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第六章 クリス ボフミエ皇帝?になる
暴風王女は母、王妃に自分の至らなさを思い知らされました
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判明した食糧問題は深刻だった。
軍の綱紀粛正も早急にしなければいけない問題だったが、人買い商人による人攫いの多発も早急に防がねばならない問題だった。
ジャスティンは1000名連れて北方に展開。
綱紀粛正を図りながら、一部食料を運搬しながら警備に赴いた。
帝都はジャンヌ中隊が中心になって徹底的にしごく事から始めていた。
そして、合間を見て、食糧問題解決の為にマーマレードに電話した。
王宮に電話すると画面には王妃のエリザベスが映った。
「げっお母様」
ジャンヌは一瞬頭が真っ白になる。
最悪の事態だ。
なんで一番苦手な王妃が出てくる。
前もってこの時間に電話するとは伝えていた。
そこに王妃が出てくるという事は碌な事ではない。
国王なら頼み込めば何とかなったと思うし、内務卿のミハイル侯爵ならクリスが泣いていたと言えば一発だったのだが、母だとは…。
「ジャンヌ。あなたは今はボフミエの全権大使ではないの。
それが私情を持ち込んでお母様ってどういう事?」
エリザベスが指摘する。
ゲエエエ
礼儀作法は苦手だ。それもあのクリスが及第点を中々もらえなかった王妃相手にだ。
これならマーマレードとの交渉をクリスに代わってもらうんだった。
格好つけて私がやるなんて言うんじゃなかった。
後悔先に立たず、ジャンヌは渋々合わせる事にした。
「これは妃においては機嫌よく」
「あなた何言っているの。教育した者の顔が見たいわ」
王妃の後ろにいた女官達は目を見開いて王妃を見ていた。
その目は教育したのはあんただと言っていたが…。
「これはこれは王妃様。ご機嫌麗しくよ」
その後ろからの視線を気にもせず王妃が訂正する。
「王妃様。ご機嫌麗しく」
「そうその調子よ」
「ボフミエで民が」
「その前にもう少し季節の挨拶をしなさい」
「はっ!季節の挨拶?」
ジャンヌは思わず叫んでいた。
「そうね。こちらはまだ暑いですが、そちらは初雪が降りましたでしょうか。
とか、お寒い中お風邪を召されておられませんかとか」
「なっ」
「あなたね。クリスはこの辺りは完ぺきだったわよ。
10歳の時にはね。あなたには立ち居振舞まで求めていないでしょ」
クリスには首の傾け方1度でも違うとダメ出ししたけど…
王妃は心の中で思った。
それから20分間ジャンヌは徹底的な王妃教育を受ける嵌めになった。
「王妃様。そろそろお時間が」
呆れて女長官が横から口を出す。
「えっ。そう。もうそんな時間。仕方が無いわね」
エリザベスもほっとしていた。
ここまで礼儀作法が出来ていないとは思ってもいなかった。
もっとも想定は出来ていたはずだが。
「あなたの今までの努力に免じて2千トン援助させて頂きます」
「えったったの2千トンですか」
ジャンヌは呆然とした。
「礼儀作法!」
王妃は即座に指摘する。
「たったの2千トン」
何も変わらずジャンヌが言う。
王妃はため息をついた。
「ジャンヌ。これは母として言うわね。
本来ならばいくらでも支援したい。
ただし、私もマーマレードの国民を背負っているの。
今年は穀物の出来もそんなに良くはない。
国王陛下は1500トンと言われたところをあなたに免じて独断で2000トンにしたのよ。
感謝してもらいたいわ」
「しかし、それでは民が飢え死にしてしまいます」
ジャンヌは必死に言い募って来た。
「それではマーマレードの民に飢えろというの」
「マーマレードの国力から言えばもう少し何とかして頂けても良いのではないですか。
ノルディンは5千トン支援してくれるそうです」
ジャンヌは何とか食い下がった。
「ノルディンは大国よ。ノルディンが5千トンならマーマレードは2千トンでおかしくないはずよ」
「母上、そこを何とか、このままでは民たちが本当に死んでしまうのです」
