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王妃様から天使な息子のために王子との結婚を勧められました

ママと天使な息子に呼ばれて有頂天になってしまいました

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龍之介は天使な息子のシャルルちゃんのいるところが判るらしくぐんぐん飛んでいく。
龍之介に乗っていると風がきつい。普段なら平気なのだが、今は体調不良の身だ。結構堪えた。

でも、天使な息子のシャルルちゃんが、私がいなくて寂しくて泣いているかと思うとそんな事は構っていられなかった。

誘拐したやつらもシャルルちゃんをちゃんと扱っているだろうか?
あまりにも泣くからって手を上げていないだろうか?
私はとても不安だった。

こんなんだったら、陛下に呼ばれようが、王妃様に呼ばれようが、シャルルちゃんの傍を離れるんじゃなかった。
私はとても後悔していた。

その私の焦りが龍之介にも伝授したのか更に飛ばしてくれるんだけど、私にはとてもきつい。
でも、天使な息子のシャルルちゃんの為に頑張るんだ!
私は歯を食いしばって耐えた。

もう我慢も限界かと思われた時だ。急に龍之介が高度を落としだしたのだ。

天使な息子のシャルルちゃんを私も近くに感じた。

「おんぎゃーーーーおんぎゃーーーー」
シャルルちゃんの泣き声が遠くから聞こえる。
目を凝らすと止まっている馬車の中からシャルルちゃんの泣き声が聞こえた。

「龍之介、あれよ」
ギャオーーーー

龍之介が咆哮するや一気に地表に飛び込む。

地上に多くの兵士たちがいるのが見えたが、その前の建物の上に龍之介は突っ込んでいった。

ドシーーーーン
凄まじい衝撃音とともに建物が壊れる。

それと共に衝撃波が周りを襲って兵士たちをなぎ倒したのだ。

シャルルちゃんの馬車に障壁をかけたので馬車は大丈夫だった。


「シャルルちゃん!」
私は馬車の中で泣いている天使な息子のシャルルちゃんを見つけて私は駆け寄ったのだ。

「ママ」
シャルルちゃんが私に手を差し出しのだ。

「えっ」
私はその瞬間固まってしまった。

生まれて初めて天使な息子のシャルルちゃんに呼ばれたような気がしたのだ。
いやいや、今のは空耳だろう。まだ私を呼ぶのは早いような気がする。

「ママ!」
再度シャルルちゃんが手を差し伸べて来たのだ。

「シャルルちゃん」
私は思いっきり天使な息子のシャルルちゃんを抱きしめていた。

そう、生まれて初めて天使な息子から「ママ」と呼ばれたのだ。
私は天にも昇る気持ちだった。
もう周りの奴らなんて関係なかった。

「シャルルちゃん! ママ嬉しい」
そう言うと私は再度シャルルちゃんを抱きしめたのだった。
今までは誘拐されたシャルルちゃんの事がとても心配だったのだが、見た感じシャルルちゃんは無事だし、今は絶対に安全な私の腕の中にいるし、もう周りなんてどうでも良かった。

だって生まれて初めて天使な息子のシャルルちゃんが私の事をママと呼んでくれたのだ。

そう、私は自分が万全でないことも、周りが敵だらけなのも忘れてはしゃいでいたのだ。
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