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婚約者に卒業パーティーでエスコート出来ないと言われました
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幾多の物語の中から私のこのお話見つけて頂いてありがとうございます。
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「リディアーヌ、卒業パーティーではお前をエスコートできない」
「はいっ?」
私は一瞬、目の前のエイベル王子が何を言っているか理解できなかった。
「なんだそのあほ面は。まさか、能なしのお前はこの歴史ある偉大な王立学園の卒業パーティーにおいて、この国の王太子である俺様にエスコートしてもらえるなどという甘えたことを考えていたわけではあるまいな」
この王太子はいつにもまして上から目線で話してくれた。
「本当ですわ。性格はがさつで成績も底辺をさまよっている小国の王女の分際で、エイベル様にエスコートしてもらおうなんて考えているなど、どこまで脳天気なのかしら」
横にいるピンクの髪のアラベラ・トレント公爵令嬢にまで言われてしまった……
ちょっと、待って!
私はこれでも一応、小さいとはいえ、独立国の王女なんですけれど……大国とはいえ、公爵令嬢風情にでかい顔をされるいわれはないわ!
余程そう怒鳴ってやろうかと思ったけれど、そんな事をして国際問題になったらお父様やお母様に心配をかけてしまう。
いやいやいやいや、そういう問題じゃ無くて、そもそも私はそれ以前にエイベルの婚約者なんですけど……婚約者がいるにもかかわらず、他の女性をエスコートしても良いのか?
この国シュタイン王国ではそれが常識なのか?
温厚な私もさすがに切れそうになった。
心頭滅却すれば火もまた涼し!
心頭滅却すれば火もまた涼し!
私は心の中で必死に呟いて、ぷっつん切れるのを我慢したのだ。
私の名前はリディアーヌ・インスブルク。このシュタイン王国の北にある小さなインスブルク王国の王女だ。
インスブルク王国は山間の小国で人口は50万人もいなかった。
国土の大半は山に覆われており、産業は牧畜と農業、それと精密魔道具の生産が盛んな国だ。
私が10歳の時に、私の国に遊びに来た(外遊とも言う)この国の国王、今の国王のお父様が私の事を何故かとても気に入ってくれて、半ば強引に今の国王の息子、つまり当時の皇太子の息子、すなわちエイベルと婚約させられたのだ。シュタイン王国に来れば美味しいケーキを山のように食べさせてやる、の一言につられて頷いてしまった私も悪いのだが……
でも、それが理解できていないエイベルらは、私のおじいさまがうまく前国王に取り入って私を婚約者にしたと信じているんだけど……何を言っているのよ! 私はケーキにつられただけで、あんたの婚約者に好んでなったわけではないのよ! それもこちらに来ても、ケーキも好きなだけ食べさせてくれなくて、本当にケーキ詐欺だったし……
よほど私はそう言ってやりたかった。
この婚約のお陰で、私は16歳になった時にこの国シュタイン王国の王立学園に入らされて、エイベルの相手をさせられたのだ。
でも、私も最初は努力したのよ!
本当に!
