9 / 44
悪役令嬢と第二王子殿下が氷の侯爵令息に怒られました
しおりを挟む
「これは聞き捨てに出来ないな。ユリアナ嬢」
横から今まで嬉しそうに見ていた陰険侯爵令息が顔を怒らせて出てきたんだけど、こいつは絶対に喜んでやっている。私の方をちらりと見た顔が笑っていたような気がしたのは絶対に気の所為だ。こいつに好かれて良いことはなにもない。
バッドエンドはこの陰険王子に監禁されてしまうのだ。
「これはアクセリ様」
流石の悪役令嬢も驚いて、いや、恐怖に引きつった顔をしているんだけど。
そう、これは絶対に相手が悪いのだ。
「君はこの会を運営する生徒会に難癖をつけるつもりか。我々が監視しているこの競技によって、卑怯な事など出来るはずがないのだが。確かな証拠があって言っているのだろうな!」
ギロリっと陰険令息の目が光ったんだけど。
「いえ、それは……」
思わずユリアナは口ごもった。
「いや、アクセリ。彼女もそこまでのつもりは」
「これは殿下までいらっしゃったとは」
アクセリはニコリとほほ笑んだ。でも目が全然笑っていない。獲物を前にした猛獣のようなんだけど。そのアクセリに睨まれて殿下までピクリと怯えたように震えた……
「では、どういうつもりだったのですか? 殿下、我々は学園則にのっとって、学園に入学した新入生を、身分の差など関係なしに一日も早くこの学園に慣れていただくように、このオリエンテーションを運営しているのです。当然王族の殿下はご理解賜っていると思いますが」
「いや、まあ……」
人間としての格が違いすぎた。殿下はもうしどろもどろだ。
私は第二王子狙いは完全に止めることにした。
やはり第一王子様だ。この地味ダサ女をエスコートした後私を見たら、絶対に私の美しさが際立つはずだ。
地味ダサ女は何か恐怖の表情で陰険令息を見ているんだけど。
こいつに恐怖を感じさせるなんて余程のことだ。
まあ、私もできる限り噛みたくない相手ではある。
「アクセリ・トウロネン侯爵令息よ」
この地味ダサ女に教えてあげたのだ。
「公爵と侯爵ってどっちが上なの?」
そうしたらこの女はまた頓珍漢な質問をしてきたんだけど。
「基本は公爵のほうが上よ。あんたも、いい加減に一からちゃんと覚えなさい」
「そうする」
「アクセリ様は第一王子殿下の側近で副会長なのよ」
怒られる悪役令嬢である公爵令嬢と第二王子殿下を見て不思議そうにしていた地味ダサ女に私はわざわざ教えてやったのだ。本当に疲れる。
10分くらい怒られた後でやっと私達は開放されたのだ。
何か、こちらを見る陰険令息の視線が生暖かく感じるのは気のせいか?
私は無視することにした。
「そこの不敬女、覚えておきなさいよ」
別れしなに悪役令嬢は地味ダサ女に言ってくれた。良かった、私は目をつけられなくて
「どっちかと言うと被害にあったの私なんですけど……」
地味ダサ女が怒っているが、
「お前って凄いな」
平民の一人が呆れたように言ってくれた。
「平民のくせに、第一王子殿下に無理やりエスコートさせることにするわ、第二王子殿下と喧嘩するわ、挙句の果てにあの煩いと有名な公爵令嬢に睨まれるなんて」
「本当よね。この学内のベスト3と初日で絡むなんて普通はあり得ないわ」
私も頷いたのだ。本当に疲れた。
「そんな事は知らないわよ。そもそも私は元々地味で大人しいんだから」
「「「「そんな訳無いでしょ(だろ)!」」」」
流石の穏健な私もその言葉には切れてしまったのだ。
***********************************************************
この話の地味ダサ令嬢ニーナ主人公の物語はこの下10センチのリンククリックください。
その下には私の初書籍『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』のヒロイン、フランの最高にかっこいい表紙からリンクできます。
読んで頂けから嬉しいです!
