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第五章 ボフミエ皇帝誘拐する

海上逃走戦は人間ミサイルによって一瞬で終わりました

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皇帝らを乗せた貨物船は轟音を上げながら出港した。
波を蹴りながら加速する。
10人の魔術師によって船自体が加速していた。

「行かすな。
聖女クリス様を何としても取り返すのだ」
指揮官が叫ぶ。
「全パトロール艇、攻撃開始」
魔導師によって操縦されている小型艇が貨物船に向かう。

地上からも魔術師が攻撃魔法を放つが、サロモンが張ったバリアに弾き飛ばされる。
パトロール艇の先頭を走る1隻が魔導師の攻撃を受けて一瞬で爆発する。

「気を付けろ」
残りの4隻は散開する。

それを貨物船の上から魔術師が順番に攻撃する。
それをパトロール艇が躱す。
次々に攻撃を受けるが距離をあけたので命中しない。
しかし、貨物船はどんどん加速していく。
このままではらちがあかない。

後ろから大型の戦闘艇が動き出すが、ボフミエの船ほど早くない。
ボフミエはこの作戦に相当力を入れていて、宮廷魔術師100名を乗せていた。
その戦力はマーマレードをはるかに凌駕していた。
マーマレードはどちらかと言うと兵士主体。
魔術師は20人もいなかった。

「楽勝だな。振り切れ」
皇帝が余裕で言う。

「んっ」
その頭上に殺気を感じて慌てて伏せる。

甲板の上を衝撃波が走る。

10人程が弾き飛ばされて海に転落する。

残った魔導師も態勢を崩す、そこに抜剣したジャンヌらが切り込んだ。
瞬く間に10人程が倒される。


「姫様!」
戦闘艇の兵士たちが喜んで声をあげる。
ジャンヌはノルディン戦の英雄。今回の王弟反逆でも鎮圧には力を発揮していた。
その横にはそのノルディンの赤い死神と若手の有望株ウイル、そして大魔導師のジャルカが応援に現れたのだ。歓声を上げて小型艇はこれを機に急激に接近する。


サロモンがジャンヌらに衝撃波で攻撃しようとしたが、ジャルカのバリアで防がれる。

「おのれ、死にぞこないの魔導師め」
サロモンが叫ぶ。
「ふんっまだまだ青二才には負けんわ」
ジャルカがファイアーボールを打ち出す。
サロモンはそれをバリアで受けるが、周りの対応できなかった魔術師が吹き飛ばされる。

「豚皇帝、覚悟」
ボフミエ皇帝にウイルが切りかかる。
アーベルはバリアで弾き飛ばす。
「ふんっ餓鬼が…」
「ウィルまだまだ」
アレクが代わって剣を抜いてつく。
アーベルはなんとか受けるが次々に襲い掛かる。
他の魔術師の攻撃をかわしながら皇帝とアレクが戦う。

皇帝との間には騎士が入る。
次々に倒していくアレク。

ジャンヌも魔導師の攻撃をかわしながら攻撃する。

そしてジャンヌらの攻撃で混乱した貨物船がスピードを落としたところを小型船から兵士らが乗り込んでくる。

甲板は大混乱になっていた。

しかも、マーマレード側が優勢だ。

慌てた皇帝とサロモンは船の中に入る。

それを追ってアレクが入る。
入ったところを兵士が切りかかって来るが、その剣を避けて自らの剣を突き刺す。

その兵士がくずめるのを見届けながら皇帝を追う。
皇帝は扉を開けて船倉に入って行った。


「この小娘の命が惜しくないのか」
船倉の中央でクリスに剣を突き付けて皇帝が叫んでいた。

「姉様!」
ウィルが悲鳴を上げる。

「ウィル」
騒動で目が覚めかけたクリスがウィルを目にする。
頭がまだ働かないが、汚らしい男の手で抱きしめられているのは判った。

その時上空10キロメートルでは今にも死にそうになりながらオーウェンは何とか気を失わずに生きていた。
カプセルが船めがけて急激に迫る。
目前に急激に船が大きくなってきた。
「んっでもこれどうやって降りるんだ????」
一瞬で考えたが、答えは出るはずも無かった。
最大のバリアを張る。

「!」
サロモンと皇帝は上空から急激に迫って来る物体を感知した。

「来た!」
ジャンヌら3人はとっさに伏せた。
ジャルカは1人自分だけバリアを張る。

チュドーーーーン
衝撃波を伴いながら音速で飛んできた灼熱と化したカプセルは巨砲が命中したようなすさまじい音と共に貨物船に命中した。
一瞬で破壊された貨物船は海の藻屑となった…
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