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第二章 大国での失恋
ウィルとボリスは友達になる
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「良かったですね。ボリス様。皇太子殿下のお許しを得られて」
クリスはにこっと笑ってボリスを見る。
「あれで許していただいたんでしょうか。
ミハイル嬢は最後はジャンヌ王女殿下の事をお頼みされていたような気がしますが」
「何言ってるのボリス」
「ウィル、ボリス王子殿下です。言葉づかいに気をつけなさい」
今まで成り行きを呆然と眺めていてたシャーロットが慌ててウィルを注意する。
隣国の赤い死神と言われた皇太子があんなに優雅でそれも丸かったなんて、シャーロットは知らなかった。
それもジャンヌ達に本当に溶け込んでいた。
「えっ、良いよね。ボリス。お互いに被害者同志だし、年同じだし、友達だし」
「はい。ウィルが良ければ。
まあ、王子と言えども第14王子ですし、母上は平民の侍女でしたから。
そもそもノルディンは武力第一主義で軟弱な私は雑用扱いですから。」
「そんな、12歳で従軍されていたのでしょう。
皇帝陛下のご期待もお強いのでは。
今も王立学園にご留学中ですし。将来を嘱望されていらっしゃるのでは」
シャーロットが話す。
「それはあり得ないですけれどね。
皇帝陛下がどのようなお考えかは判りませんが、兄上にとって私は完全に使いっ走りです。
今回もパーティで食事していたらいきなり電話してきて、
どんなことをしてもドラフォード皇太子殿下とミハイル嬢が仲良くなるのを阻止しろでしたから。
あっ今の忘れてください。余計な事を」
慌ててボリスは口をつぐむ。
「いや、それは判っているよ。」
ウィルが言う。
「だからオーウェン殿下にワインかけようとしたんだろ。
そこに言った本人が転移してきたから頭からかかっていたけど、本当に笑えるよね。」
ウィルは笑った。
「君笑うけどね。やった僕にしてみたら冷や汗ものだったよ。
命がやばいと思って慌てて逃げ出したけど」
「で、姉様にとりなしを頼みに来たと。」
「うーん、アレク兄さま、何故かミハイル嬢に弱いんだよね」
「そうだよな。昔お会いした時に、何故か殿下話している途中でどもるから、
戦場以外では上がり症なのかなと不思議だったんだ」
「あの傲岸不遜な兄上がそんなことありえないよ。他国の国王でも下手したら顎で使っているよ」
アレクが聞けば激怒しそうな不敬な事を平気でボリスは言っていた。
「普通そうだよな。おれもそうかなと思っていたんだけど、
北方の王女殿下のところにこの春からいるけど、毎日のように殿下のところに来て、
好きだって口説いていくんだ。
元々の印象と全然違ってこれは誰って感じだったけど。」
「それも別格。ジャンヌ王女だけだよ
何しろ兄上と戦場でまともにやりあったのは王女殿下だけだから。
そこは気に入っているんじゃないかな。」
「へえ、お姉さまは本当に愛されていらっしゃるんですね」
夢見るようにクリスが言う。
「じゃあ、姉様の前では何なの。あの態度。なんかおかしいよね」
ウィルが不審がる。
「まさか、クリスの事も気があるとか。」
シャーロットとしては母としてそこのところが気になる。
「まさか母上、あれはそういうのではなくて」
「なんか恐れていますよね」
ボリスが言う。
「まさか。皇太子殿下が私の事を恐れられるなんてことあるわけないでしょ」
クリスがありえないという顔でいう。
「まあ、姉様がそう思われるならそうだと思いますけど。なあ」
「ええ」
ウィルとボリスは目を合わせた。
二人は絶対にアレクは最低でもクリスの事は苦手にはしていると思っていた。
その日の夜、シャーロットは夫であるエルンスト・ミハイルと魔導電話で話していた。
「あなた。そちらはどうですか?」
「なかなか、忙しいよ。
今日もこれからまた会議だ。」
「もう20時に近いじゃありませんか。」
「今回の騒ぎの後始末がなかなか大変でな。クリスは元気になったか。」
「そうですね。たまにふさぎ込んでいますけど、大分ましになってきました。」
「皆の処罰の事は知らせたのか」
「いえ、まだ全く言っていませんわ。
いずれは知れると思いますけど」
「またふさぎ込むかもしれんな。いっそのこと、
ドラフォードにでも外遊してきたらどうだ。
うちの船が5日後に南部の港ゴーマレーから出る」
「しかし、宜しいのですか?
