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第十二章 婚活と雪女
閑話 クリスト大国皇太子はプリンを食べさせ合って仲直りしました
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今回は「大国に乗っ取られそうな王女の侍女は後ろ盾を探すために異国に留学しますが、気付かぬうちに超大国の方々と仲良くなっていました」の主人公ソニア初登場です。
********************************************************
ボフミエ魔導国内務卿で南のドラフォード王国皇太子のオーウェンがボンゴル王国の姫君と抱き合って?筆頭魔導師のクリスティーナ・ミハイルが怒ってもみじマークをつけられて1週間が経っていた。
二人は仲直りが出来たのか・・・・執務室の中は・・・・
その日も執務室の中は騒然としていた。巨大な部屋の中では500人以上の人々がせっせと働いていた。
内務卿を除いて。
内務卿は目に隈を作ってボヨーンとしていて突っ伏していた。。
オーウェンの前の机の上には凄まじい量の書類の山が積み上がっていた。
「ちょっと、オーウェン、いい加減に仕事してくれよ」
あまりにもひどい状態に内務次官のヘルマンが怒って言った。
「ふんっ、幸せなやつは良いよな」
拗ねたオーウェンが首を上げて言う。
そう、今ヘルマンは、教育卿でテレーゼ王国皇太子のアメリアとその母親のテレーゼ王国女王も黙認したラブラブ状態なのだ。
「いやあ、ありがとう」
喜んでヘルマンが礼を言った。オーウェンは嫌味で言ったのに、幸せいっぱいのヘルマンは全く動じなかった。
それを見て更にオーウェンは落ち込む。
「何、まだ仲直り出来ないの?」
こちらも幸せいっぱいのそのヘルマンの相手のアメリアがやってきた。
「本当、クリスも怒ったら中々許してくれないのね」
呆れてアメリアが言う。
「僕たちじゃ考えられないよね」
「本当に、信じられない」
このバカップルは二人でイチャイチャはじめた。
周りは見てられないと視線を外す。
しかし、その二人に怒りを纏ったクリスの視線が突き刺さった。
「アメリアお姉さま!」
クリスは書類をもってアメリアに氷のような視線を向けた。
「えっ、どうしたの、クリス」
アメリアが仕方無しにヘルマンから離れてクリスに近づく。
「執務室内でイチャイチャするのは周りに迷惑なので止めて下さい」
ブスッとクリスが注意する。
「えっ、だって前まであなたとオーウェンもやっていたじゃない」
「私達はそんな事やっていません」
アメリアの声にクリスが冷たく言い放つ。
「だって前に、オーウェンにお菓子食べさせられていたよね」
「な、何を」
クリスは真っ赤になった。
そうだった。前に無理やりオーウェンに小さなビスケットを口に放り込まれた事を思い出していた。
しかし、怒っていた事を思い出したクリスはアメリアの目の前に書類をぬっと出した。
その書類は赤ペンでいっぱい修正されていた。
「何この書類」
「教育省からの書類です。これだけ間違っていたので、受理できません」
クリスは冷たい目でアメリアを見る。
「えっ、嘘、今までと変わらないはずよ」
「今まではやむを得ず黙認していましたが、これ以上は無理です。直ちに修正して下さい」
冷たくクリスが言い放った。
「そんなクリス」
アメリアがクリスにすがろうとするがクリスは無視して次の仕事に入る。
「クリス様。それはあんまりでは」
慌ててヘルマンがアメリアをかばおうとクリスに言うとクリスの手からもう一束、赤字で訂正だらけの書類が出て来た。
「ヘルマン様。あなたもです」
クリスの氷のように冷えた言葉が響く。
「えっ、そんな」
ヘルマンは絶句した。
「イチャイチャする暇があるなら書類を修正して下さい」
取り付く島もない。
その二人を同情したように周りのみんなは見た。
クリスが顔を上げてきっとしてそんな皆を見回した。
その手には凄まじい量の赤く書かれた書類の束がある。
皆慌てて仕事を再開した。触らぬ神に祟りなしだ。
「クリス様。只今戻りました」
そこへクリスの気持ちを全く無視した侍女のソニアが元気な声で現われた。
