上 下
429 / 444
第十三章 全能神の逆襲

怒髪天のアフロデイアの後ろに救援部隊が転移してきました

しおりを挟む
一方絶体絶命のボリスたちにアフロディアが一歩ずつ近づいていた。

「ちょっとボリスなんかしてよ」
「姉さま。もうなんにもないよ」

ボリスにはもはやほとんど何も残っていなかった。そもそも廊下にほってきた魔導電話は勝手にボリュームが上がっただけだと思うし、ボリスらは何も悪くない。勝手に外に飛び出したアフロディアが悪いのだ、と余程ボリスは言いたかった。最もそんな事言えば飛んで火にいる夏の虫になるのは確実だったが・・・・こんなことなら、逃げ出した兵士たちを留めておけば良かったと良からぬことを思う。

この化け物相手にもう手はない。

「貴様らはここで灰に変えてやるわ」
アフロディアがまさに爆裂魔術をはなとうとしたその時だ。

「余はシャラザール」
いきなりアフロディアの前にシャラザールの映像が現れたのだ。

えっ?

意識のある二人は驚いた。エカテリーナがあんたがやったのかとボリスを見るがボリスは首を振った。
これはチャンスかもしれない。ゆっくりとボリスとエカテリーナは逃げようとした。

「きさま、男女、この期に及んでまだ妾を邪魔するのか」
アフロディアは爆裂魔術をシャラザールに向けてはなった。

しかし、それは当然シャラザールの映像を素通りして、ボリスらに飛んできた。

「げっ」

二人は飛び退ってそれを避ける。


「暗黒邪神のゼウスよ。余の部下である、アレクに良くもいろいろとしてくれたな」
映像はアフロディアの怒りは無視して一方的に話す。

「おのれ」
アフロデイアは手を振って消そうとするが消えない。
「このこのこのこの」
アフロディアは手を振り回したが、全然効かない。

ペトロはやむを得ずエカテリーナが引っ張り、アレクはボリスが引きずってアフロディアの真正面から逃げようとした。

「ここで余自らが親征することにした。余の子孫である・・・・」
「ええい、消えないではないか。もう許さん」
アフロディアは渾身の爆裂魔術を放っていた。
アフロディアの前が吹っ飛ぶ。

王宮は2箇所で大爆発が起こっていた。

爆風に巻き込まれてエカテリーナはペトロを抱く形で弾き飛ばされていた。地面を二人で抱き合った形で転がる。

胸にペトロの顔を抱きかかえていた。

「どこに」
顔を埋めているのよと叫びそうになりペトロが意識不明の重体だったことを思い出す。

「ペトロ大丈夫」
そうエカテリーナは言うが、ペトロは血まみれのままだ。
やむを得ない。今度母に見つかったら、自分だけが犠牲になろう。
エカテリーナは覚悟を決めた。

実の母の亡霊に殺されるのはどうなのという気もするが、所詮アフロデイアなのだ。常識は通用しないし、自分に対する情けもないだろう。自分さえ良ければ子供なんてどうでも良いという化け物なのだ。

先にボリスが見つかって悲鳴が聞こえた。
その後ムチの音が。

でも、もうエカテリーナは動けなかった。

そして、足音がどんどんこちらに近づいてくる。

シャラザールの映像はいつの間にか消えていた。

救援なんて期待できなかった。

大声で叫ぶというのは嘘だからだ。こんな子供だましの手を使って大騒ぎするのは救援に来ないからだとエカテリーナは思っていた。
どこのどいつが、アレクでさえ、敵わない相手に喧嘩を売るのだ。
それに既に宮殿の爆発で十分に工作作戦は終わりだろう。
ついに殺される時が来たのだ。

「ふふふ、エカテリーナ、やっと見つけたよ」
アフロデイアの不吉な笑みがエカテリーナを見下ろしていた。
爆風に巻き込まれてエカテリーナはペトロを庇った事もあって血だらけだった。

「その抱いている男と一緒に死にたいのかい」
「はんっ、何を言っているのよ。この男は関係ないわ。殺すなら私一人にして」
エカテリーナはゼイゼイしつつ言った。

「ほう、その男を庇うのかい」
面白そうにアフロデイアが言う。

「はん、見ず知らない男を巻き込むのは嫌なだけよ」
「その男はお前を庇っていたが」
「紳士らしいだけでしょ」
「ふんっ。そうかどうかはその男を殺せば判るさ」
エカテリーナは必死にペトロの前に出た。

「どきな」
アフロディアはエカテリーナを張り倒していた。

エカテリーナは地面に叩きつけられた。

そして、アフロディアはペトロに手をむけた。
そんな、ペトロはエカテリーナを庇ったばかりに殺されるなのて。
エカテリーナとしてはそれは嫌だった。

「助けて、神様」
珍しくエカテリーナは神に祈った。

その時だ。
「今余は来臨す」
またもや、アフロディアの前に先ほどとは比べ物にならないくらい巨大なシャラザールの映像が現れたのだ。

「おのれ、男女め。まだ邪魔するか」
アフロディアが怒り来るるった時だ。

背後の広場が大爆発を起こした。
その爆風は宮殿をも破壊し、アフロディアを吹っ飛ばしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

【書籍化】ダンジョン付き古民家シェアハウス

猫野美羽
ファンタジー
※書籍化しました。 電撃の新文芸(KADOKAWA)にて1巻刊行中・2巻は2024年6月17日刊行予定 ※書籍化にともない、アルファポリスさまのサイトでは非公開とさせていただきます。 お手数ですが、今後はカクヨムでお読みいただけると嬉しいです。 大学を卒業したばかりの塚森美沙は内定していた企業が潰れ、ニート生活が決定する。 どうにか生活費を削って生き延びねば、と頭を抱えていたが、同じように仕事をなくした飲み仲間三人と祖父母から継いだ田舎の古民家で半自給自足のシェア生活を送ることに。 とりあえずの下見に出掛けた祖父母宅の古びた土蔵の中に、見覚えのないドアが直立していた。 開いた先に広がるのは、うっすらと光る不思議な洞窟。転がり込んだそこは、どうやらダンジョンらしくーーー? 貧乏生活もダンジョンのおかげで乗り越えられる?  魔法を駆使して快適生活。レベルアップした身体で肉体労働どんとこい! ドロップアイテムで稼ぐには? 男女四人の食い気はあるが色気は皆無な古民家シェアハウスの物語。

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

【R18】幼馴染の魔王と勇者が、当然のようにいちゃいちゃして幸せになる話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@電子書籍化『王子に婚約破棄された』
恋愛
前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。 でも、聖女は虐めていないわよ。えええ?、反逆者に私の命が狙われるている?ちょっと、それは断罪されてた後じゃないの? そこに剣構えた人が待ち構えているんだけど・・・・まだ死にたくないわよ・・・・。 果たして主人公は生き残れるのか? 恋はかなえられるのか? ハッピーエンド目指して頑張ります。 小説家になろう、カクヨムでも掲載中です。

【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 前話 【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...