ドラフォードからは国王陛下に正式に婚姻の申し込みが来たと聞きましたが」
「それは全く良くない。父親としてはクリスは嫁に出したくない」
エルンスト・ミハイル侯爵は嫌そうな顔をした。
クリスの父としては娘はいつまでも嫁にはやりたくない。
特に婚約破棄なんかされた日には。
この婚約も王家から無理やり頼まれたから仕方なしに認めたのだ。
でなかったら認めていない。
それをあのボケ皇太子が…・いまだに思い出すと怒りがこみあげてくるエルンストだった。
「しかし、王弟殿下の動きが怪しい。
何か企んでいる可能性もある。」
「何かって、口に言えないようなことはしないでしょう」
「そうだと良いんだが、何を考えているのか。
王弟殿下からクリスを後妻にという申し込みまで来たしな」
「それはお伺いしましたが、王弟殿下は何を考えておられるのか」
「本当に。私は怒りの余り破り割いたよ」
「そんなことがまかり通るなら、クリスはドラフォードに嫁に出します。
オーウェン殿下は婚約破棄の時もクリスをかばって頂いたとか。」
「ああ、そう聞いた」
「婚約破棄されたところだから、今すぐは無理だと思うが、少し外の空気を吸ってきたらどうだ。
気分転換に。」
「まあ、本人はキャロル様のお誘いの時は行ってもいいみたいなことは言ってましたから。
でも、本当に宜しいんですか。
ドラフォードの王妃様は強引ですよ。
訪問したら、世間的にもドラフォードへの嫁入りが決まりみたいな事になりませんか?」
「うーん、そこは問題なんだが。
良くはないが、そこが一番条件的には良いような気がする。
幼馴染だし、母親同士も親しい。
移動は10日もあれば行けるし。
大国皇太子。今までの王妃教育も生かせる」
「しかし、ドラフォードにはドラフォードのしきたりがありますよ。
大国なだけにいろんなしがらみもあるのではないですか?」
「それもまとめて見てきてくれ」
「判りました。そこまで言われるなら、あしたクリスに聞いてみます。」
クリスはにこっと笑ってボリスを見る。
「あれで許していただいたんでしょうか。
ミハイル嬢は最後はジャンヌ王女殿下の事をお頼みされていたような気がしますが」
「何言ってるのボリス」
「ウィル、ボリス王子殿下です。言葉づかいに気をつけなさい」
今まで成り行きを呆然と眺めていてたシャーロットが慌ててウィルを注意する。
隣国の赤い死神と言われた皇太子があんなに優雅でそれも丸かったなんて、シャーロットは知らなかった。
それもジャンヌ達に本当に溶け込んでいた。
「えっ、良いよね。ボリス。お互いに被害者同志だし、年同じだし、友達だし」
「はい。ウィルが良ければ。
まあ、王子と言えども第14王子ですし、母上は平民の侍女でしたから。
そもそもノルディンは武力第一主義で軟弱な私は雑用扱いですから。」
「そんな、12歳で従軍されていたのでしょう。
皇帝陛下のご期待もお強いのでは。
今も王立学園にご留学中ですし。将来を嘱望されていらっしゃるのでは」
シャーロットが話す。
「それはあり得ないですけれどね。
皇帝陛下がどのようなお考えかは判りませんが、兄上にとって私は完全に使いっ走りです。
今回もパーティで食事していたらいきなり電話してきて、
どんなことをしてもドラフォード皇太子殿下とミハイル嬢が仲良くなるのを阻止しろでしたから。
あっ今の忘れてください。余計な事を」
慌ててボリスは口をつぐむ。
「いや、それは判っているよ。」
ウィルが言う。
「だからオーウェン殿下にワインかけようとしたんだろ。
そこに言った本人が転移してきたから頭からかかっていたけど、本当に笑えるよね。」
ウィルは笑った。
「君笑うけどね。やった僕にしてみたら冷や汗ものだったよ。
命がやばいと思って慌てて逃げ出したけど」
「で、姉様にとりなしを頼みに来たと。」
「うーん、アレク兄さま、何故かミハイル嬢に弱いんだよね」
「そうだよな。昔お会いした時に、何故か殿下話している途中でどもるから、
戦場以外では上がり症なのかなと不思議だったんだ」
