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第十章 マーマレード元皇太子の反撃

ジャルカはルーファスから大変な情報を手に入れました

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ジャルカはうるさいジャンヌらがいないので、珍しく静かなボフミエの王宮でのんびりしていた。
空を見ると快晴。王宮からは彼方まで広がるサバンナが見えていた。
そう言えばこのような景色のところを、シャラザールと遠征の途についたこともあったなと昔を思い出していた。

そのもの思いにふけるジャルカの心の平静を魔導電話の騒々しい着信音が邪魔した。

「どうしたルーファス、マーマレードの王宮で反乱でも起こったのか」
忌々しそうにマーマレードの諜報局長のルーファスを睨みつける。

「おそらくそういった感じです」
嫌味で言ったのに、正気で返されてジャルカは目を瞬いた。

「シャーロット様が王妃様に拘束されました」
ルーファスは衝撃の発言をする。

「何!クリスの母御がか」
「それ以外に王宮に入ったウィル様らの消息が不明です」
続けて報告していくルーファスにジャルカの眉間のシワがよった。

「不明とはどういう事だ。貴様がそこにいながら」
「エドワード様が連れられた中に、サロモンとかいうボフミエの魔導師がおりまして」
「あの元皇帝の腰巾着か」
「なかなか防諜がきっちりしておりまして、探りにくくなっております」
「貴様の配下でもか」
ジャルカは考え込んだ。

「はい。それと噂ですが、王妃様の瞳に禍々しいものを感じたとの証言が」
「何じゃそれは」
「シャラザール様が前回破壊に失敗された黒い石がエドワード様の手にあるのではないかと」
またまたルーファスはとんでもないことを言い出す。

「魔王の封印された石か」
「はい。魔王が敵方についておりますと、まともに戦えるのはクリス様くらいかと」
「そのクリス様も捕まっているということか」
「はい」
ルーファスの言葉に更にジャルカは考え込んだ。流石によくないことが起こりそうだ。


「うーむ。シャラザール様が何故静かにしていらっしゃるかも判らんか」
ジャルカにとってあの目立ちたがり屋のシャラザールがこんなにも長い間静かにしているのは本当に不審だった。ジャルカはシャラザールが地獄に叩き返されたのをまだ知らなかった。

「止む終えん。ここはあまりこんな手を使いたくなかったが、最後の手段じゃ」
ジャルカは諦めたように言った。こうなればマーマレードの王宮が消滅しても仕方がないだろう。どのみちシャラザール気分次第で王宮などいつ消し飛んでもおかしくないのだ。そして、その力はクリスもあった。あの王弟反逆時によく、王宮は壊れなかったものだと今更ながら幸運に感謝する。もっともその幸運も今回で終わるかも知れないが。


「最終兵器を投入されますか」
こちらも諦めた目つきでルーファスが言った。

「まあ、彼奴らも、シャラザール様に比べるとましじゃ」

ジャルカはそこで考えて付け足した。

「お目付け役にドラフォードの小倅をつけて行かすしかあるまい」

「しかし、敵はボフミエに暴動を起こすようにいろいろ企んでおると思われますが。お二人を引き抜いて大丈夫なのですか?」
「そのような暴動はジャスティン1人いれば何とかなろう」
「まあ、そうですな」
ルーファスは頷きながら、ジャスティンの大変さを思って多少は同情した。

「直ちにそちらで受け入れ準備を行ってくれ。こちらで出来次第そちらに向かわせよう」
ジャルカは立上った。
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