214 / 444
第七章 魔王復活
魔王はトリポリに使者を派遣しようとしました
しおりを挟む
その頃カーンの元へはクロチア国内の貴族たちが続々と集まって来ていた。
そして、カーンに捧げものを出し、本領安堵の確約を得ようとしていた。
カーンの圧倒的な魔力の前に、国外に逃亡したのは1割、他の大半の貴族は降伏し、カーンから領土を安堵してもらおうとしていた。
カーンはそれを謁見の間で玉座に座って受けていた。
片手にはワイングラスを持って横にはクロチアの王妃を侍らせていた。
それを見て謁見の間に来た貴族は目を見張り、ある者は痛ましそうに、ある者は軽蔑したように王妃を見ていた。
王妃としても横に立って酌をするか、侍女を1人ずつ殺すかどちらが良いとカーンに問われて仕方なしにしていたに過ぎない。王妃は夫を殺したカーンに屈辱にまみれた思いで酌をしていた。
「これはこれはカーン国王陛下。この度のクロチア併合おめでとうございます。
私バジノヴァ―はこれからカーン国王陛下に忠誠を誓わせていただきます。つきましては少ないですが受け取って頂きますようよろしくお願いいたします」
バジノヴァ―は家宝の宝玉を取り出して捧げた。
それを侍従が受け取る。
「ん、殊勝じゃな」
カーンは頷いてワインを飲もうとした。
が、飲むのを途中で止める。
「王妃。貴様もこの酒を飲め」
王妃に酒を突き出す。
「いえ、そのような。」
王妃は慌てた。
「良いから飲むのだ」
カーンは立ち上がると王妃の口にワインを突き出す。
王妃が口を閉じて顔を逸らそうとするが、顎を捕えて強引に口をこじ開ける。
そして、口の中にワインを流し込んだ。
「うっ」
王妃は無理やり飲まされた。
そして、いきなり喉をかきむしって暴れ出した。
そして、バジノヴァーにぶつかっていった。
二人はもつれて倒れた。
バジノヴァーが起き上がって王妃を見るとすさまじい苦悶に歪んだ顔で
王妃は口から血反吐を吐いてその場で死んでいた。
「キャー」
周りの侍女が声を挙げる。
バジノヴァーは横で血を吐いて死んでいる王妃を唖然と眺めていた。
「ふんっ俺に毒を飲ませるなど無駄な事を」
吐き捨てるようにカーンは言った。
「この薄汚いものを処分しろ」
カーンの指示で兵たちが王妃の死体を片付ける。
「バジノヴァー、その方も余に毒を飲ませたいか」
「滅相もございません」
慌ててバジノヴァーは首を振った。
「カーン様」
慌てて、アクラシが外から入って来た。
「アクラシ、王妃が余に毒を飲ませようとしたぞ」
「な、なんと。だから申したのです。王妃などそばに置いてはいけませんと」
「ふんっ毒殺くらいやってくれないと面白くも無い。」
にやりとアクラシは笑った。
周りのクロチアの者たちは呆然と見ていた。
「ルチッチ。いつでも余に逆らってよいぞ」
「御冗談を」
ルチッチは慌てて否定した。
「貴様らの元主君の妃が命をかけたのだ。貴様らもそうしたかろう」
「滅相もございません」
ルチッチは否定する。
「おのれカーンめ」
それまで我慢していた騎士の一人が剣を抜いて切りかかった。
カーンはそれを一瞬で肉塊に変えていた。
血しぶきが飛んで女官の一人が見ろに浴びた。
「キャー―――」
悲鳴と共に女官が倒れる。
「ふんっ。詰まらんな。もう終わりか」
カーンは呟いた。
「アクラシ。所で何か用か」
「はいっ。ボフミエに動きがあると。カロエに軍を集結しつつあるそうです」
アクラシが報告する。
「ふんっ。そんな事か。それ以外にあの小娘は各国に援軍を頼んでいるそうだぞ」
「本当でございますか」
アクラシが慌てた。
「ふんっ。気にするな。軍など何万人集まっても余の前には無駄だ。増えれば増えるだけ動きは鈍くなろう。各国が慌てふためいているうちに、予定通り次の手に入ろう」
落ち着いてカーンが言う。
「トリポリですか」
「そうだ」
アクラシのあげた声にカーンは頷く。
「この度もカーン様自ら使者で行かれますか」
「何故、儂自らいかねばならん」
カーンは否定した。
「そうだな、今度はそこのお前」
カーンはバジノヴァーを指さした。
「トリポリにおもむき、トリポリ国王に降伏するように伝えよ」
「私がでございますか」
バジノヴァーは驚いて言った。
「そうだ。うまく行けば領地を増やしてやろう」
「領地よりは私めも欲しいものがあります」
思い切ってバジノヴァーは言った。
「ほう何だ。予の首か」
興味を持ってカーンが聞く。
「御冗談を」
慌ててバジノヴァーは否定する。
「出来ましたらクロチアの王女殿下を妻に頂きたく」
「何だと」
カーンの後ろに控えていたクロチアの者が声をあげる。
カーンはじろりとそちらを睨んで黙らせる。
バジノヴァーは中肉小太り、今も緊張しているせいか汗が湯水のように出て脂ぎっていた。