「あの傲岸不遜な兄上がそんなことありえないよ。他国の国王でも下手したら顎で使っているよ」
アレクが聞けば激怒しそうな不敬な事を平気でボリスは言っていた。
「普通そうだよな。おれもそうかなと思っていたんだけど、
北方の王女殿下のところにこの春からいるけど、毎日のように殿下のところに来て、
好きだって口説いていくんだ。
元々の印象と全然違ってこれは誰って感じだったけど。」
「それも別格。ジャンヌ王女だけだよ
何しろ兄上と戦場でまともにやりあったのは王女殿下だけだから。
そこは気に入っているんじゃないかな。」
「へえ、お姉さまは本当に愛されていらっしゃるんですね」
夢見るようにクリスが言う。
「じゃあ、姉様の前では何なの。あの態度。なんかおかしいよね」
ウィルが不審がる。
「まさか、クリスの事も気があるとか。」
シャーロットとしては母としてそこのところが気になる。
「まさか母上、あれはそういうのではなくて」
「なんか恐れていますよね」
ボリスが言う。
「まさか。皇太子殿下が私の事を恐れられるなんてことあるわけないでしょ」
クリスがありえないという顔でいう。
「まあ、姉様がそう思われるならそうだと思いますけど。なあ」
「ええ」
ウィルとボリスは目を合わせた。
二人は絶対にアレクは最低でもクリスの事は苦手にはしていると思っていた。
その日の夜、シャーロットは夫であるエルンスト・ミハイルと魔導電話で話していた。
「あなた。そちらはどうですか?」
「なかなか、忙しいよ。
今日もこれからまた会議だ。」
「もう20時に近いじゃありませんか。」
「今回の騒ぎの後始末がなかなか大変でな。クリスは元気になったか。」
「そうですね。たまにふさぎ込んでいますけど、大分ましになってきました。」
「皆の処罰の事は知らせたのか」
「いえ、まだ全く言っていませんわ。
いずれは知れると思いますけど」
「またふさぎ込むかもしれんな。いっそのこと、
ドラフォードにでも外遊してきたらどうだ。
うちの船が5日後に南部の港ゴーマレーから出る」
「しかし、宜しいのですか?
ドラフォードからは国王陛下に正式に婚姻の申し込みが来たと聞きましたが」
「それは全く良くない。父親としてはクリスは嫁に出したくない」
エルンスト・ミハイル侯爵は嫌そうな顔をした。
クリスの父としては娘はいつまでも嫁にはやりたくない。
特に婚約破棄なんかされた日には。
この婚約も王家から無理やり頼まれたから仕方なしに認めたのだ。
でなかったら認めていない。
それをあのボケ皇太子が…・いまだに思い出すと怒りがこみあげてくるエルンストだった。
「しかし、王弟殿下の動きが怪しい。
何か企んでいる可能性もある。」
「何かって、口に言えないようなことはしないでしょう」
「そうだと良いんだが、何を考えているのか。
王弟殿下からクリスを後妻にという申し込みまで来たしな」
「それはお伺いしましたが、王弟殿下は何を考えておられるのか」
「本当に。私は怒りの余り破り割いたよ」
「そんなことがまかり通るなら、クリスはドラフォードに嫁に出します。
オーウェン殿下は婚約破棄の時もクリスをかばって頂いたとか。」
「ああ、そう聞いた」
「婚約破棄されたところだから、今すぐは無理だと思うが、少し外の空気を吸ってきたらどうだ。
気分転換に。」
「まあ、本人はキャロル様のお誘いの時は行ってもいいみたいなことは言ってましたから。
でも、本当に宜しいんですか。
ドラフォードの王妃様は強引ですよ。
訪問したら、世間的にもドラフォードへの嫁入りが決まりみたいな事になりませんか?」
「うーん、そこは問題なんだが。
良くはないが、そこが一番条件的には良いような気がする。
幼馴染だし、母親同士も親しい。
移動は10日もあれば行けるし。
大国皇太子。今までの王妃教育も生かせる」
「しかし、ドラフォードにはドラフォードのしきたりがありますよ。
大国なだけにいろんなしがらみもあるのではないですか?」
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