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第四章 王立高等学園
昼休みの学園祭クラス会議
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昼休み、委員会名目でクリスら6人は集まった。
食堂の一角に陣取った。
アレク、ジャンヌ、スティーブ向かいにエカテリーナオーウェンクリスの順に座っていた。
その後ろにはアルバートらクリスとエカテリーナの取り巻き連中が座っており、そこから遠くに王族4人とクリスの護衛連中がいるという重々しさだ。
「皆様にもアンケート結果をお渡ししたと思いますけど」
クリスが魔導ノートを見ながら話しだす。
「やっぱり演劇が多いな」
「それでジャンヌお姉さまにはご紹介したんですが、クラスで演劇部に所属しているエステラさんにシナリオをお任せしたらいいんじゃないかなと思うんですけど」
クリスが提案する。
「素人にさせるよりも専属のライターに書かせたらどうですか?」
エカテリーナが言う。
「しかし、プロを使うのはどうかな。自主性を重んじる学園だからな」
とジャンヌが言う。
「学生でやれるならその方が良いんじゃないか」
兄のアレクも一顧だにせず言い、
「クリス嬢の言う通りでいいんじゃない」
オーウェンまで言って
「彼女の中等部の時の演劇は結構評価されてますから」
スティーブが言うのを聞いて
「スティーブ、あなたまで私を裏切るんですの?」
きっとしてエカテリーナが言った。
「えっいや、王女殿下に逆らうわけでは…」
慌ててスティーブは言い訳するが。
-少しくらい誰か賛成してくれてもいいじゃない。みんなクリスのいう事を聞いて…
いじけモードのエカテリーナであった。
「でも、そんなに期待の星なら演劇部でも忙しいんじゃないか」
オーウェンが言う。
-さすが私のオーウェン様とエカテリーナが喜ぶが。
「なんか、演劇部の中では力を出させてもらっていないみたいで」
「言いたくないですけど、彼女も平民出身でなかなかやらせてもらっていないみたいで」
クリスの言葉にスティーブがかぶせる。
「身分差か。学園内でそれは良くないな。少なくともクラスの演劇では自由にやってもらっていいぞ。王族なんて関係なしに」
ジャンヌがあっさり言う。
「そんなのは当然だよね」
アレクが頷き
「まあ誰が出るか判らないけど、指導に身分差は必要ないだろう」
とオーウェン。
エカテリーナは嫌だったが、この雰囲気では何も言え無かった。
「エカテリーナも良いよな」
「はい」
アレクの言葉にうなずくしか無かった。
「アンケートでは歴史ものと恋愛ものが多かったので、出来たらそのあたりを入れて作ってくれとお願いしますね」
クリスが言う。
「まあ、良いんじゃないかな」
アレクが頷く。
「出演したいのか道具やりたいのか音楽したいのか皆さんにアンケートで聞いて出来る限り希望に沿うという事で進めたいと思うんですが」
クリスが再度提案する。
「それはいいけれど全体の流れはどうなっているの」
オーウェンが聞く。
「次のページに乗せています」
クリスが皆に言って
「2週間くらいで脚本のラフ作ってもらって、
翌週1週間で配役決めと同時に最終脚本にしてもらいます。
次の一週間でせりふ覚えで、残り一か月くらい練習と言う感じでどうかなと思うんですけど」
「まあ、そんな感じでいいと思うよ。細かいところは時々修正していけばいいんじゃないかな」
オーウェンは頷く。
「じゃあ、それで今日のホームルームで発表します。」
クリスはそう言うと視線を周りに向けた。
そしてクリスは遠くからこちらを見ているつぶらな瞳を見つけた。
エステラ・ハイドは朝クリスから言われたことを考えていた。
王族の演技指導なんか絶対に無理だ。
でも、あのジャンヌ様とお話しできた。
北方戦線の英雄、ジャンヌ。
彼女がいなかったら今頃王都マーレもノルディンの物になっていたかもしれない。
無敵の赤い死神の軍団と戦い、それを破った英雄。
その場面を何回夢見ただろう。
そして、このサマーパーティーではクリスが皇太子に婚約破棄された所にもさっそうと現れ、皇太子を蹴り倒していた。赤い死神を引き連れて。
その場面でジャンヌのその姿を見てエステラは恍惚とした。
歴史の真っただ中に自分はいるのだ。
そのジャンヌを使って演劇が出来る。
そんな機会は二度とこないだろう。
そもそも今までジャンヌが演劇に出たなんて聞いた事も無かった。
それもその赤い死神もクラスにいる。
その二人が遠くで一緒に食事している風景を見ながらエステラは食事もとらずにただ恍惚と見ていた。
いや頭の中には次々と二人を主人公にしてた物語が始まっていた。
エステラは食事なんてそっちのけで物思いにふけっていた。
そのぼうっと夢見ていたエステラの周りが突然騒がしくなった。
ハッと気づくと目の前にクリスの顔がアップであった。
「クリス様!」
驚いてこけそうになる。
「大丈夫?」
それを支えてくれたのはなんと赤い死神だった。
「ア、アレクサンドル殿下…・」
そしてクリスの横にはジャンヌとオーウェンがいてエカテリーナまでいた。
王族たちにエステラは囲まれていた。
「エステラさん。朝もお話ししたけれど、クラスの演出をお願いしたいの。
で、とりあえず、脚本を2週間くらいでいいから書いていただけないかしら。」
「えっでも…」
「今も夢見るようにお姉さまらを見ていたでしょう?
