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第二章 大国での失恋

ボリス視点 兄上は恐ろしい

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今から3年前、僕ボリスはノルディン帝国の王子として属国フィーレにいた。

僕はまだ、12歳だったが、1個中隊を率いさせられた。
皇帝は何としてでも緑豊かなその南方のマーマレード王国を急襲占拠しようとしていた。
その行軍の途中で僕はお姫様を見つけた。
自分と同じくらいの弟と逃げようとしていた。
でも、もう弟の体力は尽きようとしていた。
兵士たちがお姫様に襲い掛かろうとしていた。

僕はプッツンきれた。

例え自軍の兵士であろうと狼藉は許さない。
兵士数人を始末した後、気絶したお姫様を起こそうとしてアルコールを少し口に含ませた。

その時の恐怖は今も忘れられない。
僕の真後ろに鬼よりも恐ろしいアレクお兄様が立っていた。
たたっ切られると覚悟した。

その僕の前で気付いてニコって笑ってくれた少女は天使みたいだった。

でも、後ろには悪魔のお兄様がいる。

もう絶対絶命だ。

でも、最後に少女を助けて死のう。僕は覚悟を決めた。

しかし、少女が大丈夫と言うように微笑んで立ち上がってお兄様の方に歩いていくではないか。

少女は切られると思ったが、震えて何もできなかった。



でも、少女がお兄様に少し話しても何もされなかった。

少女は弟を抱いて転移していった。

お兄様をよく見ると呆然としていた。

いや、何故か震えていた。

おかしい。

鬼を見ても平然と笑っていると思われるお兄様が。
怒りで震えているのではなくて
恐怖で震えているなんて。

「お兄様。」

「ボリス。ここで見たことは他言無用。
言えば殺す」

僕はかくかく震えて頷くしかなかった。

そのあと何故かお兄様は戦の先方を外されて後方にいた。

その軍を暴風王女の一隊が襲い掛かった。

でもさすがにお兄様の部隊。
一歩も引けを取らない。
しかし、そこに血まみれになった鎧を来た者が来ると

お兄様は全軍になりふり構わず、逃げろ

というと真っ先に逃げ出した。

僕は信じられなかった。

僕はあっさり捕まってしまった。
でも、あとの待遇は何故かよかった。
あの助けた少女とその弟が来てくれて停戦協定の時に国に返された。
2年間は北極行きで苦労したけど、やっとその兵役も解けて、好きな研究に精を出せると研究熱心で魔導電話も発明したとして有名なマーマレード王国の王立学園にこの4月に入った。

勉学は楽しくてあっという間に1学期は過ぎた。
同じ学園にいるのにあの少女に会う事はほとんどなかった。

僕は理系にいて研究に忙しかったし、彼女は王妃教育で大変みたいだった。

でも、そのサマーパーティで見た姿はまさに青い女神様だった。
戦場で見た時もきれいな子だと思ったけど、更にきれいになっていた。
でも、最初に踊ったのはエドワード皇太子ではなくて、前に一緒にいた弟だった。

次が隣国の超大国ドラフォードの皇太子だったのには驚いた。

少女は学年は2つも上だし、自分は母親が平民出の第14王子なので踊ることも出来ないだろうと、諦めて食べていたら、悪魔のお兄様からの電話だった。

何故か剣を交えた暴風王女と仲良くしているみたいだったが。
言われたのが鬼畜な事だ。
女神さまとドラフォードの皇太子の仲を引き裂けなんて。
どのみち女神さまにはこの国の皇太子がついているから関係ないと思っていたら
いきなり婚約破棄だなんて。

我が国のお兄様も鬼畜だが、この国の皇太子はもっと鬼畜だ。
女神さまに鬼畜皇太子が手を上げるなら一矢報いようと前に出ると、弟が守っていた。
流石12の時から戦場にいるだけはある。

彼は近衛なんて歯牙にもかけていなかった。

でも、そこにドラフォードの皇太子がしゃしゃり出てこの国の皇太子を糾弾。

そうだ、もっと言えと応援していたら
いきなり女神さまの方を見て、求婚しようとした。

えええ!婚約破棄されたばかりの姫君に今言う?

その常識知らずの行動力にも驚いたが、少し嫉妬心もあったのだと思う。

鬼畜お兄様にどんなことがあっても邪魔しろと言われていたし。

もう何とでもなれって、ワインをぶっかけたら何故か目の前にその鬼畜なお兄様が転移してきていた。

えええええ!やばい。下手したら殺される。

絶対に言い訳聞く耳持たないと思う。

女神さまが皇太子に鉄拳制裁している間に、何とか逃げ出した。
北極送りだけは絶対に嫌だ。
でも、この国には知り合いも少ないし、途方にくれた。

知っている人と言えば学園の友達だが、鬼畜のお兄様が来たら迷惑をかけてしまう。

お兄様に対抗できるのはこの国の暴風王女と女神さまだけだ。

そう女神様に助けてもらうしかないと、隠れながらなんとかやってきた。

でも、入り口で会いたいと言っても通してくれない。
もうふらふらで何とか転移で庭に入ると拘束されてしまった…・

そうだ、まずい。

慌てて跳び起きたら目の前に心配そうな女神さまがいた。
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