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第四章 王立高等学園

大国皇太子は変態と認識される?

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クリスは怒涛の一か月に突入した。
放課後の2時間の練習に、衣装、道具の打ち合わせ、音楽等の打ち合わせを昼休みや休み時間にスティーブらと行う。

殺陣はジャンヌを中心にアルバート、ナタリーにアレク交えて作り上げていた。

オーウェンはクリスと演技上は仲良くできて幸せだった。

「そう、もっとオーウェン様とクリス様はくっついて下さい」
恥ずかしがるクリスに肩に手をまわして抱き寄せる。

「それはやりすぎです」
やりすぎるとすかさずエステラからくさびが撃ち込まれるが、オーウェンはどこ吹く風だ。

「クリス、今度の休みの時に街にまた行かないか?」
合間を縫ってデートにも誘おうとするが、
「オーウェン様、そこは1日通しの稽古です」
何処で聞いていたのかの、エステラの厳しい声がする。

「じゃあその次の休みは」
「その頃はもっと打ち合わせとか大変だと思います」
今度はクリスにダメ出しされる。
「やっぱ学祭の前は忙しいよな」
オーウェンは諦めきれないが、なかなか難しそうだった。

「じゃあ学園祭終わった後」
「でもその頃って勉強始めないと休み明けのテスト厳しいと思いますよ」
「ううう、後期もなかなか厳しいな」
「じゃあその時に図書館で物理いろいろ教えてください」
クリスが言う。
「えっ、判った。喜んで」
-まあ二人きりなら勉強でもいいだろう…
と思ったが、
-いや、またいろんな奴らが入って来ないだろうな…
ジャンヌやアレクの顔が頭をよぎるオーウェンではあった。


「シャル、待て!なぜ君が行く必要がある」
シャル役のクリスを止めようとしてオーウェンはクリスに抱きつく。

「きゃっ」
思わずクリスが悲鳴を上げて肘鉄をくらわす。

「オーウェン様そこはクリス様の手を握って止めるんです」
エステラが注意する。

「お兄様の変態!」
見学に来ていたガーネットが言う。
「いやらしいオーウェン様」
「最低!」
イザベラとナタリーも言う。

「ごめん、つい真面目になってしまって」
お腹を押さえながらオーウェンはクリスに謝る。

「まじめな人がなんで抱きつくんですか」
「本当にいやらしい」
「最低!」
3人がまた言う。

「現実社会で私がクリス嬢だけに行かすわけないだろう!」
オーウェンが言うが、

「オーウェン様。これは演劇なんです。
私の言う通りして頂かないと困ります」
とエステラ。

「そうですよ。オーウェン様。私も鬼のステラの言う通り悪役令嬢やっているんですから
オーウェン様も鬼畜王子演じて下さらないと」
イザベラが憤慨して言う。

「本当ですわ」
メーソンも尻馬に載って言う。

「まあ、かわいそうなオーウェン様。私ならいくら抱きついても受け止めますわよ」
一番の悪役令嬢のエカテリーナが言う。

「でも、今の良いと思います。じゃあ抱きつこうとしたオーウェン様をクリス様が肘鉄喰らわせて気を失わせるにします。」 
エステラは手を打って言った。

「じゃあ行きますよ」

「シャル、待て!なぜ君が行く必要がある。」
そう言うとオーウェンはクリスに抱きついた。
しかし、その手は胸をもろにもんでいた。

「キャッ。変態!」
思いっきりオーウェンの鳩尾に肘鉄を喰らわせる。

「ぐっ」
思わずオーウェンは片膝をついた。

「もう最低」
クリスが文句を言う。

「いや、ごめん、つい手が当たってしまって」

「ついってわざと」
「わざとじゃないよ。偶々あたっただけだよ」

「どうだか」
「わざとですね」
「本当最低!」
ドラフォードの3人が白い目で見る。

「お前らな。本当にわざとじゃないって」

「どうですかね」
エステラにまで言われて今日は天中殺だとオーウェンが思ったかどうか。
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