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第六章 クリス ボフミエ皇帝?になる

魔導学園の入学式でクリスは早速友人を職場に青田買いしました

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(でどうしてこうなった…)
1か月後にボフミエ・アメリア・魔導学園の入学式で呆然とアメリア学園長は生徒たちを見ていた。

15歳の新入生が200人。
これは普通の生徒だ。
今回はそれ以外に実践コースとして16歳以上で実践兼ねて1年間で速習し社会に追い出すコースが併設されていてそのコースには120人の生徒がいた。
魔導師コース80人。
事務コース40人だ。
魔導師コースはそのまま魔導師団に編成、速習で実施訓練兼ねて現場に出る可能性もあるし、事務コースはそのまま人手不足の王宮等に召し上げられる可能性もあった。
中で今まさにアメリアが学園長挨拶をしているのだが、生徒と教師の層はすごかった。
マーマレードにクリス目当てに留学していた層がこぞってボフミエ魔導学園に留学して来た。
実践コースには10人もの王族がいる事になった。
更に何故かその中にクリス、ジャンヌ、アレクの3人も入っているのだ。
内務の仕事で忙しいオーウェンはその中に入っていないが、人材不足の職員を補充するために現場で役職を得ているものの多くが学生あるいは教員で入っていたのだった。

「本日この晴れの日に皆さんをお迎えできたことを喜ばしく思います。
この学園には世界各地から王族の皆様をはじめ多くの貴族の方々をもお迎え出来てうれしい限りです。
しかし、皆様にお断りしなければいけませんが、この学園の生徒となった限りはみんな平等です。
王侯貴族だろうが平民だろうがここでは身分差は一切忘れてください。

教師も世界各地から超一流の方々にお集まりいただきました。
世界一の教師陣の元、学べる皆さんがうらやましいです。
1日も早く現場に出られるようになってボフミエの力になってください」
アメリアのあいさつの後教師の紹介が終わって各自教室に向かう。


マーマレードから留学して来たスティーブン・スミスは教室の前の張り紙を見て席を確認して中に入る。
入口近くの黒髪の大きな黒い眼鏡をかけている少女の横を通る。
少女がにこりとこちらを見て笑ったような気がして、前に会った事があるのだろうかと少女を見るがあまり見覚えは無い。服装は制服を着ているのでみんな同じだが、感じから言ってスティーブと同じ庶民だろうか。髪型等見ても真面目そうな印象しかない。スティーブも微笑み返した。

「おい、いつまでも入口にいて邪魔してもらっても困るな」
後ろから声が聞こえた。
「ごめん」
慌てて後ろから入って来た生徒を通す。
男は入って来るや神経質そうな顔で少女に言った。

「おい、そこのさえない女。席を代われ」
「座席は指定制なんですけど」
少女が不思議そうな顔で男を見た。
その声もどこかで聞いたことがあった。
「うるさいブス。公爵令息のこのデニス・ハウゼン様がこの席にするって言ったんだよ。
平民の分際で口答えするな」
「あなた、学園長の話は聞いていなかったの」
少女は呆れて言った。
「何だと平民の分際で俺に逆らうのか」
思わずつかみかかろうとしたデニスの手を横から入って来た男がはじいた。
「何をする」
「それはこちらのセリフだ」

「えっアルバート」
そうそれはクリス付きの騎士アルバート・バーミンガムだった。
「近衛騎士のアルバート・バーミンガム様よ」
「うそ、本当だ」
中にいた女たちが騒ぎ出す。

「あなたが何故ここに」
本人を改めて見てデニスは慌てた。
「デニス・ハウゼン。この学園の規則は平民も貴族も平等だ。
それは筆頭魔導師様が決められたことだ。それに対して君は逆らうのか」
「いえ、滅相もありません」
「クリス様に対しても侯爵の娘風情が生意気なと君の父上の公爵が言っていらっしゃると言う噂があるが」
「滅相もございません。そのような事実はありません」
デニスは否定した。
「今回の事は筆頭魔導師様にはご内聞に」
慌てて礼をするとデニスは離れて行った。
本人を前に無礼を働いたなど全然気付いていなかった。

驚いた顔をしているスティーブに伊達眼鏡をしたクリスがウィンクした。



「何故ここにいるんですか。筆頭魔導師様が」
休憩時間に外に出たクリスを追ってスティーブが声をかけて来た。
「だって学園も卒業できなかったし、もう少し学生もしたいなと。
それに人が足りなくて少しでも採用の助けになればと思って」
クリスが笑って言う。
「それよりもスティーブこそ、なぜこの学園に?」
「俺は平民だし、マーマレードではなかなか職が無くて。ボフミエならば人が足りないと聞いて、留学制度もあったから飛んできたんだ」
「オウに言ったら即座に採用してもらえるわよ」
「そんな訳ないだろう」
「採用」
後ろからいきなり声がかかる。
「えっ」
後ろには血走った目のオーウェンが立っていた。
「オーウェン様お久しぶりです」
スティーブが慌ててあいさつする。
「クリス。僕以外の男と楽しそうに話しているなんてひどいな」
ブスっとしてオーウェンが言う。
「皆いなくなって仕事が火の車なんだけど」

「まあまあ、オーウェン様。飢饉も何とかなりそうだし、少しくらい私も羽目を外したいなあっと。
それに早速一人人員を見つけたし」
オーウェンの機嫌が急に悪くなったので慌ててクリスはスティーブを見る。
「私もクリスと一緒に楽しみたいんだけど」
嫌味を言いつつ、その腕はしっかりとスティーブを掴んでいた。

「ではスティーブ君。早速仕事に行こうか」
「えっ私はまだ留学したところで」
「君の優秀さは一緒に学園祭やっていてよく判っているよ。
理論よりも実践が大切だろう。すぐに私の横で仕事を始めてくれ。
ヘルマンとかシュテファンが喜ぶよ」
呆然とししてるスティーブを強引にオーウェンは拉致して行った。
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