王妃に似て美しいと言われている王女には喜ばしい事では無いだろう。
「反逆した王妃の娘をか」
「はい。昔こっぴどく振られました」
バジノヴァーはにやりと笑って言った。
「なるほど。その方にやるのも良かろう」
笑ってカーンは言った。
その後ろでその王女が蒼白となって立っていた。
「トリポリ国王は脅しに弱い。
何だったら今の王妃の首を持って行ってトリポリ国王に見せつけろ。即座に降伏するだろう」
「御意」
バジノヴァーは平伏していた。
***********************************************
人物紹介
クリスティーナ・ミハイル18 侯爵家10歳からエドの婚約者 主人公
ボフミエ皇帝に誘拐されたが、魔人と化した皇帝を拳で殴りつけて征伐。皇太子、王弟、その他もろもろ、魔人と化してもクリスの拳は無敵。そのままボフミエ古の3魔導師によってボフミエ魔導国筆頭魔導師にさせられる。
建国の戦神シャラザールが憑依している。アルコール摂取で出現 マーマレードいや世界最強
そして、カーンに捧げものを出し、本領安堵の確約を得ようとしていた。
カーンの圧倒的な魔力の前に、国外に逃亡したのは1割、他の大半の貴族は降伏し、カーンから領土を安堵してもらおうとしていた。
カーンはそれを謁見の間で玉座に座って受けていた。
片手にはワイングラスを持って横にはクロチアの王妃を侍らせていた。
それを見て謁見の間に来た貴族は目を見張り、ある者は痛ましそうに、ある者は軽蔑したように王妃を見ていた。
王妃としても横に立って酌をするか、侍女を1人ずつ殺すかどちらが良いとカーンに問われて仕方なしにしていたに過ぎない。王妃は夫を殺したカーンに屈辱にまみれた思いで酌をしていた。
「これはこれはカーン国王陛下。この度のクロチア併合おめでとうございます。
私バジノヴァ―はこれからカーン国王陛下に忠誠を誓わせていただきます。つきましては少ないですが受け取って頂きますようよろしくお願いいたします」
バジノヴァ―は家宝の宝玉を取り出して捧げた。
それを侍従が受け取る。
「ん、殊勝じゃな」
カーンは頷いてワインを飲もうとした。
が、飲むのを途中で止める。
「王妃。貴様もこの酒を飲め」
王妃に酒を突き出す。
「いえ、そのような。」
王妃は慌てた。
「良いから飲むのだ」
カーンは立ち上がると王妃の口にワインを突き出す。
王妃が口を閉じて顔を逸らそうとするが、顎を捕えて強引に口をこじ開ける。
そして、口の中にワインを流し込んだ。
「うっ」
王妃は無理やり飲まされた。
そして、いきなり喉をかきむしって暴れ出した。
そして、バジノヴァーにぶつかっていった。
二人はもつれて倒れた。
バジノヴァーが起き上がって王妃を見るとすさまじい苦悶に歪んだ顔で
王妃は口から血反吐を吐いてその場で死んでいた。
「キャー」
周りの侍女が声を挙げる。
バジノヴァーは横で血を吐いて死んでいる王妃を唖然と眺めていた。
「ふんっ俺に毒を飲ませるなど無駄な事を」
吐き捨てるようにカーンは言った。
「この薄汚いものを処分しろ」
カーンの指示で兵たちが王妃の死体を片付ける。
「バジノヴァー、その方も余に毒を飲ませたいか」
「滅相もございません」
慌ててバジノヴァーは首を振った。
「カーン様」
慌てて、アクラシが外から入って来た。
「アクラシ、王妃が余に毒を飲ませようとしたぞ」
「な、なんと。だから申したのです。王妃などそばに置いてはいけませんと」
「ふんっ毒殺くらいやってくれないと面白くも無い。」
にやりとアクラシは笑った。
周りのクロチアの者たちは呆然と見ていた。
「ルチッチ。いつでも余に逆らってよいぞ」
「御冗談を」
ルチッチは慌てて否定した。
「貴様らの元主君の妃が命をかけたのだ。貴様らもそうしたかろう」
「滅相もございません」
ルチッチは否定する。
「おのれカーンめ」
それまで我慢していた騎士の一人が剣を抜いて切りかかった。
カーンはそれを一瞬で肉塊に変えていた。
血しぶきが飛んで女官の一人が見ろに浴びた。
「キャー―――」
悲鳴と共に女官が倒れる。
「ふんっ。詰まらんな。もう終わりか」
カーンは呟いた。
「アクラシ。所で何か用か」
「はいっ。ボフミエに動きがあると。カロエに軍を集結しつつあるそうです」
アクラシが報告する。
「ふんっ。そんな事か。それ以外にあの小娘は各国に援軍を頼んでいるそうだぞ」
「本当でございますか」
アクラシが慌てた。
「ふんっ。気にするな。軍など何万人集まっても余の前には無駄だ。増えれば増えるだけ動きは鈍くなろう。各国が慌てふためいているうちに、予定通り次の手に入ろう」
落ち着いてカーンが言う。
「トリポリですか」
「そうだ」
アクラシのあげた声にカーンは頷く。
「この度もカーン様自ら使者で行かれますか」