横から今まで嬉しそうに見ていた陰険侯爵令息が顔を怒らせて出てきたんだけど、こいつは絶対に喜んでやっている。私の方をちらりと見た顔が笑っていたような気がしたのは絶対に気の所為だ。こいつに好かれて良いことはなにもない。
バッドエンドはこの陰険王子に監禁されてしまうのだ。
「これはアクセリ様」
流石の悪役令嬢も驚いて、いや、恐怖に引きつった顔をしているんだけど。
そう、これは絶対に相手が悪いのだ。
「君はこの会を運営する生徒会に難癖をつけるつもりか。我々が監視しているこの競技によって、卑怯な事など出来るはずがないのだが。確かな証拠があって言っているのだろうな!」
ギロリっと陰険令息の目が光ったんだけど。
「いえ、それは……」
思わずユリアナは口ごもった。
「いや、アクセリ。彼女もそこまでのつもりは」
「これは殿下までいらっしゃったとは」
アクセリはニコリとほほ笑んだ。でも目が全然笑っていない。獲物を前にした猛獣のようなんだけど。そのアクセリに睨まれて殿下までピクリと怯えたように震えた……
「では、どういうつもりだったのですか? 殿下、我々は学園則にのっとって、学園に入学した新入生を、身分の差など関係なしに一日も早くこの学園に慣れていただくように、このオリエンテーションを運営しているのです。当然王族の殿下はご理解賜っていると思いますが」
「いや、まあ……」
人間としての格が違いすぎた。殿下はもうしどろもどろだ。
私は第二王子狙いは完全に止めることにした。
やはり第一王子様だ。この地味ダサ女をエスコートした後私を見たら、絶対に私の美しさが際立つはずだ。
地味ダサ女は何か恐怖の表情で陰険令息を見ているんだけど。
こいつに恐怖を感じさせるなんて余程のことだ。
まあ、私もできる限り噛みたくない相手ではある。
「アクセリ・トウロネン侯爵令息よ」
この地味ダサ女に教えてあげたのだ。
「公爵と侯爵ってどっちが上なの?」
そうしたらこの女はまた頓珍漢な質問をしてきたんだけど。
「基本は公爵のほうが上よ。あんたも、いい加減に一からちゃんと覚えなさい」
「そうする」
「アクセリ様は第一王子殿下の側近で副会長なのよ」
怒られる悪役令嬢である公爵令嬢と第二王子殿下を見て不思議そうにしていた地味ダサ女に私はわざわざ教えてやったのだ。本当に疲れる。
10分くらい怒られた後でやっと私達は開放されたのだ。
何か、こちらを見る陰険令息の視線が生暖かく感じるのは気のせいか?
私は無視することにした。
「そこの不敬女、覚えておきなさいよ」
別れしなに悪役令嬢は地味ダサ女に言ってくれた。良かった、私は目をつけられなくて
「どっちかと言うと被害にあったの私なんですけど……」
地味ダサ女が怒っているが、
「お前って凄いな」
平民の一人が呆れたように言ってくれた。
「平民のくせに、第一王子殿下に無理やりエスコートさせることにするわ、第二王子殿下と喧嘩するわ、挙句の果てにあの煩いと有名な公爵令嬢に睨まれるなんて」
「本当よね。この学内のベスト3と初日で絡むなんて普通はあり得ないわ」
私も頷いたのだ。本当に疲れた。
「そんな事は知らないわよ。そもそも私は元々地味で大人しいんだから」
「「「「そんな訳無いでしょ(だろ)!」」」」
流石の穏健な私もその言葉には切れてしまったのだ。
***********************************************************
この話の地味ダサ令嬢ニーナ主人公の物語はこの下10センチのリンククリックください。
その下には私の初書籍『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』のヒロイン、フランの最高にかっこいい表紙からリンクできます。
読んで頂けから嬉しいです!
0
お気に入りに追加
497
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したら、ヒロインが鬼畜女装野郎だったので助けてください
空飛ぶひよこ
恋愛
正式名称「乙女ゲームの悪役令嬢(噛ませ犬系)に転生して、サド心満たしてエンジョイしていたら、ゲームのヒロインが鬼畜女装野郎だったので、助けて下さい」
乙女ゲームの世界に転生して、ヒロインへした虐めがそのまま攻略キャラのイベントフラグになる噛ませ犬系悪役令嬢に転生いたしました。
ヒロインに乙女ゲームライフをエンジョイさせてあげる為(タテマエ)、自身のドエス願望を満たすため(本音)、悪役令嬢キャラを全うしていたら、実はヒロインが身代わりでやってきた、本当のヒロインの双子の弟だったと判明しました。
申し訳ありません、フラグを折る協力を…え、フラグを立てて逆ハーエンド成立させろ?女の振りをして攻略キャラ誑かして、最終的に契約魔法で下僕化して国を乗っ取る?
…サディストになりたいとか調子に乗ったことはとても反省しているので、誰か私をこの悪魔から解放してください
※小説家になろうより、改稿して転載してます
【短編】転生悪役令嬢は、負けヒーローを勝たせたい!
夕立悠理
恋愛
シアノ・メルシャン公爵令嬢には、前世の記憶がある。前世の記憶によると、この世界はロマンス小説の世界で、シアノは悪役令嬢だった。
そんなシアノは、婚約者兼、最推しの負けヒーローであるイグニス殿下を勝ちヒーローにするべく、奮闘するが……。
※心の声がうるさい転生悪役令嬢×彼女に恋した王子様
※小説家になろう様にも掲載しています
ブス眼鏡と呼ばれても王太子に恋してる~私が本物の聖女なのに魔王の仕返しが怖いので、目立たないようにしているつもりです
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
恋愛
初めてなろう恋愛日間ランキングに載りました。学園に入学したエレはブス眼鏡と陰で呼ばれているほど、分厚い地味な眼鏡をしていた。エレとしては真面目なメガネっ娘を演じているつもりが、心の声が時たま漏れて、友人たちには呆れられている。実はエレは7歳の時に魔王を退治したのだが、魔王の復讐を畏れて祖母からもらった認識阻害眼鏡をかけているのだ。できるだけ目立ちたくないエレだが、やることなすこと目立ってしまって・・・・。そんな彼女だが、密かに心を寄せているのが、なんと王太子殿下なのだ。昔、人買いに売られそうになったところを王太子に助けてもらって、それ以来王太子命なのだ。
その王太子が心を寄せているのもまた、昔魔王に襲われたところを助けてもらった女の子だった。
二人の想いにニセ聖女や王女、悪役令嬢がからんで話は進んでいきます。
そんな所に魔王の影が見え隠れして、エレは果たして最後までニセ聖女の影に隠れられるのか? 魔王はどうなる? エレと王太子の恋の行方は?
ハッピーエンド目指して頑張ります。
第12回ネット小説大賞一次通過
小説家になろう、カクヨムでも掲載中です。
【完結】聖女として召喚されましたが、無力なようなのでそろそろお暇したいと思います
藍生蕗
恋愛
聖女として異世界へ召喚された柚子。
けれどその役割を果たせないままに、三年の月日が経った。そして痺れを切らした神殿は、もう一人、新たな聖女を召喚したのだった。
柚子とは違う異世界から来たセレナは聖女としての価値を示し、また美しく皆から慕われる存在となっていく。
ここから出たい。
召喚された神殿で過ごすうちに柚子はそう思うようになった。
全てを諦めたままこのまま過ごすのは辛い。
一時、希望を見出した暮らしから離れるのは寂しかったが、それ以上に存在を忘れられる度、疎まれる度、身を削られるような気になって辛かった。
そこにあった密かに抱えていた恋心。
手放せるうちに去るべきだ。
そう考える柚子に差し伸べてくれた者たちの手を掴み、柚子は神殿から一歩踏み出すのだけど……
中編くらいの長さです。
※ 暴力的な表現がありますので、苦手な方はご注意下さい。
他のサイトでも公開しています
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
みんなが嫌がる公爵と婚約させられましたが、結果イケメンに溺愛されています
中津田あこら
恋愛
家族にいじめられているサリーンは、勝手に婚約者を決められる。相手は動物実験をおこなっているだとか、冷徹で殺されそうになった人もいるとウワサのファウスト公爵だった。しかしファウストは人間よりも動物が好きな人で、同じく動物好きのサリーンを慕うようになる。動物から好かれるサリーンはファウスト公爵から信用も得て溺愛されるようになるのだった。
貴族としては欠陥品悪役令嬢はその世界が乙女ゲームの世界だと気づいていない
白雲八鈴
恋愛
(ショートショートから一話目も含め、加筆しております)
「ヴィネーラエリス・ザッフィーロ公爵令嬢!貴様との婚約は破棄とする!」
私の名前が呼ばれ婚約破棄を言い渡されました。
····あの?そもそもキラキラ王子の婚約者は私ではありませんわ。
しかし、キラキラ王子の後ろに隠れてるピンクの髪の少女は、目が痛くなるほどショッキングピンクですわね。
もしかして、なんたら男爵令嬢と言うのはその少女の事を言っています?私、会ったこともない人のことを言われても困りますわ。
*n番煎じの悪役令嬢モノです?
*誤字脱字はいつもどおりです。見直してはいるものの、すみません。
*不快感を感じられた読者様はそのまま閉じていただくことをお勧めします。
加筆によりR15指定をさせていただきます。
*2022/06/07.大幅に加筆しました。
一話目も加筆をしております。
ですので、一話の文字数がまばらにになっております。
*小説家になろう様で
2022/06/01日間総合13位、日間恋愛異世界転生1位の評価をいただきました。色々あり、その経緯で大幅加筆になっております。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる