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第五部 小国フィーアネンの試練編
女の敵、王配をショックを受けた女王に成り代わって殴り飛ばしました
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「何事ですか?」
ぐるりと囲んだ騎士たちに女王が立ち上がって叫ぶ。女王の後ろに立っていた近衛騎士が前に出る。
「陛下を惑わす、偽のエルグラン王太子とその婚約者と偽る佞人を排除致します。陛下はお退き下さい」
騎士団長が叫ぶ。
「なりませぬ。あなた方は我が国の恩人のルブラン公爵夫妻の娘でいらっしゃるフランソワーズ様にに仇なすと言うのですか?」
女王がきっとして騎士達を睨み付けた。
「妃よ、エルグランは大国とはいえ、ここまでは遠い。彼らが知ったところで何ほどの事が出来よう」
少し小太りの偉そうな男が言った。
「あなた、何を言うのです。20年前、彼らは私達を助けてくれたではありませんか?」
女王は悲壮な顔をして言った。女王があなたと言う限り彼が王配なのだろう。
「その結果、確かに助かったが、我々は周りの国々から孤立した。今も周辺国と貿易面で冷遇されているのは事実であろう」
「確かにそういう面もありますが、周辺諸国はエルグランの威の元わが国には手出し出来ないではありませんか」
「陛下はそう言われるが、各国との調整をするわが身になって頂きたい」
王配は自分が犠牲者だというジェスチャーをしてくれた。
「何を言うのです。一緒に苦労してきたではないですか」
「よくそのように言われる。陛下はそこにただ座っておらただけでしょう。南の新興国に頼る我が国に対しての周辺各国からの蔑みに、私が今までどれほどの苦労をしてきたか」
「あなた、そんなふうに思っていたのですか」
王配の苦渋にゆがんだ顔に女王はショックを受けていた。
でも、この感じは何故かいつも私がジェドやメラニーに言われていることにとても似ているんだけど。やっぱり上に立つ者はいつも下からこのように虐められるものなのだ。私は一人で納得した。
そうメラニーに後で言ったら真剣に額を押さえて
「あんた、良い性格しているわ。上に立つ人間って本当に自分勝手なのよね」
って言われたんだけど、ええええ!
いつも私を虐めるメラニーとかに比べたら余程友達想いよ。
「まあまあ、陛下。ここは私の顔を立てると思って、今回の事は見ない事にして頂くと言うことでどうですかな?」
この修羅場に何故かガマガエルが出てきたんだけど。
「何を言っているのです。貴様こそ、バイエフエルトの犬ではないですか!」
女王が激昂して叫ぶ。
「これは言われましたな。ここまで言われる筋合いは無いと存じますが……
我が国の陛下は未だにあなた様にご執心だとか。何でしたら愛人にとご所望ですぞ」
ニヤニヤ笑ってガマガエルが言うんだけど、こいつはセクハラ親父だ。私の一番嫌いなタイプだ。
「なんですって! あなた、何とか言って!」
女王がそのガマガエルの横にいる王配にすがるように言った。
「まあ、陛下。バイエフエルトは大国、残念ながら我が国が逆らう術は無いのです」
残酷にも王配が宣告するんだけど。こいつ王配のくせに女王を守らないとは何事なんだ。アドが同じことを言ったら即座に叩き出すんだけど。……そう言ったら王配の立場にあるのはあんたでしょってメラニーに言われたんだけど……アドを追い出したら反逆になってしまうのだろうか?
「そうです。叔母上さえ我慢すれば、この国の安全は保証すると」
そこにこの国の王太子、子供のいない陛下たちの弟の子供のはずだ、そんな奴までが言い出したのか。なんて奴らだ。自分さえ良ければ良いのか! 普通は叔母を守れよ。
「それに加えて、今回女王陛下をバイエフェルトの国王陛下に献上される王配殿下には、バイエフェルトの陛下の愛人の一人を下賜されるそうです」
ガマガエルがなんか言っているんだけど。
「威張っているその方と違って従順で可愛げのある者だそうだ」
そう言って王配がニヤリと笑ったのだ。
「そんな」
女王は悄然として膝をついたのだ。
長年連れ添っていた王配に裏切られたのだ。それはショックだろう。
ピンク頭に胸を押し付けられて鼻の下延ばしていたアドにプッツンキレた私は良く判る。アドをちらりと睨んだらギョッとした顔をしていたんだけど。
私は完全に切れていた。こんなくず共が許されていいはずはない!
バキン!
私はアドからもらった剣を地面に突き刺したのだ。
ビキビキビキビキ
地面にヒビが走る。
皆ぎょっとして私を見るんだけど。
「ちょっとフラン」
アドが止めようとするが、
「ごめん、アド、もう許せない」
私は剣を構えてた。
「王配、アーべ! このフランソワーズ・ルブランの目の前で良くそこまで我が母の盟友ラウラ陛下を愚弄できたな! 貴様だけは許さん」
私は剣のさやを抜いたのだ。
「ふんっ、魔術の封じられた貴様に何が出来るのだ」
馬鹿にしたように王配の野郎は言ってくれるんだけど。
「良く言った。その言葉。地獄で後悔するが良い」
私はそう叫ぶと、一瞬でその腐りきった王配に駆け寄る。
護衛の騎士たちが止めようとするが、
「退け!」
と叫んでいた。
私のあまりの剣幕に驚いたのか、二三人は慌ててどいたが、反応の鈍い騎士はそのまま弾き飛ばす。
そして、一瞬で王配の前に立つと渾身の力を籠めて恐怖にゆがむその王配の顔面を殴りつけていたのだ。
バシーーーーン
凄まじい音とともに王配は壁を突き破って外に飛んで行ったのだ。
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怒り狂ったフランの前に敵なしです!
