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第七章 魔王復活

魔王はトリポリに使者を派遣しようとしました

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その頃カーンの元へはクロチア国内の貴族たちが続々と集まって来ていた。
そして、カーンに捧げものを出し、本領安堵の確約を得ようとしていた。
カーンの圧倒的な魔力の前に、国外に逃亡したのは1割、他の大半の貴族は降伏し、カーンから領土を安堵してもらおうとしていた。

カーンはそれを謁見の間で玉座に座って受けていた。
片手にはワイングラスを持って横にはクロチアの王妃を侍らせていた。
それを見て謁見の間に来た貴族は目を見張り、ある者は痛ましそうに、ある者は軽蔑したように王妃を見ていた。
王妃としても横に立って酌をするか、侍女を1人ずつ殺すかどちらが良いとカーンに問われて仕方なしにしていたに過ぎない。王妃は夫を殺したカーンに屈辱にまみれた思いで酌をしていた。

「これはこれはカーン国王陛下。この度のクロチア併合おめでとうございます。
私バジノヴァ―はこれからカーン国王陛下に忠誠を誓わせていただきます。つきましては少ないですが受け取って頂きますようよろしくお願いいたします」
バジノヴァ―は家宝の宝玉を取り出して捧げた。
それを侍従が受け取る。

「ん、殊勝じゃな」
カーンは頷いてワインを飲もうとした。
が、飲むのを途中で止める。

「王妃。貴様もこの酒を飲め」
王妃に酒を突き出す。
「いえ、そのような。」
王妃は慌てた。
「良いから飲むのだ」
カーンは立ち上がると王妃の口にワインを突き出す。
王妃が口を閉じて顔を逸らそうとするが、顎を捕えて強引に口をこじ開ける。
そして、口の中にワインを流し込んだ。
「うっ」
王妃は無理やり飲まされた。

そして、いきなり喉をかきむしって暴れ出した。
そして、バジノヴァーにぶつかっていった。
二人はもつれて倒れた。
バジノヴァーが起き上がって王妃を見るとすさまじい苦悶に歪んだ顔で
王妃は口から血反吐を吐いてその場で死んでいた。

「キャー」
周りの侍女が声を挙げる。
バジノヴァーは横で血を吐いて死んでいる王妃を唖然と眺めていた。

「ふんっ俺に毒を飲ませるなど無駄な事を」
吐き捨てるようにカーンは言った。

「この薄汚いものを処分しろ」
カーンの指示で兵たちが王妃の死体を片付ける。

「バジノヴァー、その方も余に毒を飲ませたいか」
「滅相もございません」
慌ててバジノヴァーは首を振った。

「カーン様」
慌てて、アクラシが外から入って来た。

「アクラシ、王妃が余に毒を飲ませようとしたぞ」
「な、なんと。だから申したのです。王妃などそばに置いてはいけませんと」
「ふんっ毒殺くらいやってくれないと面白くも無い。」
にやりとアクラシは笑った。

周りのクロチアの者たちは呆然と見ていた。

「ルチッチ。いつでも余に逆らってよいぞ」
「御冗談を」
ルチッチは慌てて否定した。
「貴様らの元主君の妃が命をかけたのだ。貴様らもそうしたかろう」
「滅相もございません」
ルチッチは否定する。

「おのれカーンめ」
それまで我慢していた騎士の一人が剣を抜いて切りかかった。
カーンはそれを一瞬で肉塊に変えていた。
血しぶきが飛んで女官の一人が見ろに浴びた。
「キャー―――」
悲鳴と共に女官が倒れる。

「ふんっ。詰まらんな。もう終わりか」
カーンは呟いた。

「アクラシ。所で何か用か」
「はいっ。ボフミエに動きがあると。カロエに軍を集結しつつあるそうです」
アクラシが報告する。

「ふんっ。そんな事か。それ以外にあの小娘は各国に援軍を頼んでいるそうだぞ」
「本当でございますか」
アクラシが慌てた。
「ふんっ。気にするな。軍など何万人集まっても余の前には無駄だ。増えれば増えるだけ動きは鈍くなろう。各国が慌てふためいているうちに、予定通り次の手に入ろう」
落ち着いてカーンが言う。

「トリポリですか」
「そうだ」
アクラシのあげた声にカーンは頷く。

「この度もカーン様自ら使者で行かれますか」
「何故、儂自らいかねばならん」
カーンは否定した。

「そうだな、今度はそこのお前」
カーンはバジノヴァーを指さした。

「トリポリにおもむき、トリポリ国王に降伏するように伝えよ」
「私がでございますか」
バジノヴァーは驚いて言った。

「そうだ。うまく行けば領地を増やしてやろう」
「領地よりは私めも欲しいものがあります」
思い切ってバジノヴァーは言った。

「ほう何だ。予の首か」
興味を持ってカーンが聞く。
「御冗談を」
慌ててバジノヴァーは否定する。

「出来ましたらクロチアの王女殿下を妻に頂きたく」
「何だと」
カーンの後ろに控えていたクロチアの者が声をあげる。
カーンはじろりとそちらを睨んで黙らせる。
バジノヴァーは中肉小太り、今も緊張しているせいか汗が湯水のように出て脂ぎっていた。
王妃に似て美しいと言われている王女には喜ばしい事では無いだろう。

「反逆した王妃の娘をか」
「はい。昔こっぴどく振られました」
バジノヴァーはにやりと笑って言った。

「なるほど。その方にやるのも良かろう」
笑ってカーンは言った。

その後ろでその王女が蒼白となって立っていた。

「トリポリ国王は脅しに弱い。
何だったら今の王妃の首を持って行ってトリポリ国王に見せつけろ。即座に降伏するだろう」
「御意」
バジノヴァーは平伏していた。

***********************************************

人物紹介
クリスティーナ・ミハイル18 侯爵家10歳からエドの婚約者 主人公
ボフミエ皇帝に誘拐されたが、魔人と化した皇帝を拳で殴りつけて征伐。皇太子、王弟、その他もろもろ、魔人と化してもクリスの拳は無敵。そのままボフミエ古の3魔導師によってボフミエ魔導国筆頭魔導師にさせられる。
建国の戦神シャラザールが憑依している。アルコール摂取で出現  マーマレードいや世界最強
  
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