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第三部 ルートン王国交換留学編

婚約者は私との仲の良い画像を知らない間にルートン国内で大々的に流してくれました

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私の周りはいろいろと煩かったが、演劇当日までもう一週間切っていた。
私達は周りの雑音にもかかわらず、必死に練習していた。
本当に、くだらない事には構っている暇はないのだ。

あれから王太子は全く無視した。いろんな物が贈られてくるのだが、オーレリアンを通して突き返してやったのだ。文句を言うオーレリアンを見ても王太子は平然としていたそうだけど。

それに対して、ソニアは高熱を出したとかで会えなかったんだけど。女のソニアには私は少し同情した。

でも、これはあの二人の問題だ。

男女の間の事は私は関係ないし、どうしようもないのだ。


なのにだ!

「フラン、聞きましたわよ。あなた、アドルフ様という婚約者がありながら、フェリペ殿下に流し目を送ったんですって」
「本当に人とのことは散々文句を言っておきながら、自分は同じ事をやるなんて最低」
グレースやピンク頭まで言ってくるなんて。本当にむかつくんだけど。

「おほほほほ。美しいって罪ですわ」
私は二人に言ってやったのだ。
でも、二人は唖然と見ているし、周りの皆はギョッとして見ているんだけど。

「ついに、フランは練習のし過ぎで気が狂ったのか?」
そう呟いたドミンゴには傍にあった脚本を投げつけてやった。
私が美しいはずはないと思うわよ。この二人に比べてもね。でも、メラニーがそう言えって言っているんだもの。

メラニーが作ってくれた悪役令嬢の撃退マニュアルその三にそう書かれているのよ!

「いるだけなのに、男どもが皆が私の事を好きになってくれるんですの」
そのまま演技を続けるんだけど、みんなの視線がつらい。

「ねえ、どうしたの? フランは」
「本当ですね。練習のし過ぎで、おかしくなったのかもしれませんわ」
グレースがメラニーと話しているんだけど、おいおいメラニー! こう言えって言ったのはお前だろうが! 一緒に不思議がるなよ!

「どう見てもあれはグレースの真似よね」
ぼそりとピンク頭が言ってくれるんだけど、

「ちょっと、どこ見て言っているのよ」
「どう見ても違うでしょ」
私たち二人は同時にピンク頭に叫んでいたけど、ピンク頭はどこ吹く風だ。

「えっ? だって雰囲気がそっくりじゃない」
『こいつと一緒にしないで!』
私達の言葉を全く無視してくれたけど。

しかし、彼女らも相当にしつこい。この二人とシルビアが二日と間を空けずに交代でやってくるんだけど。相も変わらず、ソニアには避けられているし。

まあ、私にとって、アルメリア王国がどうの、ルートン王国がどうのは関係ない。

私はエルグランのいや、ルブランのフランなんだから。

基本的に内政には絶対に干渉してはいけないって言われているし。

それは弟たちからもしっかりと釘を刺されていた。それに二人の仲は所詮二人にしかわからないのだから。



「はあい、みんな、お疲れ様」
適当に二人を撃退した夕食の後に、テオドラがお菓子を持ってきたのだ。

「これ、アドルフ殿下からの差し入れよ」
「えっ、アドからの?」
私がむっとして言うと、
「じゃあフランはいらないんだ」
テオドラが取り上げようとする。

「誰もいらないなんて言っていないじゃない」
私は慌ててそのお菓子を掴んだ。

それはテオドラの家のホワイトプリンだった。
それも、2つのカップがくっついているカッププリンだ。

その入れ物自体が何かアドと私に似ているんだけど。

「これって、ひょっとして、殿下とフランの婚約十周年の記念のお菓子なわけ?」
エドガルドが聞いてきた。
「えっ、そんなの聞いていない」
「そうなのよ。殿下に許可貰って作りました」
私の声は無視してテオドラが言っているんだけど。