あなたの思うようにみんなをかいてほしいの。」
クリスが頼む。
「でも、そんな恐れ多い」
「脚本を書くのに自信が無いのか?」
ジャンヌが聞く。
「いえ、そんなことは。」
「よし、じゃあお前に任せた。」
ジャンヌが言い切る。
そして
「俺らが納得すれば他に文句言うやつはボフミエの王子くらいかな。
あいつは俺とオーウェンで納得させるから」
アレクが言う。
「という事で宜しく頼むよ」
オーウェンが言う。
「私をひどく書いたら許しませんわ」
エカテリーナが言うが、
「演劇性を伴っていたらどんなふうに書いてもいいさ。
やりたい役は自分で選べばいいし」
アレクが訂正する。
「じゃあ宜しくお願いするね」
オーウェンが言ってみんな教室に向かう。
「エステラよかったね。脚本書けて。高校の思い出に残る演劇を頼むよ」
スティーブが最後に言って去っていく。
エステラはまた、口をパクパクするしか出来なかった。
と言うかジャンヌ王女に頼むと言われたら断る選択肢は無かった。
ジャンヌ姫を主人公にして物語が書ける。それはエステラの夢でもあったのだ。
それがかなうかもしれない。
でも、何の実績も無い私が脚本書くなんてホームルームで通るんだろうか。
エステラはまだ信じられなかった。
食堂の一角に陣取った。
アレク、ジャンヌ、スティーブ向かいにエカテリーナオーウェンクリスの順に座っていた。
その後ろにはアルバートらクリスとエカテリーナの取り巻き連中が座っており、そこから遠くに王族4人とクリスの護衛連中がいるという重々しさだ。
「皆様にもアンケート結果をお渡ししたと思いますけど」
クリスが魔導ノートを見ながら話しだす。
「やっぱり演劇が多いな」
「それでジャンヌお姉さまにはご紹介したんですが、クラスで演劇部に所属しているエステラさんにシナリオをお任せしたらいいんじゃないかなと思うんですけど」
クリスが提案する。
「素人にさせるよりも専属のライターに書かせたらどうですか?」
エカテリーナが言う。
「しかし、プロを使うのはどうかな。自主性を重んじる学園だからな」
とジャンヌが言う。
「学生でやれるならその方が良いんじゃないか」
兄のアレクも一顧だにせず言い、
「クリス嬢の言う通りでいいんじゃない」
オーウェンまで言って
「彼女の中等部の時の演劇は結構評価されてますから」
スティーブが言うのを聞いて
「スティーブ、あなたまで私を裏切るんですの?」
きっとしてエカテリーナが言った。
「えっいや、王女殿下に逆らうわけでは…」
慌ててスティーブは言い訳するが。
-少しくらい誰か賛成してくれてもいいじゃない。みんなクリスのいう事を聞いて…
いじけモードのエカテリーナであった。
「でも、そんなに期待の星なら演劇部でも忙しいんじゃないか」
オーウェンが言う。
-さすが私のオーウェン様とエカテリーナが喜ぶが。
「なんか、演劇部の中では力を出させてもらっていないみたいで」
「言いたくないですけど、彼女も平民出身でなかなかやらせてもらっていないみたいで」
クリスの言葉にスティーブがかぶせる。
「身分差か。学園内でそれは良くないな。少なくともクラスの演劇では自由にやってもらっていいぞ。王族なんて関係なしに」
ジャンヌがあっさり言う。
「そんなのは当然だよね」
アレクが頷き
「まあ誰が出るか判らないけど、指導に身分差は必要ないだろう」
とオーウェン。
エカテリーナは嫌だったが、この雰囲気では何も言え無かった。
「エカテリーナも良いよな」
「はい」
アレクの言葉にうなずくしか無かった。
「アンケートでは歴史ものと恋愛ものが多かったので、出来たらそのあたりを入れて作ってくれとお願いしますね」
クリスが言う。
「まあ、良いんじゃないかな」
アレクが頷く。
「出演したいのか道具やりたいのか音楽したいのか皆さんにアンケートで聞いて出来る限り希望に沿うという事で進めたいと思うんですが」
