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第七章 魔王復活
婚約者に振られて絶望するカーンの目の前に弓矢が突き刺さりました
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今章は魔王復活です。
シャラザールによって宇宙のかなたに飛んで行ったはずが…
ボフミエ前皇帝の悲願が成就
そして騎馬帝国の復活なるか
しかし、その馬蹄の前にはクリスらのボフミエ魔導国が
そう復活した最強の魔王 対 戦神シャラザール
とどちらが強いのか
乞うご期待乞う続話
頑張って毎日更新目指します
**************************************************
モルロイ国はノルディン帝国とドラフォード王国の狭間の草原地帯の小国の1つだった。
騎馬の国として付近に名を成していた。
遙か大昔には大騎馬帝国を築いたこともあったらしい。
今、その第一王子のカーン・ハンは途方に暮れていた。
母はカーンが若くして亡くなり、その後第二夫人だった豪族の娘のオユンゲレルが正妃となった。
その継母は実の息子のテムゲを愛しており、折に触れてテムゲを皇太子にしようと画策していた。
国内の豪族の多くは第二王子に組しており、カーンにとっては日に日に立場が苦しくなっていた。
毒殺されそうになったことは枚挙に暇が無いほどで、毒に耐性のある体なのでまだ生きているにすぎなかった。
最近は陰謀の首魁とも目される首相のアラクシ・テギトも第二王子派になって、次々に陰謀を張り巡らせているという噂もあった。
カーンの味方の豪族も次々に第二王子派に寝返りだしている始末だった。
王宮の庭の池を眺めてカーンはため息をついた。
元々カーンは馬の扱いは慣れていても、陰謀などはからきしダメだった。
人の機微を知ることすら難しく、叩きあげて今の地位にいるアラクシに勝てる訳も無かった。
このままでは王子を廃嫡されるのも時間の問題だった。
しかし、今更皇太子にならないと言ったところで生かしてくれるとは思ってもいなかった。
「オルリコの為には皇太子でいるしか無かろう」
カーンはぽつりと言った。
美しい黒髪にすらりとした体型の美女オルリコは豪族アルチダイの一人娘でカーンの婚約者だった。
そのオルリコを弟のテムゲも狙っているようだった。
オルリコはいつもテムゲにはつれなくしていたが、カーンが皇太子を降りればテムゲの物になるのは明らかだった。
それだけはカーンは許せなかった。
そこに人の気配がして思わずカーンは草陰に隠れた。
最近は何かと物騒で用心に越したことは無いはずだ。
しかし、池の対岸に現れた2人を見てカーンは目を見開いた。
そこには愛しきオルリコとテムゲが連れ立って歩いて来たのだ。
「まさか、そんな」
カーン荷は目の前の事が信じられなかった。
「いや、何か話をしに来ただけだろう」
呟いてみるが、二人が人目を避けて話す理由など何があるというのだ。
「いつまでも躊躇っているとオルリコ様もテムゲ様に取られてしまいますぞ」
側近のガンホエックが言っていたことが思い起こされた。
でも、オルリコは
「カーン様を信じて待っております」
と言ってくれた。それを信じていたのに。
オルリコとテムゲは何か話し合っているようだった。
何故かオルリコが笑っていた。
今はめったにカーンの前で笑わないのに。
そして、カーンは次の瞬間に絶句した。
テムゲがオルリコを抱きしめていたのだ。
それを見た瞬間カーンの頭の中は真っ白になった。
そんな馬鹿な。オルリコだけは誰が何と言おうと絶対に最後まで付いて来たくれると思ったのに…
その場を足早に立ち去ったカーンはやみくもに駆けた。
気付くと来た事も無い寂れた場所に来ていた。
王宮のはずれの林の中だった。
自分に力が無いばかりに、友人知人は去って行った。
そして、今最愛の恋人までも。
カーンは絶望のあまり目の前が真っ暗になっていた。
ビシッ。
そのカーンの目の前の太い木に弓矢が深々と刺さった。
シャラザールによって宇宙のかなたに飛んで行ったはずが…
ボフミエ前皇帝の悲願が成就
そして騎馬帝国の復活なるか
しかし、その馬蹄の前にはクリスらのボフミエ魔導国が
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遙か大昔には大騎馬帝国を築いたこともあったらしい。
今、その第一王子のカーン・ハンは途方に暮れていた。
母はカーンが若くして亡くなり、その後第二夫人だった豪族の娘のオユンゲレルが正妃となった。
その継母は実の息子のテムゲを愛しており、折に触れてテムゲを皇太子にしようと画策していた。
国内の豪族の多くは第二王子に組しており、カーンにとっては日に日に立場が苦しくなっていた。
毒殺されそうになったことは枚挙に暇が無いほどで、毒に耐性のある体なのでまだ生きているにすぎなかった。
最近は陰謀の首魁とも目される首相のアラクシ・テギトも第二王子派になって、次々に陰謀を張り巡らせているという噂もあった。
カーンの味方の豪族も次々に第二王子派に寝返りだしている始末だった。
王宮の庭の池を眺めてカーンはため息をついた。
元々カーンは馬の扱いは慣れていても、陰謀などはからきしダメだった。
人の機微を知ることすら難しく、叩きあげて今の地位にいるアラクシに勝てる訳も無かった。
このままでは王子を廃嫡されるのも時間の問題だった。
しかし、今更皇太子にならないと言ったところで生かしてくれるとは思ってもいなかった。
「オルリコの為には皇太子でいるしか無かろう」
カーンはぽつりと言った。
美しい黒髪にすらりとした体型の美女オルリコは豪族アルチダイの一人娘でカーンの婚約者だった。
そのオルリコを弟のテムゲも狙っているようだった。
オルリコはいつもテムゲにはつれなくしていたが、カーンが皇太子を降りればテムゲの物になるのは明らかだった。
それだけはカーンは許せなかった。
そこに人の気配がして思わずカーンは草陰に隠れた。
最近は何かと物騒で用心に越したことは無いはずだ。
しかし、池の対岸に現れた2人を見てカーンは目を見開いた。
そこには愛しきオルリコとテムゲが連れ立って歩いて来たのだ。
「まさか、そんな」
カーン荷は目の前の事が信じられなかった。
「いや、何か話をしに来ただけだろう」
呟いてみるが、二人が人目を避けて話す理由など何があるというのだ。
「いつまでも躊躇っているとオルリコ様もテムゲ様に取られてしまいますぞ」
側近のガンホエックが言っていたことが思い起こされた。
でも、オルリコは
「カーン様を信じて待っております」
と言ってくれた。それを信じていたのに。
オルリコとテムゲは何か話し合っているようだった。
何故かオルリコが笑っていた。
今はめったにカーンの前で笑わないのに。
そして、カーンは次の瞬間に絶句した。
テムゲがオルリコを抱きしめていたのだ。
それを見た瞬間カーンの頭の中は真っ白になった。
そんな馬鹿な。オルリコだけは誰が何と言おうと絶対に最後まで付いて来たくれると思ったのに…
その場を足早に立ち去ったカーンはやみくもに駆けた。
気付くと来た事も無い寂れた場所に来ていた。
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自分に力が無いばかりに、友人知人は去って行った。
そして、今最愛の恋人までも。
カーンは絶望のあまり目の前が真っ暗になっていた。
ビシッ。
そのカーンの目の前の太い木に弓矢が深々と刺さった。
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