「そこを何とかするのが政権を担うあなた方の務めでしょう」
王妃は取りつく島も無かった。
電話をあっさり切られたジャンヌはしばらく固まっていた。
自分の無力さを痛感していた。
軍の綱紀粛正も早急にしなければいけない問題だったが、人買い商人による人攫いの多発も早急に防がねばならない問題だった。
ジャスティンは1000名連れて北方に展開。
綱紀粛正を図りながら、一部食料を運搬しながら警備に赴いた。
帝都はジャンヌ中隊が中心になって徹底的にしごく事から始めていた。
そして、合間を見て、食糧問題解決の為にマーマレードに電話した。
王宮に電話すると画面には王妃のエリザベスが映った。
「げっお母様」
ジャンヌは一瞬頭が真っ白になる。
最悪の事態だ。
なんで一番苦手な王妃が出てくる。
前もってこの時間に電話するとは伝えていた。
そこに王妃が出てくるという事は碌な事ではない。
国王なら頼み込めば何とかなったと思うし、内務卿のミハイル侯爵ならクリスが泣いていたと言えば一発だったのだが、母だとは…。
「ジャンヌ。あなたは今はボフミエの全権大使ではないの。
それが私情を持ち込んでお母様ってどういう事?」
エリザベスが指摘する。
ゲエエエ
礼儀作法は苦手だ。それもあのクリスが及第点を中々もらえなかった王妃相手にだ。
これならマーマレードとの交渉をクリスに代わってもらうんだった。
格好つけて私がやるなんて言うんじゃなかった。
後悔先に立たず、ジャンヌは渋々合わせる事にした。
「これは妃においては機嫌よく」
「あなた何言っているの。教育した者の顔が見たいわ」
王妃の後ろにいた女官達は目を見開いて王妃を見ていた。
その目は教育したのはあんただと言っていたが…。
「これはこれは王妃様。ご機嫌麗しくよ」
その後ろからの視線を気にもせず王妃が訂正する。
「王妃様。ご機嫌麗しく」
「そうその調子よ」
「ボフミエで民が」
「その前にもう少し季節の挨拶をしなさい」
「はっ!季節の挨拶?」
ジャンヌは思わず叫んでいた。
「そうね。こちらはまだ暑いですが、そちらは初雪が降りましたでしょうか。
とか、お寒い中お風邪を召されておられませんかとか」
「なっ」
「あなたね。クリスはこの辺りは完ぺきだったわよ。
10歳の時にはね。あなたには立ち居振舞まで求めていないでしょ」
クリスには首の傾け方1度でも違うとダメ出ししたけど…
王妃は心の中で思った。
それから20分間ジャンヌは徹底的な王妃教育を受ける嵌めになった。
「王妃様。そろそろお時間が」
呆れて女長官が横から口を出す。
「えっ。そう。もうそんな時間。仕方が無いわね」
エリザベスもほっとしていた。
ここまで礼儀作法が出来ていないとは思ってもいなかった。
もっとも想定は出来ていたはずだが。
「あなたの今までの努力に免じて2千トン援助させて頂きます」
「えったったの2千トンですか」
ジャンヌは呆然とした。
「礼儀作法!」
王妃は即座に指摘する。
「たったの2千トン」
何も変わらずジャンヌが言う。
王妃はため息をついた。
「ジャンヌ。これは母として言うわね。
本来ならばいくらでも支援したい。
ただし、私もマーマレードの国民を背負っているの。
今年は穀物の出来もそんなに良くはない。
国王陛下は1500トンと言われたところをあなたに免じて独断で2000トンにしたのよ。
感謝してもらいたいわ」
「しかし、それでは民が飢え死にしてしまいます」
ジャンヌは必死に言い募って来た。
「それではマーマレードの民に飢えろというの」
「マーマレードの国力から言えばもう少し何とかして頂けても良いのではないですか。
ノルディンは5千トン支援してくれるそうです」
ジャンヌは何とか食い下がった。
「ノルディンは大国よ。ノルディンが5千トンならマーマレードは2千トンでおかしくないはずよ」
「母上、そこを何とか、このままでは民たちが本当に死んでしまうのです」
「そこを何とかするのが政権を担うあなた方の務めでしょう」
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