「どうだった。インダルは」
クリスが聞くと、
「街も復興していて、とても楽しかったです」
ソニアは答えた。
「それよりも、クリス様。またオーウェン様と喧嘩したんですって」
「またって何よ」
ブスッとしてクリスが言うが、ソニアは無視する。
「まあクリス様とボンゴル王女を間違えたのはオーウェン様が悪いと思いますけれど」
「ソニア、間違えたのではないよ。クリスが乗っているってフェビアンから聞いていたら、いきなり違うやつが出てきて飛びつかれて対処しきれなかったんだ」
「責任転嫁早めて下さい」
オーウェンの言葉に遠くでフェビアンが悲鳴を上げる。
「普通間違えないよね」
ブスッとししてクリスが言う。
「まあ、まあ、クリス様。私もうっかりして人にぶつかってしまった事もあって、何も言えないんですけど・・・・」
「あなたはそのまま抱きついたりはしなかったでしょ」
クリスが言う。
「それはそうですよ。抱きついてたらあの時は殺されていたかも知れませんし・・・・」
プルプル震えてソニアが言う。
「まあ、それはないと思うけれど」
「まあ、私のことはおいておいて、お二人が喧嘩していると皆様、被害を受けられるので、いい加減に元祖バカップルには仲直りしてほしいんです」
「誰がバカっぷるなのよ」
「そうだ。お前らのところには言われたくない」
二人が否定する。
「えええ、そんな事言うんですか。お二人、街の屋台でも食堂でもお互いに食べさせ合いしてたじやないですか。これがボフミエでは普通だって。その後クラスメートに言ったらどれだけバカにされた事か」
「えっ、学園で言ったの?」
クリスは絶句した。筆頭魔導師の権威が・・・・
「そもそも、オウとは幼馴染で、昔から嫌いなかぼちゃとか無理やり食べさせられていたし」
「いやいや、クリスもグリンピース突っ込んできたじゃないか」
二人の言い合いに周りは白い目で見ていた。
「ほらほら、やっぱり食べさせ合いしてるじゃないですか」
ソニアは笑って言うが、嫌いなものを口の中に無理やり入れるのは食べさせ合いとは言わないのではないかと一部のものは思った。それは嫌がらせだと・・・・
「それで私、故郷インダルの街で超有名な菓子店エスタニアの『二人でプリン』を買ってきたんです」
「えっ、今度市中にオープンするプリン専門店でしょ」
クリスの後ろにいた補佐官のイザベラが後ろから話題に飛びついてきた。
「えっ、そんな有名なの」
「はい。一部菓子好きな女官の間では噂になっています」
クリスの問にイザベラが答える。
「その宣伝を兼ねてクリス様とオーウェン様には少しご協力を賜りたいのですが」
「えっ、私が」
「はい、お願いします」
「で、お二人にはここにお座りいただいて」
二人を向かい合って座らせて、箱の中から瓶詰めのプリンを2個取り出す。
「あっ、美味しそう」
クリスの目が輝く。
「そう、美味しそうでしょ。私も食べさせてもらったんですけど、とても美味しかったです。故郷のインダルでは、恋人同士が食べたら幸せになるって言われていて、店に併設しているカフェでも、カップルに大人気商品なんです。カップルの皆さんはお互いに食べさせ合っています」
「ちょっとソニア、オウと食べさせ合えっていうの」
怒ってクリスが言う。
「だって、前は普通に食べさせ合っていたじゃないですか」
「だから、それは昔からのいろいろがあって」
クリスが必死に言い訳する。
「なんかグチグチ言われるんで、今回は皆さんにも商品用意しました」
「えっ、私達にも」
ソニアはクリスを無視して周りのみんなに言って、イザベラが乗り出す。
「はいっ。クリス様とオーウェン様が食べさせあってクリス様が先に食べさせ終わったら、ここにいらっしゃる女性の方に50個このプリンご用意いたしました」
「えっ、本当に」
後ろにいた次女のミアらも前に出てくる。
「オーウェン様が買ったら男性陣に50個プレゼントです。それとアメリア様とヘルマン様の提出書類をクリス様が受け取っていただけるということで」
「えっ、それ私、勝っても良いこと無いじゃない」
クリスがぼそっという。
「じゃあ、勝った方が次回エスタニアに来ていただいた時に、相手におごってもらうということでどうですか」