クリスが再度提案する。
「それはいいけれど全体の流れはどうなっているの」
オーウェンが聞く。
「次のページに乗せています」
クリスが皆に言って
「2週間くらいで脚本のラフ作ってもらって、
翌週1週間で配役決めと同時に最終脚本にしてもらいます。
次の一週間でせりふ覚えで、残り一か月くらい練習と言う感じでどうかなと思うんですけど」
「まあ、そんな感じでいいと思うよ。細かいところは時々修正していけばいいんじゃないかな」
オーウェンは頷く。
「じゃあ、それで今日のホームルームで発表します。」
クリスはそう言うと視線を周りに向けた。
そしてクリスは遠くからこちらを見ているつぶらな瞳を見つけた。
エステラ・ハイドは朝クリスから言われたことを考えていた。
王族の演技指導なんか絶対に無理だ。
でも、あのジャンヌ様とお話しできた。
北方戦線の英雄、ジャンヌ。
彼女がいなかったら今頃王都マーレもノルディンの物になっていたかもしれない。
無敵の赤い死神の軍団と戦い、それを破った英雄。
その場面を何回夢見ただろう。
そして、このサマーパーティーではクリスが皇太子に婚約破棄された所にもさっそうと現れ、皇太子を蹴り倒していた。赤い死神を引き連れて。
その場面でジャンヌのその姿を見てエステラは恍惚とした。
歴史の真っただ中に自分はいるのだ。
そのジャンヌを使って演劇が出来る。
そんな機会は二度とこないだろう。
そもそも今までジャンヌが演劇に出たなんて聞いた事も無かった。
それもその赤い死神もクラスにいる。
その二人が遠くで一緒に食事している風景を見ながらエステラは食事もとらずにただ恍惚と見ていた。
いや頭の中には次々と二人を主人公にしてた物語が始まっていた。
エステラは食事なんてそっちのけで物思いにふけっていた。
そのぼうっと夢見ていたエステラの周りが突然騒がしくなった。
ハッと気づくと目の前にクリスの顔がアップであった。
「クリス様!」
驚いてこけそうになる。
「大丈夫?」
それを支えてくれたのはなんと赤い死神だった。
「ア、アレクサンドル殿下…・」
そしてクリスの横にはジャンヌとオーウェンがいてエカテリーナまでいた。
王族たちにエステラは囲まれていた。
「エステラさん。朝もお話ししたけれど、クラスの演出をお願いしたいの。
で、とりあえず、脚本を2週間くらいでいいから書いていただけないかしら。」
「えっでも…」
「今も夢見るようにお姉さまらを見ていたでしょう?
あなたの思うようにみんなをかいてほしいの。」
クリスが頼む。
「でも、そんな恐れ多い」
「脚本を書くのに自信が無いのか?」
ジャンヌが聞く。
「いえ、そんなことは。」
「よし、じゃあお前に任せた。」
ジャンヌが言い切る。
そして
「俺らが納得すれば他に文句言うやつはボフミエの王子くらいかな。
あいつは俺とオーウェンで納得させるから」
アレクが言う。
「という事で宜しく頼むよ」
オーウェンが言う。
「私をひどく書いたら許しませんわ」
エカテリーナが言うが、
「演劇性を伴っていたらどんなふうに書いてもいいさ。
やりたい役は自分で選べばいいし」
アレクが訂正する。
「じゃあ宜しくお願いするね」
オーウェンが言ってみんな教室に向かう。
「エステラよかったね。脚本書けて。高校の思い出に残る演劇を頼むよ」
スティーブが最後に言って去っていく。
エステラはまた、口をパクパクするしか出来なかった。
と言うかジャンヌ王女に頼むと言われたら断る選択肢は無かった。
ジャンヌ姫を主人公にして物語が書ける。それはエステラの夢でもあったのだ。
それがかなうかもしれない。
でも、何の実績も無い私が脚本書くなんてホームルームで通るんだろうか。
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