やはりナイフには毒が塗られていたのだろう。
私の驚いた顔色を見て頭領らしい男がにやりと笑った。
「王女殿下。そのナイフにも短剣にも猛毒が塗られています。そろそろ殿下も毒が効いてきたでしょう」
「私を殺すつもりなの?」
「前国王陛下はあなた様のことを本当に買っておられました。もし他国に取られるようだとこの国の損失だと。絶対に他国に取られては成らぬと言われておりました」
「ふうん。陛下は私が国を出ることがあれば殺せと言っていたというのね」
「いえ、絶対に恨みを買うなとだけ。どんなことをしても国にとどめよといわれていました。ただ、既に王太子殿下が失礼極まりないことをされましたからな。申し訳ありませんが、恨みを持たれた殿下を国元に返すわけには参りません」
平然と頭領は言ってくれた。
「そう、じゃあ、私も、遠慮しなくていいというのね」
私は笑うと一瞬で距離を詰めるて頭領に斬りかかったのだ。
「ギャッ」
頭領は驚愕した顔で倒れた。
その両横の男達も瞬間に斬り捨てる。
瞬く間に暗部は全て斬り捨てていた。
「な、何故だ」
目を見開いて頭領が呟いた。
「ふんっ、私に毒は通用しないのよ」
私はそう言い捨てると、二度と目を開けない暗部達を残してその地を後にした。
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