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友人達は私が皇子の婚約者だったと知って悩んでいるのに、問題ないと相手にもしてくれませんでした

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結局その後、やってきたコンスとポピーに、ルードとの婚約していた事をヘレナにばらされてしまった。
「ヘレナ、勝手にばらさないでよ」
私が文句を言うと、
「でも、ルード様たちに黙っているように言われたの?」
「いや、それは言われていないけど、というか、また、私自身が納得していないし」
そう、私自身まだ心の整理ができていないのだ。

「私は王家から祖父が聞いていたと思うぞ。他国にいるライゼマン公爵家の親族がルードの婚約者候補に挙がっていると」
平然とコンスが言ってくれたけれど、そんなに広まっているの?
「まあ、宰相とかある程度の有力貴族は聞いているんじゃないか」
「えっ、そうなの」
私は頭を抱えてしまった。
「祖父は『二代続いてライゼマンから出るのはおかしいからお前がもっと頑張れ』とか言っていたけれど、クラウなら全然問題ないぞ。私はルードみたいな弱いやつは興味が無いからな。クラウがもらってくれるなら言う事はない」
「えっ、いや、私はもらわれる方なんだけど」
コンスがうれしそうに言ってくれるので私が否定すると、
「いやあ、これで祖父が静かになってこれほどうれしい事はない。会うたびにルードと仲良くなったかとうるさかったからな。もし反対するやつがいたらいえ、そいつは私から話をつけてやるからな」
なんかとんでもない事を言ってくれるんだけど、コンスが話したら完全に脅しだよね。学園内じゃ無敵じゃない……
「そういう事じゃなくて、私自身、聞いたのがこの週末でまだ頭の中で整理できていなくて」
「そうだな。あんな弱っちいルードじゃ、心配だろう」
「えっ、いや、ルードはそこまでは弱くないし、いつも助けてくれるから、そこは別に気にしてないけど」
「じゃあ、いいじゃないか」
コンスが強さ以外気にしないなら問題ないみたいに言うんだけど。
「コンス、他にも気にするところあるでしょ。容姿とか性格とか」
ポピーが横からフォローしてくれたが、
「いや、私は強さ以外は気にしないが」
「なんか、コンスは普通とは違うわよ」
「そうか」
ポピーに言われても全然動じないコンスだった。
「まあ良いわ。それよりもクラウよ。聖女とかが必死にアタックして失敗している人気のルード様との婚約に何の問題があるの? 容姿が趣味に合わないの?」
「えっ、別にそんなことは」
「じゃあ、性格?」
「意地悪なところはちょっと」
「えっ、ルード様意地悪なの?」
「それ初めて聞いたわ」
ポピーとヘレナが驚いて聞いてきた。

「昔、ちびとか出来ない子ちゃんとか虐められたし……」
「それでほっておかれたの」
「ううん、ブツブツ言いながら全部やってくれた」
「じゃあ良いじゃ無い」
「そういう問題?」
「だってほっておかれたんじゃなくて、ちゃんとしてくれたんでしょ」
「そうよ。この子ったらお魚の骨取るの苦手だからってルード様に取ってもらって食べさせてもらったそうよ」
「嘘!」
「それってラブラブじゃない!」
「でしょう」
3人はめちゃくちゃ盛り上がってくれているんだけど、
「いや、子供の頃からだから」
「好きでも無い子にそんなことしないわよ」
私の反論は即座にポピーに否定されてしまった。
「そもそも、二人して補講をしていることからしておかしかったもんね」
「それは私を連れてきた責任感からで」
「責任感からだけで何であなた一人の勉強を見るのよ」
「聖女が必死に私も見てほしいって言っているのに全く無視しているな」
「本来は100年に一度しか出ない聖女様なんだからそちらを優先するでしょ」
「絶対にルード様はあなたが好きなのよ」
3人して言ってくれるんだけど。
「いや、でも、親に言われたからやっているだけかもしれないじゃない」
「ルードが親に言われただけでやるか?」
「そうよ」
「絶対にしないわ」
3人が言ってくれるんだけど……

「容姿や性格に問題ないんなら良いじゃ無い」
「そんなこと言うけれど、元々私は属国の男爵令嬢なのよ。帝国貴族についてはほとんど知らないし、帝国の社交界で生きていく自信は無いわよ」
私はやっと理由が言えた。

「ええっ、でも、あなたライゼマン公爵家の親族で、ルード様の又従兄弟なんでしょ。たとえ、お相手がルード様で無くても、帝国内なら有力貴族の子弟との婚約になるんだから同じじゃない?」
「そうよ。それよりも相手の親兄弟の付き合いもあるんだから。皇帝ご夫妻も皇太子ご夫妻もあなたを歓迎してくれたんなら、それで問題ないんじゃ無い」
「えっ、皇帝ご夫妻も皇太子ご夫妻も歓迎してくれてるの? 凄いじゃない。なら全然問題ないわよ」
ポピーとヘレナが言ってくれるんだけど、いや、そこはそうなんだけど……
「そうだ。我が家も祖父以外は何も言わないはずだ。祖父も私が強く言えば何も言わないはずだから、帝国でライゼマンと我が家と皇家が良いって言ってるんだから、反対できる家なんて無いぞ」
コンスまで言い出してくれて、まあ、皇家からもらった宝剣を祖父から酔った勢いで取り上げたくらいだから、コンスの言うことは事実だと思うけれど、私に皇子妃なんて務まるわけないじゃない!

でも、私の言うことは誰も聞いてくれずにきゃーきゃー3人でもリアがつてくれたんだけど……


翌日だ。
私とポピーとヘレナの3人で昼食を食堂で食べているときだ。
コンスは部活動の話し合いがあるとかでその場にいなかった。

聖女の一団がこちらに向かって一目散に駆けてきたんだけど……
「ちょっと、そこのあなた。金曜日の夜にルード様と一緒に馬車に乗ったって本当なの」
聖女が大声で叫んだんだけど……

ちょっとやめてよ! みんなに聞こえるじゃない!

でも、遅かった。食堂にいたみんなが私を注目したのだ。
************************************************
昨日発売された私の電子書籍第三巻
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
honto様にて第2位
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楽天ブックス様で第7位
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獲得出来ました。他は調べられていないので、もっと良い順位があったかもしれませんが

これも応援して買って頂いた皆様方のおかげです。
本当に感謝の言葉もありません。
ありがとうございます。
まだの方は買って頂けたらうれしいです。

今後とも頑張って書いていくので、応援のほどよろしくお願いします

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