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第四章 王立高等学園

エステラの演技指導で悪役令嬢は本当に悪役になる

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放課後の教室は演技指導に熱が入っていた。

各チーム分けされた各面々はスティーブの指揮の元動き出していた。

音楽チームは音楽室で曲の選定を行っていた。
大道具チームは最後の殺陣の大道具に余念がない。
衣装チームもいろんな小物を縫いだしていた。

そして演技はエステラが渾身の指導を行っていた。

「キャァー」
クリスはイザベラに軽く押された。
そしてコケる。

「クリス様大丈夫ですか?」
慌ててイザベラがクリスに駆け寄る。

「ストップ」
エステラが叫ぶ。

「イザベラ様。ちゃんとやってください!」
「すいません。いじめるなんてやった事無くて」
エステラの問いにイザベラが謝る。

「本当ですか?」
エステラがイザベラの目を見て言う。
その真摯な視線に思わずイザベラは目を逸らす。
確かにどトラフォードでクリスとオーウェンを取り合っていた。

-なんで知っているのよこの子…

「もっと露骨に出来ますよね」
「えっそんな」
むっとしてイザベラは言う。
あなたなんかに言われたくないわよと顔に出ていた。

「そう、その顔です。その顔でやってください」
すかさずエステラが言う。

「もう一度」

4人が配置につく。

クリスがやってくる。それにイザベラはわざとらしくドンとぶつかって
「キャッ」
クリスがこける。

「あら、こんなところに何かあるわ」
クリスをエカテリーナが軽く踏む。

「何をされるのですか」
したからクリスは見上げて言う。

「あら、石が何か話したわ」
「あらこれはシャルと言う腐った石だわ」
そして、足の汚れを払う。

「私としたことが汚いものを踏んでしまったわ」
「オリビア様。足が腐りますわよ」
メーソンが棒読みで言う。

「本当ね。危ないところだったわ」
エカテリーナもあまり感情がこもっていない。

「あら、あなたこれは」
ぶつかられたショックで落ちた黄色いハンカチをエカテリーナは拾い上げる。

「これはエリオット様のハンカチじゃないの。何故あなたが持っているの?」
「返してください。」
クリスは起き上がってエカテリーナからハンカチを取り返そうとツするが、
エカテリーナはそのクリスを突き飛ばす。
「近寄らないで。不届き者」
「本当よ。公爵令嬢様に近寄って良いと思っているの。平民風情が」
メーソンがまた棒読みで言う。

「あなたが盗んだのね!」
エカテリーナが言う。

「そんな事無いです。エリオット様に貸して頂いたのです」

「あなたまた、エリオット様の前で泣きまねしたのね」
「エリオット様はオリビア様の婚約者ですのよ」
「婚約者のいる殿方に媚びうるなんて本当不潔だこと」

「ストップ。お三方とも全然感情が入っていません。
せめていつものようにやってください」

「何ですって!」
「私がいつもこんな事をやっているとでも」
「平民風情が何言ってるのよ!」
3人が怒っていった。

「そう、それです。
お三方ともその感じでやってください。
ここは悪役令嬢なんです。もっと悪役令嬢っぽく。
何だったらクリス様を私だと思ってどんどんいじめてください」
はつらつとしてエステラは言った。

「すごいな。妹が従っている」
アレクは驚いて言った。
「結構演出力あるよ。演劇部、エステラ嬢を使わなかった事後でぼろくそに言われるんじゃないかな?」
オーウェンも言う。

「クリス様。ここはいつもみたいに流さないでくださいね。
メーソン様がいつもいじめていたのを流されていましたが、もっとおびえてください」
「判りました。もっとおびえるんですね」
笑顔でクリスは言う。

メーソンはいじめの代名詞みたいに言われるのは避けたかった。
確かに夏前はいじめていたが、この演劇がヒットした場合、憎たらしい悪役令嬢ってレッテル貼られたら、嫁ぎ先が無くなると危惧して静かにしていたのに。
クリスは既に聖女クリスだ。
ジャンヌ姫ならばいじめてもびくともしないはずだし、周りも演技と思ってくれるかもしれないが、クリスは本当に演技力がある。
これじゃあ本当の悪役令嬢だ。
聖女クリスを学園で苛め抜いたメーソンなんてレッテルが付いたらどうしてくれるのだ。
エステラは酷い。
これで嫁の貰い手が無くなったら一生恨んでやる。
もう3人は自棄だった。

「じゃあもう一度」
悪魔のエステラの声が教室に響いた。
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