エイベルは見た目は見目麗しい王子様だったし、エイベルのお祖父様は周りには厳しかったけれど私にはとても優しかったから。もっとも私がこの学園に入学した時はもう寝たきりで、殆んどお会いすることはなかったけれど……
学園に入学した当初は私とエイベルは毎月一回、二人で王宮でお茶会をしていたのだ。
私もエイベルとできる限り仲良くなろうと、手作りのマフラーなんかを贈ったりもしてたのよ。
その日も私は王宮で将来の王太子妃教育でしごかれて疲れきって、王宮の木陰に隠れたソファでくつろいでいた時だ。
エイベルの声が聞こえたのだ。
私が喜んで走って行こうとした時だ。
「アラベラはリディアーナと違って、編み物も上手いのだな」
私はそのエイベルの言葉に固まってしまった。
良く見ると、エイベルは見たこともないピンク色のマフラーを巻いていた。そう言えばエイベルは私の編んだものを身につけてくれたことはなかったのを思い出した。
「まあ、手慰み程度で私なんてそんなに褒められたものではありませんわ」
アラベラは自分のピンクの髪を手で触りつつ、謙遜してくれた。
「何を言うんだ。アラベラの編んでくれたマフラーはリディアーナのマフラーと比べると月とすっぽんだ。リディアーナの編んでくれたマフラーなんて、網目がいびつで、なおかつマフラー自体が歪んでいたんだぞ。そんなもの恥ずかしくて身に付けられるか!」
そう言って笑うエイベルを私は唖然として見ていた。確かに私は剣術に比べたら編み物は不得意だ。でも、ベティがわざわざ教えてくれて、私なりに必死に編んだのだ。
受け取った時のエイベルの表情が少し変だったけれど、その後に
「ありがとう、慣れないのに編んでくれて。大切にしまっておくよ」
と言ってくれたのだ。
私はその言葉がとてもうれしかった。
まさか、その言葉の意味が身につけるのは恥ずかしいからタンスの奥にしまっておくよと言う意味だとは想像だにしていなかったのだ。
さすがに能天気な私も必死に編んだマフラーをけなされて、その日は自分の部屋で泣いたのだ。
最初は月に一回のお茶会も、お祖父様の国王陛下の具合が悪くなるに連れて、少なくなっていった。亡くなられてからのこの一年間は全くなかった。それに反比例して、エイベルはアラベラと会う回数を増やしたみたいだ。皆がいろんな事を教えてくれた。
アラベラはもともと平民として市井で育てられたので、貴族の礼儀を知らないのかと、私も遠慮していたらどんどん付け上がって来たらしい。
多少の浮気は目くじらたてるなとこの国の王妃様には言い含められていたから無視していたけれど、さすがに不味いと思って、アラベラにあまりにも大っぴらに会うのはやめて欲しいと、注意したこともあった。
そうしたら、今度はエイベルから余計なことを言うなと釘を刺されたのだ。
それからはエイベルとアラベラは公然と二人で会うようになったのだ。
学園内で二人で公然と手を繋いで歩いてくれたのだ。
私は陰で「愛されない王女様」と陰口を叩かれだした。
「あああら、あそこに小国の王女の分際で、厚かましくもエイベル様の婚約者に収まった女がいるわ」
「聞くところによると、お亡くなりになった国王様がインスブルクの前国王様に泣きつかれて仕方なく婚約者とされたそうよ」
「エイベル様も災難よね」
「それに比べてアラベラ様は本当に謙虚な方よね。『私は婚約者からエイベル様を奪うなんて事は出来ません』とエイベル様の前で泣かれたそうよ」
「あの王女は本当に図々しい女よ。エイベル様とアラベラ様の仲を邪魔してうれしいのかしら? さっさと空気を読んで、自ら身を引いて自分の国に帰れば良いのに」
私は高位貴族の令嬢達に後ろ指指されているんだけど……
普通は婚約者のいる男に近づいているアラベラを後ろ指させよと私は叫びたかった。
でも私は一応インスブルクの王女だったし、エイベルの婚約者だった。
あまり大げさにはしたくなかったのだ。
エイベルと私の婚約は国と国の婚約で、エイベルの思惑だけでは変えようが無いと私はある意味では楽観していたのだ。
でも、どうやらそれは間違いだったらしい。
どうしよう?
私は婚約者がいるにもかかわらず、卒業パーティーに一人で参加しないといけないことになるみたいだった。さすがの脳天気な私もその日は中々寝付けなかった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
お気に入り登録頂けたらうれしいです。
先日の『第5回アイリス異世界ファンタジー大賞』結果発表にて『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』が最終選考のベスト44に選ばれていた事実を知り(受賞作は7つ)、また、ネトコン12で『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』が2次突破して喜んでおります。また、『傭兵バスターズ』が『カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト』の中間選考を突破しました。
これも日頃から応援して頂いている読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
ここに厚く御礼申し上げます。
今回のこのお話も全力で書いていくつもりですので、よろしくお願いします。
今回はと言うか今回もですが、戦闘中心の話になるはずです。
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「リディアーヌ、卒業パーティーではお前をエスコートできない」
「はいっ?」
私は一瞬、目の前のエイベル王子が何を言っているか理解できなかった。
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横にいるピンクの髪のアラベラ・トレント公爵令嬢にまで言われてしまった……
ちょっと、待って!