「えっ、なんかそれ違うような」
「まあまあ、クリス様。そう言わずに」
「そうです。クリス様絶対に勝って下さい」
「頼みましたよクリス様」
女性陣は一斉にクリスを応援しだした。
「ちょっとオーウェン。私の書類かかっているんだから頼むわよ」
「そうだ、オーウェン。頼むよ」
アメリアとヘルマンも必死だ。
「じゃあ、始めますよ」
「えっ、ちょっと」
「はい、クリス、あーん」
オーウェンがいきなりクリスの口にクリームのついたプリンをすくって入れる。
「えっ」
クリスが目を丸くするが。
「美味しい」
喜んで言う。
「はい、オウも」
大きくすくってクリスがオーウェンの口の中に放り込む。
「あ、本当、これ美味しいや」
二人はお互いに食べさし合うが、女性陣の声援が圧倒的に多かった。
男性陣は女性の怒りを怖れて宿題のかかっているヘルマン以外は静かに見ていた。
最後は強引に中身の全てをすくって口の中に入れたクリスが勝った。
女性陣からは大声援が起こる。
「あれ、負けちゃったや」
オーウェンは全然残念そうではなかった。
「オウ、残りも」
クリスがひな鳥のように口を開けて待っているのでオウは喜んでクリスに食べさせていた。
1週間のクリスの怒りは有耶無耶になってしまったのだった。
この後、インダルプリン専門店エスタニアのプリンは喧嘩していても仲直りできるプリンとしても有名になり、売上を伸ばした。
************************************************************
この話のサイドストリー
「大国に乗っ取られそうな王女の侍女は後ろ盾を探すために異国に留学しますが、気付かぬうちに超大国の方々と仲良くなっていました」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/520576250
も現在佳境です。
クリスとアルバートが魔王戦で戦場に出る中、故郷のインダル国王が死去して、侍女ソニアの主リーナ王女は危機に
故郷に強引にソニアは帰りますが、そこには美しいリーナ王女を妾にしようとするどうしよもない他国の王族が。王女を守るためにソニアは戦いますが・・・・・
果たしてクリスやアルバートは間に合うのか。
そろそろお話は佳境です。
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ボフミエ魔導国内務卿で南のドラフォード王国皇太子のオーウェンがボンゴル王国の姫君と抱き合って?筆頭魔導師のクリスティーナ・ミハイルが怒ってもみじマークをつけられて1週間が経っていた。
二人は仲直りが出来たのか・・・・執務室の中は・・・・
その日も執務室の中は騒然としていた。巨大な部屋の中では500人以上の人々がせっせと働いていた。
内務卿を除いて。
内務卿は目に隈を作ってボヨーンとしていて突っ伏していた。。
オーウェンの前の机の上には凄まじい量の書類の山が積み上がっていた。
「ちょっと、オーウェン、いい加減に仕事してくれよ」
あまりにもひどい状態に内務次官のヘルマンが怒って言った。
「ふんっ、幸せなやつは良いよな」
拗ねたオーウェンが首を上げて言う。
そう、今ヘルマンは、教育卿でテレーゼ王国皇太子のアメリアとその母親のテレーゼ王国女王も黙認したラブラブ状態なのだ。
「いやあ、ありがとう」
喜んでヘルマンが礼を言った。オーウェンは嫌味で言ったのに、幸せいっぱいのヘルマンは全く動じなかった。
それを見て更にオーウェンは落ち込む。
「何、まだ仲直り出来ないの?」
こちらも幸せいっぱいのそのヘルマンの相手のアメリアがやってきた。
「本当、クリスも怒ったら中々許してくれないのね」
呆れてアメリアが言う。
「僕たちじゃ考えられないよね」
「本当に、信じられない」
このバカップルは二人でイチャイチャはじめた。
周りは見てられないと視線を外す。
しかし、その二人に怒りを纏ったクリスの視線が突き刺さった。
「アメリアお姉さま!」
クリスは書類をもってアメリアに氷のような視線を向けた。
「えっ、どうしたの、クリス」
アメリアが仕方無しにヘルマンから離れてクリスに近づく。