どういうことよ。
私が少しムッとして思った。

「じゃあ、みんな注目」
そして、目の前で何か操作していたガスペルが、ボタンを押すと、壁に画像が出てきたんだけど。

「一年Eクラスの皆さん。最後の練習、頑張っていらっしゃると思います」
そこにはデカデカとアドが映り出したんだけど。

なんかアドの顔が懐かしい。そう言えばしばらく会っていなかった。

「テオドラ嬢のお店で、私とフランの婚約十周年のお菓子を作ってくれたと言うので、ガスペル君に協力してもらって簡単な宣伝を作ったので、見て下さい」
そうアドが宣言すると、

なんと、小さい時の私が映ったんだけど、

「ちょっと、そこの貴方。手伝って」
私が婚約者選定お茶会で女の子に囲まれているアドを強引に連れ出す所だった。

「こんな風にフランは強引です」
アドのナレーションが入るんだけど、ちょっと止めてよ。こんな古いの。と言うか残していたんだ。

「な、なんで、アドは直ぐにできるの?」
これ勉強でアドに完璧に負けたところだ。

「教えてやろうか?」
「ふんっ、良いもん! 自分で考えるもん」
私がすねていた。

「こういう風に拗ねるところもかわいくて」
「ちょっと待ってよ」
私が叫ぶが画像が止まるわけない。私は真っ赤になっていた。

「フラン様、かわいい」
イネなんて感激しているんだけど。

「くっそう、なんでフランは出来るんだよ」
「えっ? アドこんなのも出来ないの?」
今度は魔術の訓練しているところだ。

「教えてあげましょうか?」
「自分でやるわ!」
怒るアドが懐かしい。アドも可愛いと思わず思ってしまったのは秘密だ。

「自慢する憎たらしいフランも、今から思うと可愛かった」

次はジュセニアの料理屋のお店で食べさせ合っている私達だ。
バネッサの本屋で本を二人で見ているところが映って、
ベロニカの小間物店では髪飾りをアドが私にさしてくれた。

「こんな風に十年間過ごしてきた僕らは今後も一緒にやっていきます」
そして、海辺の夕日の中で寄り添う私達が映っていた。

「そんな私達の想いが詰まったプリンです」
お菓子が最後に出てきて終わっていた。

下には『婚約者をとても大切にしているエルグランの王太子』のテロップがデカデカと出てきたんだけど。

「これってフランに横恋慕している王太子殿下に対する嫌味よね」
テオドラのつぶやきに皆頷いている。

「と言う事で、これからもよろしくフラン」
画面のアドが言うんだけど。

「何言っているのよ。アルメニアの女に抱きつかれて鼻伸ばしていたのは許さないんだから」
私は画像に向かって叫んだ。

「いや、フラン、それは本当に勘違いだから、誤解させたのなら本当に申し訳なかった」
アドが拝み込んできたんだけど。

「絶対に許さない」
「いやゴメン。本当に許して」
最後はアドが土下座してきたんだけど。

「すげーええ。リアルタイムで返事しているみたい」
ガスペルが感動しているんだけど。

「えっ、これ録画なの?」
「録画?」
「記録した画像って意味よ」
「そらあそうだよ。この魔道具には連絡装置はないし」
「そうなんだ」
「すこいよな。殿下の愛」
「フランのこと思っているからタイミングもピッタリだったじゃん」
テオドラが言ってくれるんだけど。


「それよりもフラン、私の所の場面使ってくれて有難う」
ジュセニアらが感謝してくるんだけど。
こんな画像に使ってもらって嬉しいんだろうか?

私はこの装置が、貴族用食堂の大画面とかテオドラの家の前に置かれて延々と流されているのを知らなかったのだ。

後で聞いたら凄まじい宣伝効果でお客様が増えたと皆喜んでいた。


「こんな、小っ恥ずかしい映像流さないでよ!」
私は知った後に叫んだけど、もう手遅れだった。
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