上 下
327 / 444
第十章 マーマレード元皇太子の反撃

魔王の闇の一閃の前に、赤い死神と暴風王女は屈しました

しおりを挟む
ジャンヌは追い詰められていた。このままではさすがのジャンヌも終わりだ。ここで死ぬことは
無駄死にだ。ボフミエ最終兵器とジャルカらに言われている沽券にも関わった。負けるわけにはいかない。

そもそも最終兵器は私達ではなくて、クリスだ。

クリスさえこちらに取り戻せばなんとかなる。

それは陰険皇太子がなんとかしてくれるだろう。

たとえ、エドを戻せなくてもクリスがなんとかしてくれる。

と信じてジャンヌはやってみることにした。

魔人と化したエドの爆裂魔術を転移で避ける。

そして、エドの真正面に出る。

思わす、魔人は瞠目した。まさかこの期に及んで反撃されるとは主つてもいなかったのだ。

その動揺のすきをみて、右手に魔力の全てを注ぐ。

子供の頃、悪いことをしたエドを思いっきり殴ったことがある。

その時エドの顔が腫れて大変だった。王妃からは1ヶ月間の謹慎処分と礼儀作法の特訓という地獄を見せられたが………・

「歯を食いしばれ、エド!」
ジャンヌは叫んでいた。

エドは思わず障壁を張って避けようとするが、ジャンヌの拳がその障壁を一瞬で破壊して、そのままエドの顔に直撃した。

巨大なエドの体が浮き上がり、壁に激突する。

宮殿中が揺れた。

そして、黒煙の消え去った跡には、人に戻ったエドが倒れていた。

「ほっ」
ジャンヌはホット溜息をついた。

「やったなジャンヌ」
その横には傷だらけになって転移してきたアレクがいた。

何とか逃げ出してきたが、アレクも傷だらけだった。

二人は満身創痍だった。


「おのれ、人のことをかまっていられるとは余裕だな。赤い死神」
魔王が転移して現れた。
「最も貴様もここで終わりか」

「ふんっ、遊びはここまでだ」
アレクはニヤリと笑った。

「何が遊びだ。もうフラフラだろうが」
魔王は笑う。

「ふんっ、とっておきのものは最後まで取っておくものさ」
アレクは笑うと、剣を抜いた。
ジャンヌもアレクの横で抜く。

「行くぞ魔王」
二人は叫ぶと駆け出した。
左右から魔王に向かう。

魔王はアレクに向けて爆裂魔術を発する。
しかし、アレクはは転移で避ける。
そして、魔王の斜め前上方に飛び出ると剣に最後の全ての魔力を込めて切り込んだ。
その逆側からはジャンヌが。

渾身の力を込めた両側からの魔導攻撃で凄まじい爆発が起こり、魔王はふっとばされた。

宮殿の外壁に激突する。

しかし、爆炎の中からゆっくりと立ち上がる人影がある。

そこには髪を振り乱した魔王の憑依した王妃の顔があった。

「おのれ、よくも」
魔王は両手を上げた。その手に魔力を込める。

確かに魔王はダメージは受けたが、魔王は魔王なのだ。これくらいでは倒されない。

対峙する二人はもう魔力もほとんど残っていなかった。

と言うか立っているだけで精一杯だった。


「喰らえ闇の一撃」
魔王から真っ黒な怨念が二人に襲いかかる。

二人はもう避ける気力もなかった。

黒い渦の中に飲み込まれて二人は倒れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。

待鳥園子
恋愛
婚約者が病弱な妹を見掛けて一目惚れし、私と婚約者を交換できないかと両親に聞いたらしい。 妹は清楚で可愛くて、しかも性格も良くて素直で可愛い。私が男でも、私よりもあの子が良いと、きっと思ってしまうはず。 ……これは、二人は悪くない。仕方ないこと。 けど、二人の邪魔者になるくらいなら、私が家出します! 自覚のない純粋培養貴族令嬢が腹黒策士な護衛騎士に囚われて何があっても抜け出せないほどに溺愛される話。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結済】 転生したのは悪役令嬢だけではないようです

