上 下
63 / 309
第二部 帝国の逆襲

閑話 クラスの皆を公爵邸に招きました2 女風呂を覗かれたので男風呂の温度を上げました

しおりを挟む
皆を一通り、案内した後、各自お部屋に案内した。
基本は2名一室だ。
まあ、部屋なんて100室以上あるから空いてはいるんだが、人が少なくて掃除はしていないわ、水が出ないとか大変なのだ。
掃除とか修理やらでこの1週間本当に大変だった。こういう時にはアドにしてもヴァンにしても役立ってくれた。


部屋に入ってもらってゆっくりしてもらって、それから食事だ。


皆には我が公爵家のサッパーをじっくりと味わってもらおう。本当に良いのかと思いつつ、貴族が全て裕福とは限らないのだ・・・・



正装した皆が、食堂に集まってきた。

制服で良いって言ったのに、何故か皆ドレス着ている。オリーブとかも立派なドレス着ているけれど、聞くと、教会が迷惑かけたと作ってくれたそうだ。何か5年くらい前の流行遅れのドレスみたいだが・・・・

まあ、私の着ているドレス自体が、母のドレスを手直ししたものだから、まあ良いか?

「姉上。我が家の夕食の件は皆さんご存知なんですよね」
気にしてジェドが聞きに来たけれど、私はいかに公爵家が貧しいか、夕食を例に取りながら散々話したはずだ。それを違えるわけは無いはずだけど。何で皆正装なんだろう?

「夕食よね。私、お貴族様の家で夕食をごちそうになるの初めて」
ノエルが期待満々なんだけど。

「だから、うちはル・ブラン公爵家の夕食だからね。ノエルの家の方が良い夕食だって」
「またまた、そんな訳ないでしょ」
ノエルは期待感満載なんだけど・・・・

そこへ、クリストフ初め臨時給仕たちが、巨大なスープ皿を持ってきた。

「魔の森で取れた薬草スープでございます」
緑色の栄養満点のスープなのだ。

「えっ、これがスープ」
アルフなんて目が点だ。

「我が公爵領に隣接する魔の森に生えている、超高級な薬草を煎じて煮込んだものにございます。長寿になると言われている大変霊験あたかなスープです」
クリストフが自慢気に言うが、見た目はにがそうに見えるけれど、これは慣れるとクセになる味なのだ。魔の森の野営の時によく出される。でも、基本的に公爵領の横で取れるから費用は採取にかかる費用だけ。兵士が野宿する時は各自で集めて煮込むというとんでもない代物なのだ。
まあ、毒かどうかは徹底的に見分けの訓練をさせられるけど。

「さすが公爵家。長寿のスープなんて俺飲むの初めてだ」
バンジャマンが感心して言うけれど、これは絶対に取ってつけた嘘だ。そんなの初めて聞いた。薬草が入っているから体には良いと思うけれど・・・・。

「あっ、思ったほど苦くないわ」
「本当だ。普通に飲める」
ソレンヌとかイヴォンヌが言ってくれるけれど、そう、見た目ほど不味くはないのだ。

皆が飲み込んだ後に

「炊き込みご飯です」
クリストフが皆の前に披露する。

「えっ?」
皆唖然とする。

ご飯とグリーンピース、山菜(庭に生えている)を炊き込んだ、メインディッシュが出てきた。

「こちらはル・ブラン家、初代が始祖と供に統一戦において、戦の前に食べたと言われる由緒正しき料理でございます」
「なるほど、建国神話の時の食べ物というわけですか」
アルマンなど感心しているけれど、絶対に胡散臭い。金かけないための言い訳を適当に見つけ出して言っているに違いないと私は思うんだけど。

そして、続いてデザートなのだ。

「えっ、もうデザートなんだ」
「うそ」
ノエルとかは驚いている。

「だから言ったでしょ。うちは貧しいって」
「でも、公爵家なんでしょ。この国で2番めに偉い」
「二番目に金持ちなのはグレースのところよ。あそこの夕食は豪勢よ」
ノエルの問に私は応えた。