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余程そう怒鳴ってやろうかと思ったけれど、そんな事をして国際問題になったらお父様やお母様に心配をかけてしまう。
いやいやいやいや、そういう問題じゃ無くて、そもそも私はそれ以前にエイベルの婚約者なんですけど……婚約者がいるにもかかわらず、他の女性をエスコートしても良いのか?
この国シュタイン王国ではそれが常識なのか?
温厚な私もさすがに切れそうになった。
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心頭滅却すれば火もまた涼し!
私は心の中で必死に呟いて、ぷっつん切れるのを我慢したのだ。
私の名前はリディアーヌ・インスブルク。このシュタイン王国の北にある小さなインスブルク王国の王女だ。
インスブルク王国は山間の小国で人口は50万人もいなかった。
国土の大半は山に覆われており、産業は牧畜と農業、それと精密魔道具の生産が盛んな国だ。
私が10歳の時に、私の国に遊びに来た(外遊とも言う)この国の国王、今の国王のお父様が私の事を何故かとても気に入ってくれて、半ば強引に今の国王の息子、つまり当時の皇太子の息子、すなわちエイベルと婚約させられたのだ。シュタイン王国に来れば美味しいケーキを山のように食べさせてやる、の一言につられて頷いてしまった私も悪いのだが……
でも、それが理解できていないエイベルらは、私のおじいさまがうまく前国王に取り入って私を婚約者にしたと信じているんだけど……何を言っているのよ! 私はケーキにつられただけで、あんたの婚約者に好んでなったわけではないのよ! それもこちらに来ても、ケーキも好きなだけ食べさせてくれなくて、本当にケーキ詐欺だったし……
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この婚約のお陰で、私は16歳になった時にこの国シュタイン王国の王立学園に入らされて、エイベルの相手をさせられたのだ。
でも、私も最初は努力したのよ!
本当に!
エイベルは見た目は見目麗しい王子様だったし、エイベルのお祖父様は周りには厳しかったけれど私にはとても優しかったから。もっとも私がこの学園に入学した時はもう寝たきりで、殆んどお会いすることはなかったけれど……
学園に入学した当初は私とエイベルは毎月一回、二人で王宮でお茶会をしていたのだ。
私もエイベルとできる限り仲良くなろうと、手作りのマフラーなんかを贈ったりもしてたのよ。
その日も私は王宮で将来の王太子妃教育でしごかれて疲れきって、王宮の木陰に隠れたソファでくつろいでいた時だ。
エイベルの声が聞こえたのだ。
私が喜んで走って行こうとした時だ。
「アラベラはリディアーナと違って、編み物も上手いのだな」
私はそのエイベルの言葉に固まってしまった。
良く見ると、エイベルは見たこともないピンク色のマフラーを巻いていた。そう言えばエイベルは私の編んだものを身につけてくれたことはなかったのを思い出した。
「まあ、手慰み程度で私なんてそんなに褒められたものではありませんわ」
アラベラは自分のピンクの髪を手で触りつつ、謙遜してくれた。
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そう言って笑うエイベルを私は唖然として見ていた。確かに私は剣術に比べたら編み物は不得意だ。でも、ベティがわざわざ教えてくれて、私なりに必死に編んだのだ。
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「ありがとう、慣れないのに編んでくれて。大切にしまっておくよ」
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私は高位貴族の令嬢達に後ろ指指されているんだけど……
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でも私は一応インスブルクの王女だったし、エイベルの婚約者だった。
あまり大げさにはしたくなかったのだ。
エイベルと私の婚約は国と国の婚約で、エイベルの思惑だけでは変えようが無いと私はある意味では楽観していたのだ。
でも、どうやらそれは間違いだったらしい。
どうしよう?
私は婚約者がいるにもかかわらず、卒業パーティーに一人で参加しないといけないことになるみたいだった。さすがの脳天気な私もその日は中々寝付けなかった。
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