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第三章 王弟反逆

ホーエンガウ攻城戦3 クリスの降伏勧告

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「は? クリスが乗り込んできただと」
侍従長のダニエルの知らせに領地を任されたコールマンは驚いた。
ヘンリーの小さい時からヘンリー付になった老騎士だ。
ヘンリーが本来座る城主の席の前に椅子を置いてコールマンは座っていた。
周りにいる騎士も大半は老兵だった。

ヘンリーは老兵の大半を領地に置いて行っていた。

ヘンリーとしては領地は安全だと思っていたのだか、クリスがその領地に攻めてくるとは考えてもいなかったのだ。

しかし、普通大将自ら軍使として来るか?

「どういたしますか。にっくきミハイル家の娘ですが」
これも70代の老部下が聞く。

「しかし、軍使としてきたものを粗雑な扱いは出来かねますぞ」
侍従長のダニエルが言う。

「とりあえず、マルガリータ、ここまで案内してくれるか」
「承知いたしました。」
マルガリータは階下に降りる。

エイミー様を死に追いやったミハイル家の小娘がこの城に来るなど、それも攻撃軍の総大将として来るなど、マルガリータとしても許せなかった。

マルガリータは城門の外に出て、そのクリスが気難しいゴードンと談笑しているのを見て驚いた。

咳払いすると

「あっマルガリータさん。ご案内頂けるんですか」
いきなりクリスに名前を呼ばれたマルガリータは驚いた。

何故私の名前を知っている?
それは侍女長の名前は知っているかもしれないが、普通侍女長自ら迎えに来るかどうかは判らないではないか。それだけ威厳がついたのか。
でも、自分並みの年寄りはこの城には多くいるし、それだけではわからないのでは無いかと・・・

「あの、なぜ私の名前を」

「王宮の侍女長のコマリーさんからよくお伺いしました」

「まあ、あの子相変わらず厳しくやっているのかしら」
思わず話してしまった。コマリーは昔この城に来る前に王宮で面倒を見ていたひとりだった。
その頃はコマリーは侍女になりたてでいろいろやってくれていた。
今は王宮の侍女長だが。

「はい…、いえ、私が遅れた時とかよく厳しくご指導いただきました…」
クリスが気まずそうに言う。

「そうなんですね」
言ってから、この戦場で話す内容でないことに気づいた。

「失礼しました。クリス様。どうぞこちらに」
慌てて侍女の顔に戻る。

そのあとにクリスがそしてウィルとアルバート、ヨークの順に続く。

「本当に城内はきれいにしていらっしゃるんですね。」
丁寧に掃除された城内、飾りつけ花も所々に花瓶に生けられていた。

「ええ、ヘンリー殿下が喜んでいただけるので」
少し柔らかい顔でマルガリータが言う。

「王弟殿下は良いご領主様なんですね。」
クリスが言う。

「王宮では違いましたか」
皮肉を込めてマルガリータが言う。

「そんなことは無いと思いますけど、私には立場上、礼儀のなっていない小娘とよくしかられました」

「・・・・・」
礼儀のなっていない小娘ってそれエイミー様が良くエルフリーダ様に言われていたことで、
それを言うのは良くないだろうと機会があればヘンリーに注意をしようと思ったマルガリータであった。


「ミハイル様をお連れ致しました。」
扉を開けてマルガリータが報告する。

中央の椅子にコールマンが腰かけていた。

その横に老騎士たちが整列している。

「これはコールマン様。お会いできて光栄です。」
礼をしてクリスが話し出した。

「なぜ私がコールマンだと」

「コールマン様の事はジャルカ様からいろいろとお伺いしております」

「何、あのジャルカから」
嫌そうな顔をコールマンがする。
「どうせろくな話では無かろう」

「いいえ、昔一緒に寄宿舎から抜け出す時に、ジャルカ様だけ見つかって見捨てられて行かれた話とか…」

「それはあいつがドジなだけで・・・・」
言い訳しようとするコールマンを
「ウフォンウフォン」
隣でダニエルが咳払いをする。

思わず笑いそうになった面々だが、慌てて真面目な顔に戻る。

「お話をお伺いしよう」

「はい。本来ならば私のようなものが、
特に王弟殿下の母君であられるエイミー様の宿敵と思われるエルフリーダ様の遠い親戚である私のようなものがこの城を訪れるのは間違いかもしれませんが、お許しください。

ただ、私としてはエルフリーダ様は私の父の父のそのまた父の更に父の娘なだけなのです」
聞いたウィルの頭はパンクしそうになったが、アルバートは素直に、曽祖叔母と言えば良いのにと思ったが、

「まあ、ミハイル様はエルフリーダ様の親戚であるのは間違いない」
コールマンが言い切る。

「まあ、王弟殿下や皆様方にとってもエイミー様をいじめ抜いたにっくきエルフリーダ前王妃の親族とお思いでしょう。」
周りを見渡す。

皆一応に軽く頷いた。
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