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ルード視点 クラウの父が父の権限で行かさないと言い出したので笑ってしまいました2

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「はじめまして、ルード様。カ、いえ、クラウディア・オイシュタットです」
娘が噛みながら挨拶してくれた。

「ほう、可愛らしい娘さんですな」
外務卿まで疑いもなく頷いてくれた。こいつは閣僚のくせにオイシュタット男爵の後継者を知らないのか?
俺は唖然とした。

「ふざけるな!」
俺は思わず怒りのあまり立ち上がったのだ。

「どうされたのですか? ルード様」
俺の様子に外務卿が驚き慌ててくれた。
「カスパー、先程の女を連れてこい」
俺は側近に命じた。

「どうしたのです。ルード様。この娘がクラウディアです」
「私、何かお気に召さないことをしたでしょうか」
「大丈夫よ。クラウディア、ルード様の勘違いだから」
3人がふざけたことを言ってくれている。

俺が直接来て良かった。もし他のやつなら、クラウでない女を連れ帰って母の叱責を食らうところだった。
この外務卿は母を謀ったということで下手したら罷免になるところだ。
何をのほほんとしているのだ?

カスパーがクラウを連れてくると、アロイスら3人はクラウを睨みつけていたが、こいつらは帝国に詐欺罪でしょっぴかれたいのか?

「お前がクラウディアで間違いないな」
俺はクラウディアに一応確認した。
「滅相もございません。クラウディアはこちらの娘です。そちらはメイドのクラウで」
必死の形相で継母が叫んでいた。クラウを睨みつけて何も喋るなっと目で言っていたが、俺が許すとでも思っているのか? もう絶対に許さない。

「平民の分際でクラウディアを呼び捨てにするな。クラウの愛称もな」
俺は叫んでいた。
「ルード様。男爵家の私の家内を平民とは酷いではないですか?」
アロイスが反論したが、
「外務卿。俺を謀って別の娘をクラウディアだと偽装したのはどういう事だ? これは国際問題だぞ」
俺はアロイス等を無視して外務卿に食って掛かったのだ。

「いえ、ルード様。お待ち下さい。こちらの銀髪の娘がクラウディア嬢だと言われるのですか?」
慌てて外務卿が俺とクラウを見比べた。
「そうだ。大叔母様の銀髪を受け継いでいるからそうに間違いない」

「確かにエデルガルト様は銀髪でしたが」
外務卿は困惑した顔をしていた。自国の継承者くらい全員の顔と名前を覚えておけよ!
俺は文句を言いたくなった。

「エデルガルト様の娘のエレオノーラは栗色の髪でしたよ。孫のクラウディアが銀髪だという証拠にはなりますまい」
「何を言っているアロイス。お前はクラウディアの父だろうが。実の父が何故嘘をつくんだ?」
俺はもう完全に切れていた。

「そもそも俺は5歳の時にそこにいるクラウと一緒に遊んでいるぞ」
「ええええ! あなたあの太っちょルードなの?」
俺の言葉にクラウが反応してくれた。
「前の変なあだ名は余計だが、ルードはあっている」
ムッとして俺は答えてくれた。
何故そんな余計なことだけ覚えているのだ?

「今回は俺はそのクラウディアの親族からクラウディアを連れて帝国の学園に通わせる世話をするように言われてわざわざここまで来たのだ」
母は一応、親族だ。この母の言う通りにしないと本当にまずい。

「そ、そんな」
継母等は青くなった。
どのみち、ルード等が帰った後にクラウを鞭打っていじめようと思っていたんだと思う。
でも、俺は許さない。コイツラに今までクラウにしてきた酷いことを倍にして返してやりたいくらいだ。

「お待ち下さい。ルード様。クラウディアは私の娘でもあります。勝手に連れて行かれては困ります。このカッセル王国では父親が賛成しない限りは勝手なことは出来ないはずですよ」
アロイスはとんでもないことを言い出したのだ。
俺はもう完全に切れてしまった。

「残念でしたわね。ルード様。この娘は家から出しませんわ」
「そうよ。お義姉さまだけが帝国の学園に行けるなんて許されないわ。お義姉さまはこの家でずうーとメイドとして働いてもらうんだから」
何か母娘も余計なことを言っている。

「あは、あはははは! お前らは本当に面白いな」
俺は笑うしか無かった。
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