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義理の大叔母にいじめられました

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オルレアン侯爵家。この王国では古い家柄だ。

私は夫のシャルル様とは学園で知り合った。私が入学した時に、シャルル様は3年生で生徒会長をしていらっしゃた。シャルル様とは生徒会を手伝っているうちに親しくなって、私が卒業すると同時に結婚したのだ。シャルル様は昔から私を知る連中とは違って、私を女の子として扱ってくれたし、それがとても新鮮だったのだ。
シャルル様の侯爵家も古かったが、私のいた伯爵家もまた、今まで数々の騎士や将軍を排出している武の名門の家柄で、結婚するのに何も障害はなかった。

そんな侯爵家だが、当主、シャルル様のお父様は病気がちで、私達が王都のタウンハウスで新婚生活を楽しんでいる半年前に他界され、その後シャルル様と一緒に領地に帰ってきたのだ。
シャルル様はお父様と違って健康だったのに、こんな急に亡くなるとは思ってもいなかった。

こんなことになるのならば私が孫の顔を見せるために実家になんか帰らなければ良かったと後悔したが、後の祭りだった。



「ジャンヌさん。あなた何なの! 葬式の間中泣きっぱなしで。侯爵家の嫁が取り乱してどうするのよ」
葬式の後、私は亡くなった夫の祖父の妹、即ち義理の大叔母からお叱りを受けていた。

「申し訳ありません。ベッキー叔母様。私の指導が足りないばかりにご不快な思いをさせて」
私の代わりに夫の父の姉、即ち義理の伯母のバーバラが私を庇って言ってくれた。
もっとも私の目には嘲笑っているかのようだったが……

「いえ、バーバラはきちんとしているわ。あなたは夫のブランドンさんと一緒に本当によくこの侯爵家を盛り立ててくれていたわ。この前亡くなった甥のヘクターは病弱だったから、その時から本当に良くしてくれていたと思うわ。
それに比べてシャルルの夫のジャンヌさんは甥が生きている間は全然領地に寄り付きもしないで、看病をバーバラに任せっぱなしにして! 王都でシャルルと一緒に遊び回っていて、甥のヘクターが死んだ途端に帰って来て、すぐにこのオルレアン侯爵家を継げたのは全てバーバラがいてくれたからよ。
それをでかい顔をして。本当にあなた何様のつもりなの?」

この大叔母はいつもこうだ。義理の伯母のバーバラを褒めて私をけなす。
それも、これが始まると長いのだ。

まあ、確かに私は結婚してからほとんど侯爵領には帰らなかった。
でも、それはシャルル様が1年間は王都にいて、新婚生活を楽しみたいとおっしゃられたからだ。その後のお義父のお世話は当然私もするつもりだったのだ。
それに、お義父様のお加減がそんな悪いなんて聞いてもいなかった。

だから亡くなった時は本当に青天の霹靂だったのだ。
今回みたいに。

それもシャルル様は、バーバラ伯母にそう勧められたからだと言っていたんだけど……。


「まあまあ、若い人がいきなりこんな田舎に引っ込んでヘクターの看病をするなんて出来ませんわ。ヘクターも帰ってきてほしそうだったけれど、仕方がないんです」
バーバラも私を庇っているようで、ベッキーの怒りにさらに油を注いでくれてた。

でも、そこは帰ってこなかった私にも悪いところがある。いくら、叔母にそう勧められたとしてももう少し帰ってくれば良かったのだ。
愛する天使な息子のシャルルのためにもここは我慢だ。
今は亡き夫のシャルル様も耐えられるジャンヌは凄いと褒めてくれたのだ。
ここは我慢だった。

「それに、ジャンヌさん、あんた達は王都で遊びなれていながら、何故お葬式に王族の方がお出で頂けなかったの?」
「陛下の名代の方がいらしてました」
私がお答えすると

「なんで、名代なの? ヘクターが亡くなった時はわざわざ王太子殿下が弔問に見えたじゃない。この前のお葬式は仕切っていたのが、バーバラだったから、ちゃんとお願いをして来ていただいたのよ。今回の喪主はあなたなんだからあなたがお願いしなければいけなかったんじゃないの?」
「申し訳ありません」
私は謝るしかなかった。あまりのショックにそんなのはすっかり忘れていたのだ。

「まあ、まあ、叔母様。ジャンヌさんも突然のことにショックを受けていたのよ」
「何を言うの。どんな時も冷静さを失わない事が、侯爵家の妻には求められるのよ。本当にダメね。あなたには到底この侯爵家を任せられないわ」
大叔母は私を完全に駄目だししてくれた。

「やはり頼りになるのはバーバラとブライトンさんよ。あなた達は本当に良くしてくれているわ」
それからも延々と大叔母の叱責は続いたのだ。
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