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第十章 マーマレード元皇太子の反撃

赤い死神と暴風王女と大国皇太子はマーマレードに到着しました。

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スカイバードは予定通り2時間後にはマーマレードの王都マーレに到着していた。

広大なマーレ湖の湖岸にゆったりと機体を揺らめかせつつ、着水する。

そして、ゆっくりと湖岸に向かう。

そのスカイバードの前に、観客を蹴散らせて粉塵を上げて50頭の馬と4頭立ての立派な馬車が到着した。

50頭の馬は10頭がノルディン帝国の騎士が乗っていたが、残りは服装もバラバラで、まるで蛮族の集団にも見えてた。

ノルディンの大使が2時間で出来た精一杯だった。

「な、何だこれは」
アレクはがっかりした。

この統一感のなさ、これではまるで山賊の一族の馬車ではないか。
馬車自体も金色の馬車でなんと成金趣味なんだろう。

「おい、これは何だ」
平伏している大使にアレクは切れていた。

「はっ、2時間で出来る限りやった結果でございます」
冷や汗タラタラで大使は言った。


「さすが、アレク。いかにも山賊の大親分という感じだな」
オーウェンが笑って言った。

「大使、貴様、南の蛮族の親分に笑われたではないか」
アレクは怒って言った。

「も、申し訳ありません」
大使は真っ青になっていた。

下手したらこの場で無礼討ちにされる・・・・・・

「ふんっ、貴様の所は出迎えにさえ来ておらんではないか」
アレクはオーウェンに逆襲に出るが、

「うちは貴様の所の成金趣味と違って目立たないようにしているのさ」
と言うと一角に陣取っている男たちの所に歩いていった。


「アレク、悪いけど、急ぐからこのまま飛んでいくぞ」
ジャンヌが言うや転移する。

「えっ、ちょっと待て」
慌ててアレクも転移していく。

「えっ、殿下」
大使はおいていかれて慌てた。

「大使殿、主が消えたのなら我々と共に王宮に行こうではないか」
ザンが言う。

「えっ、しかし」
「ボフミエの外務卿と一緒に来た我々では問題があるというのか」
ザンが凄む

「ザン、脅してどうするのよ。外務卿はそれは自国の人に恐れられているのに」
ライラが注意する。

「大使殿。私、この素晴らしい馬車に乗らせて頂いて宜しいですか」
ライラが首を傾けて可愛く聞く。

「何してる。クリス様がされたならいざしらず、貴様がやっても気持ち悪いだけだ」
ザンが白い目で見ていた。
「何言ってるのよ。私も可愛い乙女よ。ねえ、大使様」
必死にライラが大使に聞く。

「はっ、まあ、外務卿のお付きの方でしたら」
大使はもうどうにでもなれという感覚だった。



「一体どうなっている」
一方のオーウェンは自国の大使の前に来るなり言った。

「それは俺の言うセリフだ」
オーウェンは大使の横にいた少年に思いっきり弁慶の泣き所を蹴り飛ばされていた。

「いたっ」
オーウェンが叫んで飛び上がる。

「おい、何をする」
大使の横にいた兵士たちが色めき立つ。

「いきなり理由も告げずに人をかっさらうように連れてきやがって」
ジャックは更に蹴りそうな勢いで叫んでいる。

大使の後ろの兵士たちを手で制してオーウェンは痛みを堪えて立ち上った。

「ジャック、何か間違いがあったようだが、俺は大使にくれぐれも粗相がないように客を饗すようにお招きしろと指示を出したんだが」

「はんっ、何言ってんだよ。いきなり、家に兵士が踏み込んで来て有無を言わさずに連れてこられたんだけど」
怒りまくりのジャックが言った。

「お前が怒るのは判るけれど緊急事態なんだ。お前の助けが欲しい。クリスが攫われた」
「えっ、姉ちゃんが」
ジャックは驚いて言った。

「元婚約者のエドワードが主犯だ。何か王宮でとんでもないことが進行しているみたいなんだ。」
「で、クリスの捕まっている所は判ったのか」
オーウェンは幾分不機嫌な顔で大使に聞く。

「いえ、それがまだ、全く」

「な、ジャック、ここはお前が頼りなんだ」

「判った。姉ちゃんは王宮内にいるのか」
「おそらく、いるはずだ。極秘にその場所に近づきたいんだ」
オーウェンがジャックに頼み込む。


「判った母ちゃんに聞いてみる」
「よし、すぐに王宮に行こう」

「殿下我々は」
大使が慌てて聞く。

「お前らは、国王名でマーマレードに猛抗議をしろ。ドラフォード王国皇太子の婚約者を王宮に監禁するとは何事だとな」
「えっ、勝手に陛下の名前を使って良いんですか」
「構わん。俺が許す」
そう言うとオーウェンは馬に乗って、ジャックを前に乗せて、走り出した。

「えっ、殿下…………あとで怒られるのは私なんですけど」
大使はやりきれない顔で皇太子を見送るしか無かった。
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