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第四章 王立高等学園

学祭・演劇当日にもかかわらず暴風王女は遅刻ギリギリです

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「シャル、待て!なぜ君が行く必要がある」
シャル役のクリスを止めようとしてオーウェンはクリスに抱きつく。
「はいっ。私もオーウェン様と幸せになります」
ひしっとクリスはオーウェンに抱きついた。
画面が固まる。
えっシャルが戦場に行かない????
「ええええ!」
自分の叫び声でエステラは飛び起きた。
部屋は既に明るくなりつつあるが、時間はまだ5時過ぎだ。

昨日も今日の本番の事が気になってあまり寝られなかった。
全国生放送ってどういうこと。
それが決まってから3週間。親親戚友人関係からはジャンジャン電話がかかって来るし、
それでなくても普段ならエステラ風情が言葉を交わす事も出来ない、大国の皇太子や王族貴族連中がわんさか出演する。
心を鬼にして演技指導してきたが、普通なら不敬罪で処罰されてもおかしくなかった。
ジャンヌがどんなことをしても不敬罪にはしないと明言して頂いていたが。
王女のエカテリーナや伯爵のイザベラ特にメーソン子爵令嬢が怖い。
エカテリーナやイザベラは最悪他国の要人だがメーソンは自国だ。
それも陰険。クリスが傍にいる間は絶対にエステラにひどい事はしてこないとは思うが、
もし、クリスが本当にドラフォードに嫁入りしたら、どうなるんだろう。
もっと自国のお偉方に親しく成っておいた方が良いんだろうか。
と考えながら起き上がった。

「でも今日は本番。そんなことは終わってから考えましょう」
もう一度寝れそうにもないので、さっさと起き上がる。

支度をして食堂に降りると何故か食堂前のホールにはその意地悪令嬢3人がそろっていた。

「これはこれは鬼のエステラ様ではありませんか」
メーソンが声をかけてくる。
-やばい。とエステラは焦るが、クリスもジャンヌもいない。

「何恐れてんのよ。そう言うのは演技指導の時に遠慮してよね」
イザベラがぼそりという。
「本当に。帝国の王女を王女とも思わずに散々言っておきながら今ここでつぶしてあげようかしら」
にやっとエカテリーナは笑う。
「そうそうここでつるし上げて」
にやっと笑ってメーソンが言う。
「生きながら生皮をはいであげますわ」
エカテリーナがゆっくりと近付く。

エステラは恐怖のあまり声も上げられなかった。

その頭を思いっきりぶつ。
「何かたまってるのよ」
ボソリとエカテリーナは言う。

「エカテリーナ様。益々悪役令嬢になりつつありますよ。冗談で無くなってます。」
つまらなそうにイザベラが言う。
「あら、さう。大分うまくなってきたかしら」
エカテリーナが笑って言うが、
いやいや演技じゃなくて性格そのままだろう、と残りの3人は突っ込んだ。

「エステラさんも今日は頼んだわよ」
イザベラが言う。
「本当よ。こうなったら悪役令嬢になるしかないわ」
メーソンが言う。
「ふんっ本当に。世界一の悪役令嬢になってやるんだから」
イザベラも言う。
「ふふふ、あなた方端役が何言っても今回の主役は私よ」
エカテリーナが言う。
「どんなことをしてもクリスから主役の座を奪ってやるわ」

それは無い無いと3人は心の中で思った。

4人が多少ぎくしゃくと朝食を食べているとクラスの生徒がちょくちょく降りてくる。

7時前に食堂を降りて裏の練習小屋に近付くとバイオリンの音が響いてきた。
「早いのね」
エカテリーナが驚いて言う。
外では音楽の3人が演奏の練習をしていた。
「おはようございます」
伯爵令嬢のソフィアがエカテリーナに言う。
「もうアレク様たちは中で練習していらっしゃいますよ」
「えっお兄様早い」
慌てて4人は中に入った。

中ではアレクらが剣技で最後のところを練習していた。
ジャンヌ抜きだったが。

クリスの代わりにエステラでいじめの練習をする。
心拍の演技でイザベラがエステラを突き飛ばす。
「キャー」
思わず顔から地面に突き倒されて鼻を強打する。

「あら、こんなところに何かあるわ」
そのエステラをエカテリーナが思いっきり踏む。
うっ思わずエステラが跳ね上がり顔を上げる。

「エステラさん顔!」
その顔を見て思わずメーソンが駆け寄った。

顔からは鼻血が出ていて悲惨な状態になっていた。

「ごめんなさい」
イザベラが慌てて駆けよる。

「まあ」
驚いてエカテリーナは癒しの魔法をかける。

「すいません」
エステラが言う。
「イザベラ様もいつもの恨みと思いっきり倒すから」
メーソンが言う。
「えっ私?」
イザベラがびくっとする。

「ごめんなさい。遅くなって」
クリスが慌ててやってきた。

まだ時間まで30分もあるが。
そこでエステラの顔を見て固まる。

「あ、クリス様。イザベラさんがいつもの恨みってエステラさんに当たられたんです」
「ちょっとメーソン!」
メーソンの言葉に慌ててイザヘラが言い訳する。

皆当日なので緊張して早めに起きていた。
ただ緊張と程遠いのはいつもの通り30分前に来たクリスと

「ぉ・―・―。―」
パンを口に咥えながらもごもごあいさつしたギリギリに来たジャンヌだけだった。

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