「執務室内でイチャイチャするのは周りに迷惑なので止めて下さい」
ブスッとクリスが注意する。
「えっ、だって前まであなたとオーウェンもやっていたじゃない」
「私達はそんな事やっていません」
アメリアの声にクリスが冷たく言い放つ。
「だって前に、オーウェンにお菓子食べさせられていたよね」
「な、何を」
クリスは真っ赤になった。
そうだった。前に無理やりオーウェンに小さなビスケットを口に放り込まれた事を思い出していた。
しかし、怒っていた事を思い出したクリスはアメリアの目の前に書類をぬっと出した。
その書類は赤ペンでいっぱい修正されていた。
「何この書類」
「教育省からの書類です。これだけ間違っていたので、受理できません」
クリスは冷たい目でアメリアを見る。
「えっ、嘘、今までと変わらないはずよ」
「今まではやむを得ず黙認していましたが、これ以上は無理です。直ちに修正して下さい」
冷たくクリスが言い放った。
「そんなクリス」
アメリアがクリスにすがろうとするがクリスは無視して次の仕事に入る。
「クリス様。それはあんまりでは」
慌ててヘルマンがアメリアをかばおうとクリスに言うとクリスの手からもう一束、赤字で訂正だらけの書類が出て来た。
「ヘルマン様。あなたもです」
クリスの氷のように冷えた言葉が響く。
「えっ、そんな」
ヘルマンは絶句した。
「イチャイチャする暇があるなら書類を修正して下さい」
取り付く島もない。
その二人を同情したように周りのみんなは見た。
クリスが顔を上げてきっとしてそんな皆を見回した。
その手には凄まじい量の赤く書かれた書類の束がある。
皆慌てて仕事を再開した。触らぬ神に祟りなしだ。
「クリス様。只今戻りました」
そこへクリスの気持ちを全く無視した侍女のソニアが元気な声で現われた。
「どうだった。インダルは」
クリスが聞くと、
「街も復興していて、とても楽しかったです」
ソニアは答えた。
「それよりも、クリス様。またオーウェン様と喧嘩したんですって」
「またって何よ」
ブスッとしてクリスが言うが、ソニアは無視する。
「まあクリス様とボンゴル王女を間違えたのはオーウェン様が悪いと思いますけれど」
「ソニア、間違えたのではないよ。クリスが乗っているってフェビアンから聞いていたら、いきなり違うやつが出てきて飛びつかれて対処しきれなかったんだ」
「責任転嫁早めて下さい」
オーウェンの言葉に遠くでフェビアンが悲鳴を上げる。
「普通間違えないよね」
ブスッとししてクリスが言う。
「まあ、まあ、クリス様。私もうっかりして人にぶつかってしまった事もあって、何も言えないんですけど・・・・」
「あなたはそのまま抱きついたりはしなかったでしょ」
クリスが言う。
「それはそうですよ。抱きついてたらあの時は殺されていたかも知れませんし・・・・」
プルプル震えてソニアが言う。
「まあ、それはないと思うけれど」
「まあ、私のことはおいておいて、お二人が喧嘩していると皆様、被害を受けられるので、いい加減に元祖バカップルには仲直りしてほしいんです」
「誰がバカっぷるなのよ」
「そうだ。お前らのところには言われたくない」
二人が否定する。
「えええ、そんな事言うんですか。お二人、街の屋台でも食堂でもお互いに食べさせ合いしてたじやないですか。これがボフミエでは普通だって。その後クラスメートに言ったらどれだけバカにされた事か」
「えっ、学園で言ったの?」
クリスは絶句した。筆頭魔導師の権威が・・・・
「そもそも、オウとは幼馴染で、昔から嫌いなかぼちゃとか無理やり食べさせられていたし」
「いやいや、クリスもグリンピース突っ込んできたじゃないか」
二人の言い合いに周りは白い目で見ていた。
「ほらほら、やっぱり食べさせ合いしてるじゃないですか」
ソニアは笑って言うが、嫌いなものを口の中に無理やり入れるのは食べさせ合いとは言わないのではないかと一部のものは思った。それは嫌がらせだと・・・・
「それで私、故郷インダルの街で超有名な菓子店エスタニアの『二人でプリン』を買ってきたんです」
「えっ、今度市中にオープンするプリン専門店でしょ」
クリスの後ろにいた補佐官のイザベラが後ろから話題に飛びついてきた。
「えっ、そんな有名なの」
「はい。一部菓子好きな女官の間では噂になっています」
クリスの問にイザベラが答える。
「その宣伝を兼ねてクリス様とオーウェン様には少しご協力を賜りたいのですが」
「えっ、私が」
「はい、お願いします」
「で、お二人にはここにお座りいただいて」
二人を向かい合って座らせて、箱の中から瓶詰めのプリンを2個取り出す。
「あっ、美味しそう」
クリスの目が輝く。
「そう、美味しそうでしょ。私も食べさせてもらったんですけど、とても美味しかったです。故郷のインダルでは、恋人同士が食べたら幸せになるって言われていて、店に併設しているカフェでも、カップルに大人気商品なんです。カップルの皆さんはお互いに食べさせ合っています」
「ちょっとソニア、オウと食べさせ合えっていうの」
怒ってクリスが言う。
「だって、前は普通に食べさせ合っていたじゃないですか」
「だから、それは昔からのいろいろがあって」
クリスが必死に言い訳する。
「なんかグチグチ言われるんで、今回は皆さんにも商品用意しました」
「えっ、私達にも」
ソニアはクリスを無視して周りのみんなに言って、イザベラが乗り出す。
「はいっ。クリス様とオーウェン様が食べさせあってクリス様が先に食べさせ終わったら、ここにいらっしゃる女性の方に50個このプリンご用意いたしました」
「えっ、本当に」
後ろにいた次女のミアらも前に出てくる。
「オーウェン様が買ったら男性陣に50個プレゼントです。それとアメリア様とヘルマン様の提出書類をクリス様が受け取っていただけるということで」
「えっ、それ私、勝っても良いこと無いじゃない」
クリスがぼそっという。
「じゃあ、勝った方が次回エスタニアに来ていただいた時に、相手におごってもらうということでどうですか」
「えっ、なんかそれ違うような」
「まあまあ、クリス様。そう言わずに」
「そうです。クリス様絶対に勝って下さい」
「頼みましたよクリス様」
女性陣は一斉にクリスを応援しだした。
「ちょっとオーウェン。私の書類かかっているんだから頼むわよ」
「そうだ、オーウェン。頼むよ」
アメリアとヘルマンも必死だ。
「じゃあ、始めますよ」
「えっ、ちょっと」
「はい、クリス、あーん」
オーウェンがいきなりクリスの口にクリームのついたプリンをすくって入れる。
「えっ」
クリスが目を丸くするが。
「美味しい」
喜んで言う。
「はい、オウも」
大きくすくってクリスがオーウェンの口の中に放り込む。
「あ、本当、これ美味しいや」
二人はお互いに食べさし合うが、女性陣の声援が圧倒的に多かった。
男性陣は女性の怒りを怖れて宿題のかかっているヘルマン以外は静かに見ていた。
最後は強引に中身の全てをすくって口の中に入れたクリスが勝った。
女性陣からは大声援が起こる。
「あれ、負けちゃったや」
オーウェンは全然残念そうではなかった。
「オウ、残りも」
クリスがひな鳥のように口を開けて待っているのでオウは喜んでクリスに食べさせていた。
1週間のクリスの怒りは有耶無耶になってしまったのだった。
この後、インダルプリン専門店エスタニアのプリンは喧嘩していても仲直りできるプリンとしても有名になり、売上を伸ばした。
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この話のサイドストリー
「大国に乗っ取られそうな王女の侍女は後ろ盾を探すために異国に留学しますが、気付かぬうちに超大国の方々と仲良くなっていました」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/520576250
も現在佳境です。
クリスとアルバートが魔王戦で戦場に出る中、故郷のインダル国王が死去して、侍女ソニアの主リーナ王女は危機に
故郷に強引にソニアは帰りますが、そこには美しいリーナ王女を妾にしようとするどうしよもない他国の王族が。王女を守るためにソニアは戦いますが・・・・・
果たしてクリスやアルバートは間に合うのか。
そろそろお話は佳境です。
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