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第十二章 婚活と雪女

テレーゼ3姉妹は女子会を夜通ししていました

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クリスは酔った勢いで魔術を使ってしまい、疲れが出たのかあっさりと眠ってしまった。
そのクリスを部屋まで運ぶのにオーウェンとウィルが争ったが、結局メイが部屋まで運んだ。

オリビアらはアメリアに寝室に案内されて驚いた。その部屋の作りは豪勢だったが、その部屋にベッドが4っつも運び込まれていたのだった。

「母上方はたまにお会いされたのですから、積もるお話もありましょうとのことで、同じ部屋にさせていただきました」
アメリアが頭を下げて言う。

「な、なんと」
オリビアは驚いたが、

「まあ、3人で寝るのなんて久しぶりね」
キャロラインがはしゃいだ。

「しかし、せっかくの3姉妹が揃われたのに、私がご一緒では」
「何をおっしゃっていらっしゃるのですか。シャーロット夫人。4人でよく一緒に行動しておられたとサイラス様からはお伺いしております」
シャーロットは余計なことを言った父のサイラスに怒りを感じたが、キャロラインが喜んでいるのならば良いかと諦めた。

「しかし、シャーロット、クリスは立派になったな。余が説教を食うとは夢にだに思わなかったぞ」
感心してオリビアが言った。

「滅相もございません。女王陛下に意見するなど思い上がりも甚だしいかと」
「よく言う。昔はそちにもよく怒られた」
オリビアは笑って言った。

「滅相もございません。私も厚顔無恥だったのです」
赤くなってシャーロットは反省した。

「まあ、母が母なら子も子よ。きっちりと受け継がれるのじゃな。考えるに、その方の父からも良く意見されておるわ。余に意見するのはその方の一族くらいぞ」
「お恥ずかしい限りでございます」
「ま、サイラスの言うことは聞くに値しないことも多いが、家臣が意見してくれることは良いことぞ。キャロラインの方はどうじゃ」
オリビアが話を振った。

「私の方は姉上のように女王ではありませんし、たかだか王妃です。王太后様はじめ反王派からしょっちゅう意見されていますわ」
「エリザベスの方は」
「私の方も同じです。内務卿からはしょっちゅう意見されております」
その妻のシャーロットの方を白い目で見ながらエリザベスが言った。

「そうか、そちら二人は家臣に恵まれておるのじゃな」
「姉上、それはどうか判りませんが、やることなす事文句をつけられるとたまったものではありませんわ」
キャロラインの意見にエリザベスも思わず頷いてしまった。

「その方ら二人が意見が合うなど珍しいの」
「何をおっしゃっていらっしゃるのですか」
「本当に子供に相手が見つかったからって良いご身分ですわね」
エリザベスがイヤミを言う。

「余はあの二人のことは許しておらんぞ」
「だから姉上。相手がいるだけ恵まれているのです」
「何を言う。エリザベス。その方のところは赤い死神が必至にアプローチしておるではないか」
オリビアは反論した。

「姉上、相手は先の戦争でこちらを攻撃してきた司令官ですよ。家族を殺された遺族も多いのです。国民感情からいってもなかなか厳しいかと」
エリザベスの言うことは最もだった。アレクにしても兵士の遺族のジャックらからその洗礼は受けていた。

「まあ、そうかもしれんが、今はよく二人で一緒に共同戦線を張って戦っておるではないか。魔王戦をはじめ、ザール教国侵攻戦、このパレルモ戦と。二人はマーマレードの王立高等学園の同窓でもあるし、うまくいくのではないか」
「仲は良いとは思いますが、ノルディン皇帝の動きもよく判りませんし」
侵略王の心の中もエリザベスは心配だった。婿に来ていきなりノルディン帝国に併合なんて事になったら目も当てられなかった。

「まあ、それはそうじゃが」
「その点。キャロラインお姉様の方が障害はないのではありませんか」
「そう言う障害はないわ。本当にクリスはすごいわ。反対派を一瞬でシンパにするし、今では我が国最強の東方師団を傘下に収めているくらいだから」

「そうじゃな。今日も見せてらったが、本当にこのボフミエをまとめておるのじゃな。あのか弱かったクリスがな。あの赤い死神が平伏したのには驚いたぞ」
「いや、あれは何か訳があるとは存じますが」
シャーロットが口を挟むが、

「昔から知り合いのシャラザール3国の子供たちはいざしらず、赤い死神に、陳国の王女、ジパグ国の皇太子もクリスがまとめておるようだし、本当に見違えたぞ」
オリビアが何度も感心して言う。

「いえ、陛下。陛下のお子様らに助けていただいているだけで」
「彼奴等がそう簡単に人助けなどするものか。逆に助けてもらっているように見えたぞ。今日でも必至に娘のことをフォローしてくれていたではないか」
笑ってオリビアが言った。

「お恥ずかしい限りです」
シャーッとが頭を下げる。

「で、この一癖も二癖もある皇太子連合をまとめられるのじゃ。ドラフォードでも全然問題はあるまい。何が問題なのじゃ」
オリビアが聞く。

「オリビア様。クリスは公の場で婚約破棄をされた身」
「ちょっとシャーロット。もうその話はやめてよ。本当に家のバカ息子がやってくれただけだから。未だに王宮で何故あんな事をさせたのか。ドラフォードの皇太子に油揚げを拐われたのだ、王妃様がきつくあたったからいけなかったのだとか、散々なんだから。クリスなら十二分にドラフォードの王宮でやっていけるわ。それは私が保証します」
「ほら、見た、シャーロット、あのエリザベスが太鼓判を押すのよ。何も問題がないじゃない」
「しかし、まあ、婚姻は二人の問題ですから」
「しかし、オーウェンのクリスに対する執着心もすごいぞ。テレーゼに来た時も必至にクリスにかまっておったわ」
「まあ、子供の頃からオーウェンはクリスにかまっていましたからね」
「あとはクリスの気持ち次第なのです」
キャロラインが言う。

「まあ、そう言うことなら時が解決するだろう。我々が色々言ってもこじれるだけぞ」
オリビアはキャロラインに釘を刺した。
「そんなこと言ってまた誰かに取られたらどうしてくれるんですか」
キャロラインが過去にエドに取られたことを言って反論する。

「何を言っている。オーウェンほどの男は中々おらんぞ」
キャロラインはまだ色々言いたりなさそうではあったが、姉の言葉にも一理あるのでそれ以上は言わなかった。

「それより姉上、今日連れてこられたサロメの娘の件なんですけれど・・・・」
彼女らにとってはまだ宵の始め、女達のおしゃべりは始まったばかりだった。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次はチャドウィックです
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