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第四章 王立高等学園

クリスは数学をクラスメイトに教える約束をしました

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2時間目の数学は何とか最後まで何もなく終わった。
というか、問題児のアレクとジャンヌが全く分からなかったというのがあるが。
二人は爆睡していた。
留学組も結構難しかったはずだ。
クリスはアルバートが青い顔をしているのが気になった。
そう言えば1か月もあったのに、アルバートの数学等の勉強は見ていなかった。

ミハイル家からの推薦とドラフォード王家からの推薦で無試験留学だったが、マーマレードの理系科目は科学立国なだけに結構難しいのだ。他国と比べても。
落第させるわけにはいかないから早速勉強を見なければいけないかなとクリスは思った。


そして、お昼になった。

イザベラはチャイムが鳴ると同時にオーウェンを捕まえてクリスの前に連れて行って一緒に食事をしようとした。

「オーウェン様」
教室を出ようとしたオーウェンを捕まえようとしたが、

「ごめん予定があって。」
慌ててオーウェンは逃げ出す。
オーウェンはいつもの条件反射で逃げ出したのだ。

「何逃げてんのよ。人がくっつけてやろうとしているのに」
イザベラは文句を言ったが、もうオーウェンは行った後だった。

「イザベラ様。食事に行きますか」
クリスと一緒に出てきたナタリーが言った。

「ええ、オーウェン様を捕まえようとして失敗しました」
イザベラがナタリーに結果を報告する。
朝何とかしようとガーネットと3人で確認したのに。

「イザベラ様。追うと殿方は逃げ出しますよ」
クリスが他人ごと宜しく言う。

「何言っているんですか。クリス様。
そんな悠長なこと言っているとノルディンのけばけば王女に取られてしまいますよ」
少し怒ってイザベラが言う。
えっイザベラが狙っているんじゃないの?
クリスはまだ状況の変化についていけなかったが、どうやらイザベラはオーウェン狙いを止めたらしい。

「そんなこと言われても、オーウェン様は皇太子殿下ですし、大国ノルディンの王女様の方が釣り合いますよ」
クリスは当然という顔で言う。
心の中は少し風が吹いていたが、実際に二人は釣り合っていると思っていた。
イザベラとナタリーは二人で見つめ合うとため息をついていた。

食堂ではオーウェンは相変わらず、エカテリーナに捕まっていた。
エカテリーナはべたべたくっついてくる。

並んでいるうち、オーウェンはクリスとイザベラらが一緒にいるのに気付いた。
イザヘラがオーウェンに向けて舌を出している。
イザベラには留学の事は黙っていたのに、気付いて追ってきたのかと思っていたのだが、何か違う。
そう言えばガーネットとも仲良くなったみたいだし、あいつらの目的はクリスの取り込み?

「あれ、あいつ俺の事考えてくれている?」
「何か言われました」
エカテリーナが聞く。

「いやなんでも無いです」
オーウェンは一度話してみようと思った。

結局クリスらは朝の流れで、主がオーウェンと二人になったので、うろうろしていたアリサ・リュークスらと3人と合流して一緒に食事することになった。

「でも、さすがマーマレードですわ。数学とか難しいです」
アリサが言う。
「そうさっぱりわかりませんでした」
ソフィア・サハロフ伯爵令嬢もお手上げと手を挙げる。
「イザベラ様たちは判りました?」
もう一人のアンナ・ゴトゥーノフ伯爵令嬢がドラフォードの二人に聞く。
「判るわけないでしょ」
イザベラも同調する。
確かに科学立国のマーマレードの数学とは他国とは一味も二味も違った。

「私なんか脳筋だからもっと判んなかったわ」
ナタリーも諦め顔で言う。

「何でしたら放課後、委員会の後で図書館で一緒に勉強しましょうか」
クリスが提案した。

「本当ですか。クリス様」
喜んでイザベラが言う。

「是非ともお願いします」
「このままでは落第してしまいます」
アリサたちが頼む。

「すいません。俺もお願いしたいんですけど」
後ろからアルバートが申し出た。
そしてその横には喜んだジャンヌとアレクもいた。
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