せんぽー
恋愛
公爵令嬢ルーシー・ラザフォード。 彼女は8歳の頃、自分が転生者であることに気づいた。 自身がプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢に転生したルーシーはゲームのシナリオを崩すため、動き始める。 しかし、何も変わらなかった。 学園入学する前に王子との婚約を破棄しようと嫌われようとする計画もダメ。 逆に王子に好きになってもらおうとする計画もダメ。 何しても、王子の気持ちも世界も変わらなかった。 そして、遂にルーシーは何もやる気がなくなり、婚約破棄の運命の日まで流れるままに生きていくことにした。 ――――――――――――しかし、転生したのは悪役令嬢だけではない。 公爵家の子息、悪役令嬢の弟、ヒロインの友人、第3王子。 彼らもまた転生者であり、前世では悪役令嬢ルーシーを推しとしていた特殊な人たちであった。 そんなルーシーを愛してやまない人たちはこう決意する。 ――――――――――――自分がルーシーを幸せにすると。 転生した乙ゲーのキャラたちが、悪役令嬢を幸せルートに持って行くために試行錯誤する物語。

二人の公爵令嬢 どうやら愛されるのはひとりだけのようです

矢野りと
恋愛
ある日、マーコック公爵家の屋敷から一歳になったばかりの娘の姿が忽然と消えた。 それから十六年後、リディアは自分が公爵令嬢だと知る。 本当の家族と感動の再会を果たし、温かく迎え入れられたリディア。 しかし、公爵家には自分と同じ年齢、同じ髪の色、同じ瞳の子がすでにいた。その子はリディアの身代わりとして縁戚から引き取られた養女だった。 『シャロンと申します、お姉様』 彼女が口にしたのは、両親が生まれたばかりのリディアに贈ったはずの名だった。 家族の愛情も本当の名前も婚約者も、すでにその子のものだと気づくのに時間は掛からなかった。 自分の居場所を見つけられず、葛藤するリディア。 『……今更見つかるなんて……』 ある晩、母である公爵夫人の本音を聞いてしまい、リディアは家族と距離を置こうと決意する。  これ以上、傷つくのは嫌だから……。 けれども、公爵家を出たリディアを家族はそっとしておいてはくれず……。 ――どうして誘拐されたのか、誰にひとりだけ愛されるのか。それぞれの事情が絡み合っていく。 ◇家族との関係に悩みながらも、自分らしく生きようと奮闘するリディア。そんな彼女が自分の居場所を見つけるお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※作品の内容が合わない時は、そっと閉じていただければ幸いです(_ _) ※感想欄のネタバレ配慮はありません。 ※執筆中は余裕がないため、感想への返信はお礼のみになっておりますm(_ _;)m

誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。

salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。 6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。 *なろう・pixivにも掲載しています。

ざまぁ対象の悪役令嬢は穏やかな日常を所望します

たぬきち25番
ファンタジー
*『第16回ファンタジー小説大賞【大賞】・【読者賞】W受賞』 *書籍化2024年9月下旬発売 ※書籍化の関係で1章が近日中にレンタルに切り替わりますことをご報告いたします。 彼氏にフラれた直後に異世界転生。気が付くと、ラノベの中の悪役令嬢クローディアになっていた。すでに周りからの評判は最悪なのに、王太子の婚約者。しかも政略結婚なので婚約解消不可?! 王太子は主人公と熱愛中。私は結婚前からお飾りの王太子妃決定。さらに、私は王太子妃として鬼の公爵子息がお目付け役に……。 しかも、私……ざまぁ対象!! ざまぁ回避のために、なんやかんや大忙しです!! ※【感想欄について】感想ありがとうございます。皆様にお知らせとお願いです。 感想欄は多くの方が読まれますので、過激または攻撃的な発言、乱暴な言葉遣い、ポジティブ・ネガティブに関わらず他の方のお名前を出した感想、またこの作品は成人指定ではありませんので卑猥だと思われる発言など、読んだ方がお心を痛めたり、不快だと感じるような内容は承認を控えさせて頂きたいと思います。トラブルに発展してしまうと、感想欄を閉じることも検討しなければならなくなりますので、どうかご理解いただければと思います。

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

処理中です...