「文句は全部アドとヴァンに言ってよね」
私が言うと、

「いや、それは陛下に言ってくれ」
アドがあっさりと父親に振るんだけど。

「でも、殿下に給仕して頂けたなんて、一生の自慢できます」
ジャーキーが感激しているんだけど。あんた伯爵家令嬢じゃない。まあ、王宮でもアドが給仕することは絶対にない、と言うか初めてではないかと思うんだけど・・・・。確かに二度と無いかもしれない。

「でも、皆喜んで。デサートはドットケーキのケーキだから、好きなだけ食べてくれていいわよ。アドからの差し入れなの」
「殿下、いつもありがとうございます」
「本当だ。殿下には何度お菓子をごちそうになったことか。これは絶対に子供たちに自慢できるぞ」
ノエルとかバンジャマンは感激しているけれど。

「それ言うなら、フランと一緒のクラスメートだったんだから。それこそ一生自慢できるわよ」
メラニーが変なところでヨイショしてくれるんだけど。何か怪しい。



貧しい我が家のサッパーの後はお風呂タイムだ。
とりあえず、大浴場は男女用使えるようにしているので、お風呂は後で皆にはそっちに入ってもらうことにした。

ここは私の魔力が役立つ。

水をファイアーボールを突っ込んで一瞬でお湯にする。

巨大な露天風呂なのだ。

「凄い。フラン。滝まであるじゃない」
ノエルが感激しているんだけど。

そう、今日限定で、お風呂のお湯を巡回させて滝まで作っているのだ。いつもは面倒くさいからやっていないけれど、今日は特別だ。

こんな広い大きな湯船はどこにもない、ル・ブラン公爵家特製なのだ。

私はゆっくりと大露天風呂に入った。

その時だ。
「おい、やっぱりフランの胸はあんまりないぞ」
耳の良い私は聞き捨てならない男子共の言葉を聞いた。柵の隙間から覗いているらしい。

「お、メラニーの乳はデカいぞ」
「フランの倍くらいあるかな」

アイツラな。このお湯を見ているのが誰か忘れているみたいだ。

私は男子風呂のお湯の温度を上げた。


「ぎゃああああ」
「熱い」
「死ぬーーーー」
男子ぶろの温度が50度を超えて大騒ぎが起こっていたのだ。

ふん、ざまーみろだ!


その夜は女子は私の部屋に集まって夜通し騒いだのは言うまでもなかった。
*********************************************************
新作始めました
『転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした!勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/782706326

両親を幼い頃に殺された王女アンネローゼはその仇を討つために母国スカンディーナ王国に仲間とともに進出、アンネローゼ王国を建国した。
 悲劇の王女として祖国に暖かく迎え入れられると思ったのに、周りの民の反応は疫病神に対するようで、その上、そこに現れた勇者と名乗る男に魔王と言われ、自分が前世のゲーム『スカンディーナの聖女』のラスボス魔王だと知るのだ。何でこうなった? 自分は悲劇のヒロインのはずが・・・・。ラスボスは両親の仇、悪逆非道の摂政ブルーノのはずなのに・・・・。ブルーノが慈悲深い聖王だと・・・・そんな訳あるか! 
弱小国の軍隊を率いて必至にあがく可憐な王女のはずが、素手で勇者を粉砕、付いた渾名が暴虐の山姥、とか赤髪の魔王、私を見ると皆逃げていくんだけど、なんで・・・・。
前世コミュ障引きこもりだった私が気弱なふりをすればするだけドツボに嵌って・・・・。隣国の暴虐令嬢の先輩と大魔術師、冷酷非道な内務卿に良いように振り回されて、いく国盗り物語です。



『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/337638866

の続編です。是非ともお読みください。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。