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第七章 魔王復活

トリポリ国王はなりふり構わぬ姿勢で助けをクリスに求めました

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クロチア王国、モルロイに制圧されるの報は瞬く間にボフミエの仮宮殿に知らされた。
開いていた穴は応急処置で埋められたが、その跡ははっきりと残っていた。

「使者に扮していたカーンは謁見室にて国王ダーヴィト、及び騎士団長のセサルを殺害し。護衛の魔導師達によって王宮を制圧。前線にいたクロチア騎士団も国王死去の報に崩壊しました」
アレクが報告した。
それを苦虫をかみつぶしたような顔でジャンヌが聞いていた。

「抵抗する間もなく滅ぼされたとは参りましたな」
グリンゲンが皆の気持ちを代表して言う。

「手助けする間もなく、滅んでしまうとは」
「ここまでもろいとは思ってもいませんでした」
アレクらの言葉に皆頷く。

「どうするクリス。既に遅いが今から援助に向かうか」
ジャンヌが提案した。

「その国からの救援依頼も無しに攻撃に赴くのはどうでしょうか」
クリスは懐疑的に言う。
「下手したら内政干渉に問われかねん」
オーウェンも言う。
「しかし、1日でほとんど占拠などという事をされたのだぞ。近隣諸国は大変ではないか」
「確かに恐慌をきたしておりましょう」
アレクが言う。

「と言って今軍を出すとこちらも侵略国家の異名が付きかねないぞ」
オーウェンが懸念を示す。
「そうです。それでなくともこの国のは戦力的には周りの国家よりも圧倒的に強力なのです」
アメリアも懸念を述べる。

「しかし、アメリアのテレーゼからも魔王を何とかしてほしいと依頼があるではないか」
「それはそうだけど、他国から侵略とみられるのはまずいと思うの」
「救援の依頼があればよいというのか」
「それが一番いいと思うわ」
「でも、今回のクロチアのようでは助けを呼ぶ暇も無いぞ」
確かにジャンヌの言うのも一理あった。
「助けを呼ぼうという時は詰んでいる時か」

「助けと言えば早速かかって来たけど」
アレクの魔導電話が鳴った。

「アレク様。何卒お助け下さい」
電話に出てきたのは慌てふためいたトリポリ国王だった。
「何を助けるのだ」
アレクが白々しく聞く。
「魔王カーンの脅威からに決まっているでしょう」
画面から飛び出さんほどの勢いで国王は言う。

「カーンはまだクロチアを占領している最中だぞ。貴様の国に行くのはまだ先だろう」
「そんなこと言っても、カーンは使者と偽って現れて一瞬で国王の首を跳ね飛ばしたというではありませんか。魔王の気分次第で下手したら明日にも来るかもしれません」
国王は慌てていた。

「何卒クリス様にお取次ぎを」
「俺では不足だと」
目を吊り上げてアレクが言う。

「そんな滅相も無い。ただただ、聖女クリス様のお慈悲にすがりたいだけでございます」
画面の中で土下座しそうな勢いでトリポリ王ホフマンは言った。

「と申しておりますが」
アレクはクリスの方を見た。

「ホフマン国王陛下」
「これはこれはクリス様。アレク様の後ろにいらっしゃいましたか」
相好を崩してホフマンが言う。

「魔王カーン目の次の目的地は我々かもしれません。何卒我々をお助けいただきますようよろしくお願いいたします」
カーンは平伏せんばかりの低姿勢でお願いする。
アレクならトリポリをカーンの餌にして助けに来てくれた時は国都は火の海になった後という事も考えられたが、聖女クリスに依頼しておけばその前に助けに来てくれるはずだ。
ホフマンも必死だった。

「陛下にはこのボフミエを救って頂いた恩義があります。
少しでもモルロイが脅してきた時には必ず、我らも立ち上がることはお約束いたします」
クリスはホフマンに保証した。

「ありがとうございます。何卒、クロチアの二の舞にならないように、よろしくお願いいたします」
ホフマンは電話の中で平伏していた。

「ホフマン国王よ。筆頭魔導師様もこうおっしゃっておられる。少しでもやばいと感じた時には即座に我らに連絡されればよかろう」
アレクが言った。

「ははあああ。宜しくお願いいたします」
なりふり構わぬ依頼だった。

「ここまでされるとむげに断るわけにもいきませんな」
グリンゲンが苦笑しながら言った。

「そうだ。クロチアの奴らも早めに依頼しておけばこのような事にはならなかったのに。愚かな奴らだ」
ジャンヌが言った言葉に皆頷いていた。

しかし、オーウェンはクリスが魔王と対峙するのに不安を感じていた。
か弱いクリスにいくらジャンヌやアレク、ジャスティンが付いて言っても相手は魔王なのだ。
実際ジャスティンは魔王に負けているのだ。
オーウェンは出来る事を全力でやろうと思った。
オーウェンは世界各地に救援依頼の使者をこれでもかというほど送り、すさまじい量の戦略物資や兵士をカロエに集結し始めた。

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人物紹介

ジャンヌ王女21 魔導剣士 茶色の髪別名暴風王女 現マーマレード皇太子
ノルディン帝国の侵略に対して部隊を指揮し奇襲攻撃かけたのは有名。その時剣を交えた敵国アレク皇太子から求愛されているが相手にしていない。
部下は超一級、ノルディンの精鋭一個師団と対峙しても決してひけを取らない。というか姫一人だけで一個師団を敗走させたとかさせていないとか。自国の近衛師団長ですら顎で使う。マーマレード王国最強戦士。対外的には。
本当の最強はアレク皇太子ですら恐怖するクリスなんだが、ほとんど知られていない国家の超機密事項
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