お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます!
まだまだ続きます!
ぐるりと囲んだ騎士たちに女王が立ち上がって叫ぶ。女王の後ろに立っていた近衛騎士が前に出る。
「陛下を惑わす、偽のエルグラン王太子とその婚約者と偽る佞人を排除致します。陛下はお退き下さい」
騎士団長が叫ぶ。
「なりませぬ。あなた方は我が国の恩人のルブラン公爵夫妻の娘でいらっしゃるフランソワーズ様にに仇なすと言うのですか?」
女王がきっとして騎士達を睨み付けた。
「妃よ、エルグランは大国とはいえ、ここまでは遠い。彼らが知ったところで何ほどの事が出来よう」
少し小太りの偉そうな男が言った。
「あなた、何を言うのです。20年前、彼らは私達を助けてくれたではありませんか?」
女王は悲壮な顔をして言った。女王があなたと言う限り彼が王配なのだろう。
「その結果、確かに助かったが、我々は周りの国々から孤立した。今も周辺国と貿易面で冷遇されているのは事実であろう」
「確かにそういう面もありますが、周辺諸国はエルグランの威の元わが国には手出し出来ないではありませんか」
「陛下はそう言われるが、各国との調整をするわが身になって頂きたい」
王配は自分が犠牲者だというジェスチャーをしてくれた。
「何を言うのです。一緒に苦労してきたではないですか」
「よくそのように言われる。陛下はそこにただ座っておらただけでしょう。南の新興国に頼る我が国に対しての周辺各国からの蔑みに、私が今までどれほどの苦労をしてきたか」
「あなた、そんなふうに思っていたのですか」
王配の苦渋にゆがんだ顔に女王はショックを受けていた。
でも、この感じは何故かいつも私がジェドやメラニーに言われていることにとても似ているんだけど。やっぱり上に立つ者はいつも下からこのように虐められるものなのだ。私は一人で納得した。
そうメラニーに後で言ったら真剣に額を押さえて
「あんた、良い性格しているわ。上に立つ人間って本当に自分勝手なのよね」
って言われたんだけど、ええええ!
いつも私を虐めるメラニーとかに比べたら余程友達想いよ。
「まあまあ、陛下。ここは私の顔を立てると思って、今回の事は見ない事にして頂くと言うことでどうですかな?」
この修羅場に何故かガマガエルが出てきたんだけど。
「何を言っているのです。貴様こそ、バイエフエルトの犬ではないですか!」
女王が激昂して叫ぶ。
「これは言われましたな。ここまで言われる筋合いは無いと存じますが……
我が国の陛下は未だにあなた様にご執心だとか。何でしたら愛人にとご所望ですぞ」
ニヤニヤ笑ってガマガエルが言うんだけど、こいつはセクハラ親父だ。私の一番嫌いなタイプだ。
「なんですって! あなた、何とか言って!」
女王がそのガマガエルの横にいる王配にすがるように言った。
「まあ、陛下。バイエフエルトは大国、残念ながら我が国が逆らう術は無いのです」
残酷にも王配が宣告するんだけど。こいつ王配のくせに女王を守らないとは何事なんだ。アドが同じことを言ったら即座に叩き出すんだけど。……そう言ったら王配の立場にあるのはあんたでしょってメラニーに言われたんだけど……アドを追い出したら反逆になってしまうのだろうか?
「そうです。叔母上さえ我慢すれば、この国の安全は保証すると」
そこにこの国の王太子、子供のいない陛下たちの弟の子供のはずだ、そんな奴までが言い出したのか。なんて奴らだ。自分さえ良ければ良いのか! 普通は叔母を守れよ。
「それに加えて、今回女王陛下をバイエフェルトの国王陛下に献上される王配殿下には、バイエフェルトの陛下の愛人の一人を下賜されるそうです」
ガマガエルがなんか言っているんだけど。
「威張っているその方と違って従順で可愛げのある者だそうだ」
そう言って王配がニヤリと笑ったのだ。
「そんな」
女王は悄然として膝をついたのだ。
長年連れ添っていた王配に裏切られたのだ。それはショックだろう。
ピンク頭に胸を押し付けられて鼻の下延ばしていたアドにプッツンキレた私は良く判る。アドをちらりと睨んだらギョッとした顔をしていたんだけど。
私は完全に切れていた。こんなくず共が許されていいはずはない!
バキン!
私はアドからもらった剣を地面に突き刺したのだ。
ビキビキビキビキ
地面にヒビが走る。
皆ぎょっとして私を見るんだけど。
「ちょっとフラン」
アドが止めようとするが、
「ごめん、アド、もう許せない」
私は剣を構えてた。
「王配、アーべ! このフランソワーズ・ルブランの目の前で良くそこまで我が母の盟友ラウラ陛下を愚弄できたな! 貴様だけは許さん」
私は剣のさやを抜いたのだ。
「ふんっ、魔術の封じられた貴様に何が出来るのだ」
馬鹿にしたように王配の野郎は言ってくれるんだけど。
「良く言った。その言葉。地獄で後悔するが良い」
私はそう叫ぶと、一瞬でその腐りきった王配に駆け寄る。
護衛の騎士たちが止めようとするが、
「退け!」
と叫んでいた。
私のあまりの剣幕に驚いたのか、二三人は慌ててどいたが、反応の鈍い騎士はそのまま弾き飛ばす。
そして、一瞬で王配の前に立つと渾身の力を籠めて恐怖にゆがむその王配の顔面を殴りつけていたのだ。
バシーーーーン
凄まじい音とともに王配は壁を突き破って外に飛んで行ったのだ。
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