上 下
41 / 44

地味ダサ女に癒やし魔法で侯爵令嬢を治すと言わしめました

しおりを挟む
「ペトラ先生!」
地味ダサ女は唖然とした。

ここで、地味ダサ女がペトラ先生に叱責を浴びて、王子様から愛想をつかされる……
甘すぎる見方だろう。

「これはペトラ先生。先生がどうしてここに?」
アクセリが聞いてくれた。

「学園内で、不埒にも不純異性行為をしている者がいると通報があったのです」
ペトラ先生がギロリと地味ダサ女と王子様を睨みつけた。良く見たら地味ダサ女が私の王子様と手を繋いでいた。
何だこれは……許せない!
二人は慌てて手を引っ込めた。
いや、ペトラ、今こそ正義の鉄槌を下して、出来たら地味ダサ女を退学にして!
私の心の叫びは無視された。

「それで警戒していたら、先程渡り廊下のあたりで、女性の悲鳴が聞こえたのです」
私は聞くと思いっきり地味ダサ女の足を踏んでやった。
貴様が悲鳴を上げるのが悪い!

「それで探していたらあなた方が騒いでいるのにぶつかったのです。まさか、アクセリさんともあろう方が、そのような行為に加担してはいないでしょうね」
疑わしそうにペトラがアクセリを見るが、

「当然です。私もそのような噂を聞いていたので、警戒していたら、いきなりニーナ嬢とライラ嬢に出会ったのです」
アクセリは私たちのせいにしてくれたんだけど、

「私もニーナに無理矢理ここに連れてこられただけで」
私はあっさりと地味ダサ女のせいにした。
なんか地味ダサ女が気持ち悪い目で私を見てきたが当然私は無視した。


「ニーナさん。これはどういうことですか?」
「私、ライラからマイラ様が危篤だって聞いたんです」
えっ、こいつ振り返す?

「マイラ様と言うとマイラ・カンガサラ侯爵令嬢ですか」
「はい」
先生の問いに地味ダサおんなが頷いてくれているんだけど。

「ちょっとニーナ、私は危篤だなんて言っていないじゃない」
私は言い返した。

「でも、マイラ様がサマーパーティーまで生きられないって言ったじゃない」
「それはそうだけど」
「ちょっと待った。ライラ嬢。今マイラは新薬を飲みだしたばかりだ。病が重くなったとは聞いていないぞ」
王子様が私に怒ってくるんだけど。

「私も具合が悪くなったとは聞いておりません。ライラさんはどうやってその事を知られたのですか」
「そうだ。ライラ嬢、私もそれを知りたい」
ペトラ先生たちが相次いで聞いてくれるんだけど。

「それは……」
私は流石に躊躇した。地味ダサ女を睨みつけたけれど、地味ダサ女は図太くてびくともしない。

どうしろって言うのよ。前世のゲームの知識から知っているなんて言えないし、下手なこと言って退学とか、アクセリ監禁コースはいやだ。

もうこうなったら神託でも何でも使ってやるわ。

「判りました。正直に言います。だから、それが信じられないと思っても、信じて頂けますか」
私は周りを見回して言った。

「それは話を聞いてみないとなんとも言えない」
王子様が言ってくれるんだけど。

「判りました」
私は頷いたのだ。

「えっ!」 
地味ダサ女がなにか言いたそうにしているんだけど。

「ニーナ、あなたは黙っていなさい」
小さい声で私は地味ダサ女に注意した。

そして、私は爆弾発言をしたのだ。
「私の枕元で前聖女様がマイラ様がもうあまり長くないとおっしゃられたのです」

「前聖女様というと100年前のミンミ様ですか?」
ペトラが聞いてきた。

「そうだと思います。そのミンミ様が言われたのです。そんな危険なマイラ様だが打つ手はないことはないと」
「ライラ嬢。それはどうすれば良いのだ?」
思わず王子様が私に聞いてきた。ここで本来ならば私が聖女になっていたら私が治すと言えた……いや、聖女も病気は治せないのだった。

ここは地味ダサ女にやるだけやらして、出来ないと判って大恥をかかして二人の仲を邪魔してやるのだ。

「はい。聖女様がおっしゃるには新聖女様なら治せると」
「新聖女様?」
「はい。それを聞いた途端にニーナが駆け出したのです」
私は言い切った。こでもう地味ダサ女は逃げられないのだ。

「あなたは新聖女様がニーナさんだと思うのですか」
「私はよく判りませんが、おそらくニーナはそう思ったんだと思います」
そう言うと思いっきり私は地味ダサ女の足を踏んでやったのだ。

「痛い!」
地味ダサ女は痛さにうめいて頭を下げた。

「ほら、このように頷いています」
私は言い切ってやった。これでもう逃げ切れまい。

「ニーナさん。あなたがマイラさんを治すというのですか」
「はい。出来るかどうかは判りませんが、聖女様の神託が出た限りやるしか無いかと」
来た! 馬鹿だ! ついに地味ダサ女ははっきりと認めたのだ。

「なんとも信じられないことですが」
ペトラが疑い深そうに地味ダサ女を見る。

「先生は前聖女様の神託を疑われるのですか?」
「そうとは言いませんが、」
「事は一刻も争うのです。殿下。マイラ様は病気で苦しんでいらっしゃるのです。前聖女様の神託で、私が治せる可能性があるかもしれないんです。すぐにマイラ様の所に連れて行って下さい。お願いします」
地味ダサ女はこんな時はとても積極的だ。最後に自分が恥をかくとも知らないで。


「いや、でも、こんな時間に」
「会長、時間がないんです。今こうしている間もマイラ様が苦しんでいらっしゃるかと思うと私は胸が痛くて……お願いします」
「判った。そこまで言うなら行こう」

よし、これで地味ダサ女も終わりだ。

私は早速地味ダサおんなが「私が絶対にマイラ様を治して見せます。出来なかったら責任取って学園を退学します」
と言い切ったと噂を流そうと決意したのだ。

********************************************************

ここまで読んで頂いて有難うございます。

このサイドストーリーの
『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて恋してしまいました』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/497818447

は完結しました。

まだの方はぜひともお読み下さい。
この話も後少しで完結の予定です。

また、私の初書籍『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』
https://www.regina-books.com/lineup/detail/1056603/9532

皆様方の応援のお陰で全国の書店様で大好評販売中です。
まだの方はぜひとも読んで頂けたら嬉しいです!

また、16日くらいからこの第六部開始予定です。

お楽しみに!

下に両方のリンク張っています。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

悪女で候。十回の前世で聖女はやめました、現世は聖痕を血痕で塗りかえます。

KUMANOMORI(くまのもり)
恋愛
ジェラートはこれまで十回聖女として生きてきた。初恋の幼なじみと結ばれたい一心でいたが、転生した十回目の聖女人生でやっと彼と婚姻した。しかしあまりにひどい結婚生活に絶望する。 聖女として生きればひどい結婚や処遇を経験するため、十一回目は悪女として生きることを決意し転生した。 「聖女なのに淫ら」と貶され続けてきたことに我慢ならなくなったジェラートは、今度は悪女として生きることを決意する。聖女信仰に対抗するため、帝国軍御用達の娼婦を志し孤児院を出るが――――

【R18】らぶえっち短編集

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)  R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。 ※R18に※ ※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。 ※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。 ※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。 ※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。

【続編】第二側妃様付きの侍女は嘘を見抜く~転生した元プロファイラーは行動心理学でチートしながら悪を暴く

きのと
恋愛
「婚約破棄を繰り返す男」 白皙の美青年が婚約破棄を繰り返すのはなぜなのか?元プロファイラーの主人公が、青年のしぐさや言葉から嘘を見抜き、1枚の絵に秘められた想いを解き明かす。 「赤い羽根付き帽子の女」 仮面舞踏会でひときわ注目を集めていた伯爵の美しき愛人が遺体で発見される。どうやら舞踏会から帰宅した直後に居直り強盗に襲われたらしいのだが、一つの疑問が浮かび上がる。ーーーーなぜ彼女は靴を履き替えたのか? 「過去を捨てた老人」 元軍人の老人が殺害された。偽名を使い、過去を隠して生きてきた老人の背負っていた決して赦されぬ罪が明らかになる。 後宮で起こった毒殺事件を解決した、『第二側妃様付きの侍女は嘘を見抜く~転生した元プロファイラーは行動心理学でチートしながら悪を暴く』の侍女&騎士様ペアのその後の短編×3話。 無事に婚約した二人が新たな事件を解決していきます。 この話だけでも大丈夫ですが、できましたら前作より読んでいただけるとよりわかりやすいかと思います。 もう侍女ではなくなってしまい、看板に偽りありになってしまいますが、同じ主人公のためタイトルはそのまま使いました。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

特別な魔物

コプラ
BL
 高校三年生の青柳絵都は、最近変わった夢を見ている。透ける様な金髪の貴公子の部屋で自分は小人になっていたものの、日頃叶えられない開放感を味わった。過酷な毎日に疲れていた絵都は、その夢の中でぐっすり眠るのが楽しみの一つになっていた。 夢の世界に魔物として囚われた絵都の波乱の人生の幕開け、冒険と幸福、そして人生からすり抜けたと思っていた愛を再び手にする異世界BL物語。 貴族令息の主をガンガン振り回す無自覚エロい絵都の関係性と、世界観を楽しんで下さい♡

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

処理中です...