上 下
263 / 444
第八章 ボフミエ王宮恋愛編

クリスは赤い死神の弟に怒りの雷撃浴びせました

しおりを挟む
「おいっ。そこのアレクの能無しの弟」
横からジャンヌがちょっかいをかけた。
「誰が能無しだ」
「彼奴等は放っておいてそろそろ戦おうぜ」
指を鳴らしながらジャンヌが言う。
「ジャンヌ勝手なことをするな」
慌てて画面にアレクが戻る。
「えええ!だって見てるの飽きたぞ」
「ジャンヌ。何勝手なことやっているのよ」
アメリアも参加してくる。
「もういい、そこのボフミエの小娘」
マトヴェイが切れて言った。
それもアメリアを筆頭魔導師と間違えて。
「はんっ。誰がボフミエの小娘よ。あなた私が誰かわからないの?」
「えっ違うのか」
「本当に。ノルディンの王子ってバカしかいないのね」
「おいっ。アメリア。皆が皆あんなではないぞ」
たまりかねてアレクが出てくる。
「だって敵対国のトップの筆頭魔導師の顔も知らないのよ。それにふつう、常識としてテレーゼの皇太子の顔くらい知っているわよ」
「まあ、テレーゼなんて所詮3流国家だからな」
ジャンヌが面白がっていった。
「何ですって。あなたが有名なのはガサツだからでしょ」
「何だと。アメリア。やるか」
ジャンヌが前に出る。
「ふんっ。知能でならいつでも勝負してやるわよ」
「ち、知能………」
途端にジャンヌの威勢が弱くなる。頭では到底アメリアには敵わない。というかねジャンヌが勝てる奴はボフミエのスタッフにはほとんどいなかったが。

「それにあの能無し、絶対にあなたのことさえ誰か判っていないわよ」
「そんな事あるか。なあ能無し」
ジャンは画面に向かった。
「誰が能無しじゃ。いいかげんにしろ。ボフミエの騎士風情が偉そうに言うな」
マトヴェイは切れて叫んでいた。

「ほら見てみなさい。やっぱり判っていないじゃない。本当にノルディンってバカしかいないんじや無いの」
アメリアが完全に馬鹿にして言った。

「皆様。もうその辺りで」
しびれを切らしてクリスが前に出た。
「クリス」
文句を言おうとするジャンヌをクリスが手で制する。


「やっと判る奴が出てきたか」
「マトヴェイ殿下。お初にお目にかかります。ボフミエ魔導国筆頭魔導師クリスティーナ・ミハイルです」
「ふんっ。ボフミエの小娘か。辺境の小国の小娘が大国の王子に何の用だ」
マトヴェイは鷹揚に尋ねた。

「生意気な」
その言葉に切れたジャスティンが城内で剣を一閃した。
城壁が吹き飛び、唖然としたノルディン軍が全く動けない一瞬のうちに斬撃が林の中の本陣を直撃した。流石にこの距離では大したことはなかったが、マトヴェイは弾き飛ばされて木に叩きつけられていた。

「ジャスティン」
クリスが注意するが、
「申し訳ございません。我慢できませんでした」
ジャスティンが一礼する。
ノルディンの兵士たちは唖然としていた。斬撃で5キロ以上ある距離を直撃させたのだ。それも城内からの攻撃でだ。

何とか傷だらけになりながらマトヴェイは立ち上がった。
「おのれ。小娘共が。もう許さん。この陳の地を制圧した後は貴様ら全員奴隷にして一人ずつ、なぶり殺しにしてやるわ。人間爆弾にして恐怖の…………」

「黙れ!下郎!」
クリスは完全にプッツン切れていた。叫ぶやクリスの体内が光ったかと思うと雷撃が城壁を突き破って直接ノルディンの本陣を直撃した。
マトヴェイは迫りくる光を認識できたかどうかは判らない。一瞬で黒焦げになった。

謁見の間の城壁は完全に吹き飛び外の景色が見えた。

そして、そこには憤怒の形相のクリスとそれを呆然と見ているジャンヌ達がいた。

周りの兵士たちは何もすること無しに一瞬にして本陣が壊滅していた。

そのあまりの力の大きさに、ノルティン軍の残りの兵達は平伏。生き残った全員が降伏していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

私はただ一度の暴言が許せない

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。 花婿が花嫁のベールを上げるまでは。 ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。 「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。 そして花嫁の父に向かって怒鳴った。 「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは! この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。 そこから始まる物語。 作者独自の世界観です。 短編予定。 のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。 話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。 楽しんでいただけると嬉しいです。 ※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。 ※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です! ※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。 ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。 今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、 ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。 よろしくお願いします。 ※9/27 番外編を公開させていただきました。 ※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。 ※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。 ※10/25 完結しました。 ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。 たくさんの方から感想をいただきました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

処理中です...