「何故、儂自らいかねばならん」
カーンは否定した。
「そうだな、今度はそこのお前」
カーンはバジノヴァーを指さした。
「トリポリにおもむき、トリポリ国王に降伏するように伝えよ」
「私がでございますか」
バジノヴァーは驚いて言った。
「そうだ。うまく行けば領地を増やしてやろう」
「領地よりは私めも欲しいものがあります」
思い切ってバジノヴァーは言った。
「ほう何だ。予の首か」
興味を持ってカーンが聞く。
「御冗談を」
慌ててバジノヴァーは否定する。
「出来ましたらクロチアの王女殿下を妻に頂きたく」
「何だと」
カーンの後ろに控えていたクロチアの者が声をあげる。
カーンはじろりとそちらを睨んで黙らせる。
バジノヴァーは中肉小太り、今も緊張しているせいか汗が湯水のように出て脂ぎっていた。
王妃に似て美しいと言われている王女には喜ばしい事では無いだろう。
「反逆した王妃の娘をか」
「はい。昔こっぴどく振られました」
バジノヴァーはにやりと笑って言った。
「なるほど。その方にやるのも良かろう」
笑ってカーンは言った。
その後ろでその王女が蒼白となって立っていた。
「トリポリ国王は脅しに弱い。
何だったら今の王妃の首を持って行ってトリポリ国王に見せつけろ。即座に降伏するだろう」
「御意」
バジノヴァーは平伏していた。
***********************************************
人物紹介
クリスティーナ・ミハイル18 侯爵家10歳からエドの婚約者 主人公
ボフミエ皇帝に誘拐されたが、魔人と化した皇帝を拳で殴りつけて征伐。皇太子、王弟、その他もろもろ、魔人と化してもクリスの拳は無敵。そのままボフミエ古の3魔導師によってボフミエ魔導国筆頭魔導師にさせられる。
建国の戦神シャラザールが憑依している。アルコール摂取で出現 マーマレードいや世界最強
0
お気に入りに追加
2,450
あなたにおすすめの小説
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
私と一緒にいることが苦痛だったと言われ、その日から夫は家に帰らなくなりました。
田太 優
恋愛
結婚して1年も経っていないというのに朝帰りを繰り返す夫。
結婚すれば変わってくれると信じていた私が間違っていた。
だからもう離婚を考えてもいいと思う。
夫に離婚の意思を告げたところ、返ってきたのは私を深く傷つける言葉だった。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
婚約者の浮気をゴシップ誌で知った私のその後
桃瀬さら
恋愛
休暇で帰国中のシャーロットは、婚約者の浮気をゴシップ誌で知る。
領地が隣同士、母親同士の仲が良く、同じ年に生まれた子供が男の子と女の子。
偶然が重なり気がついた頃には幼馴染み兼婚約者になっていた。
そんな婚約者は今や貴族社会だけではなく、ゴシップ誌を騒がしたプレイボーイ。
婚約者に婚約破棄を告げ、帰宅するとなぜか上司が家にいた。
上司と共に、違法魔法道具の捜査をする事となったシャーロットは、捜査を通じて上司に惹かれいくが、上司にはある秘密があって……
婚約破棄したシャーロットが幸せになる物語
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
侯爵令嬢として婚約破棄を言い渡されたけど、実は私、他国の第2皇女ですよ!
みこと
恋愛
「オリヴィア!貴様はエマ・オルソン子爵令嬢に悪質な虐めをしていたな。そのような者は俺様の妃として相応しくない。よって貴様との婚約の破棄をここに宣言する!!」
王立貴族学園の創立記念パーティーの最中、壇上から声高らかに宣言したのは、エリアス・セデール。ここ、セデール王国の王太子殿下。
王太子の婚約者である私はカールソン侯爵家の長女である。今のところ
はあ、これからどうなることやら。
ゆるゆる設定ですどうかご容赦くださいm(_ _)m
わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?
柚木ゆず
恋愛
ランファーズ子爵令嬢、エミリー。彼女は我が儘な妹マリオンとマリオンを溺愛する両親の理不尽な怒りを買い、お屋敷から追い出されてしまいました。
自分の思い通りになってマリオンは喜び、両親はそんなマリオンを見て嬉しそうにしていましたが――。
マリオン達は、まだ知りません。
それから僅か1か月後に、エミリーの追放を激しく後悔する羽目になることを。お屋敷に戻って来て欲しいと、エミリーに懇願しないといけなくなってしまうことを――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる