魔法学園のケンカップル

ぺきぺき

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17 可愛すぎる彼女、愛が深まって迎える卒業

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(本編前に本話の前半でレグルスが初めてのエッチを冒頭から具体的に回想していることをお伝えしておきます。苦手な方は読まないでください。)

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翌朝、レグルスが目覚めると、腕の中でキャサリンが寝ていた。朝もまだ早い時間なので、キャサリンはまだぐっすり眠っていた。ちなみにお互いに何も着ていない。


キャサリンは今までに聞いたことのない可愛い声をあげて、ずっとレグルスを感じていた。胸の飾りを指先でくりくりといじれば、信じられないような色っぽい声を出す。

『そんな声、今まで一度も聞いたことねーぞ、キティ。』

『うううう、うるさい!』

耳元でキティと呼ばれるのに弱いことにはすぐに気づいて、散々呼んだ。『昔みたいにキャロバートって呼べばいいのに!』と苦し紛れに抵抗していた。いつもなら、うるせー!ぐらい言いたくなるが可愛い抵抗に笑みが深まっただけだった。
それを見たキャサリンがさらに驚愕していたが。


部屋を暗くしたいキャサリンと明るいままがいいレグルスは大いにもめた。

『いや!絶対に暗くしてくれないとこれ以上脱がないから!』

キャサリンは落ちかけのネグリジェを引き上げて丸見えだった胸を隠した。

『もうしっかり見た後だぞ?』

『前はね!でも後ろは絶対にダメ!』

『背中の何がダメなんだ?』

『………ニキビがあるから。』

涙目になってネグリジェを握りしめるキャサリンにレグルスが折れた。ちなみに今日のために背中を集中ケアしてきたキャサリンのニキビはレグルスからすれば大したことがなかった。レグルスは部屋が暗くても夜目が効く。
キャサリンにレグルスの顔がちゃんと見えるだろうぐらいに部屋を暗くして、『じゃあ脱げよ?』とネグリジェをするすると脱がした。

『………なんかレグ、いつもと違う。』

『何がだよ?』

『いつももっと喧嘩口調じゃない!それにもっと余裕がないのに!』

『お、俺だってやる時はやるんだよ!!』


余裕がありそうに見えるかもしれないが、レグルスも大変に興奮していた。敏感な場所に触れる内にぐずぐずになっていく様子が可愛すぎて、胸や彼女の大事なところを触りながら散々に舌を絡めてキスをした。
キャサリンが抵抗の気力もなくなった頃には大事なところを舐めもした。キャサリンはしばらく硬直した後、頭をバシバシ叩いてきたが、やがてレグルスの髪を優しくつかんで可愛くあえぐだけで何も言えなくなった。やがて彼の髪をびくびくしながら思い切り引っ張った後にぐったりとしてしまった。

…髪が数本犠牲になったが、とびきりに可愛い姿を見れたのでよしとしよう。


さすがに、最初から興奮していたきちんと獣人サイズの自分の息子をキャサリンに、となると媚薬の効果があっても痛かったようだった。

『もっと媚薬飲んでおく?』

『これ以上なんて絶対に無理!!!!』

キャサリンの中は少し入れただけで信じられないほど気持ちよくて、父が匂い玉をかみ砕かれるまでにハッスルしてしまった理由がよくわかった。幸いにもレグルスは匂い玉をかみ砕かれる事態にはならずに朝を迎えることができた。
おそらく媚薬のおかげだろう。レグルスの息子がすっかり埋まった後のキャサリンはそれまでの照れ隠しもなくなり、ひたすら可愛い声で『ちゅーして』とお願いしてきた。…普段、そういうおねだりはしてくれないので大変興奮した。

キャサリンと素肌で密着するのがたまらなくて、行為の後も疲れ切ったキャサリンをしっかりと抱きしめると、極め付きに眠そうなキャサリンに、『レグ、大好き』と言われて悶絶した。これもあまり言ってくれないから。…自分のことは棚にあげて、と責めるのはなしだ。

彼女は悶絶するレグルスを残して腕の中で夢の世界へと旅立ってしまっていたが。


「ああ、マジで幸せ。」

眠るキャサリンをしっかりと腕に抱き込んで、昨日の回想を終えたレグルスは満たされた気持ちでまどろんでいた。


キャサリンは目覚めると始めはぼんやりしていたが、やがて覚醒して声にはならない悲鳴をあげた。

「大丈夫か!?どこか痛いのか!?」

まさか怪我を!?と腕の中からキャサリンを解放し、肘をついて体をおこしたが、本人は「なんでもないの!驚いただけ!」と言って耳まで真っ赤になった顔を隠している。

「だったらいいけど…。」

「早く服着て!目の毒!」

「は?」

どうやら明るいところで見たレグルスの胸板に照れていたらしい。レグルスは落ちている寝間着を着ながら、良いこと聞いたなと独り言ちた。



ー---




三泊四日の旅行を二人は十分に楽しんだ。キャサリンが回復した二日目の午後は、彼女のお店巡りに付き合わされた。定番の土産物屋さんや地元の人しか知らないような店を巡り、くたくたになって帰ってその日はただくっついて眠った。
三日目は美しいマリア湖でピクニックをして、午後からは別荘でひたすらキャサリンを愛でた。「ニキビがあるから嫌!」「一昨日もう見ただろ!?」「この前は暗かった!」「泡風呂にすれば問題ない!!」とキャサリンをなだめすかして一緒にお風呂に入り、すみずみまで洗いあってキャサリンがのぼせた後は、ずっと膝枕をしてやった。
二日目以降はあのネグリジェではなく、普段着のルームウェアを着ているキャサリンも、それはそれで可愛かった。一緒に暮らせば毎日この姿を見れるのだ。

最後の夜はもちろん愛し合った。おさまりがつかなくて四日目の朝もイチャついてしまい、出発が遅れたが許してほしい。だって、キャサリンはイースターが終わるとプログラムでロマーノに行ってしまうのだから。


疲れ切ったキャサリンは帰りの車で爆睡していた。



「楽しんでもらえたのならよかったわ!」

別荘を貸してくれた冒険者協会の支部長はニコニコしながら別荘の鍵を受け取って言った。その場にはレグルスに研修をしてくれている現在Dランク冒険者のジョン・メイスターもいた。
覚えている人は少ないかもしれないが、彼はレグルスが二年生の時にキャサリンとの仲を疑った冒険クラブの先輩である。卒業後は冒険者になり、こうして活動している。

「今年のイースターはあの別荘、レグルスがキャサリンと行ったんだね。僕も見習いの頃に彼女と行ったよ。」

「なるべく若い子に貸してるの。ほら、とっても可愛らしい家だし、若い子たちは恋人との時間にあまりお金もかけられないでしょ?」

「正直、当時は助かりました。」

ちなみにジョンは卒業三年目、一人前になって二年目だが、まだDランクだ。曰く、『一年でCランクまで上がるのはSランクになった冒険者たちばかりだぞ!?』とのこと。

「もっといいところに連れて行けるようにバリバリ稼ぎます。」

「じゃあ、見習研修を頑張って、早く一人前にならないとね。」

「いや、もう、こいつかなり優秀ですよ。研修も卒業前に終わるんじゃないかな…。」

ジョンの予言通り、レグルスは卒業前に全ての見習い研修を終え、一人前になった。



ー---



「魔法学園を卒業って感慨深いわね。」

卒業式を終えたレグルスは友人たちと一緒に校舎を歩いていた。この後、卒業生たちは各々のタイミングで寮から荷物を運び出し、魔法学園から巣立っていく。
レグルスの隣を手をつないで歩くのはもちろんキャサリンだ。無事にロマーノの一流大学への入学が決まったキャサリンはこの後、入学準備で忙しい。最初の一年は大学の学生寮に入ることにしたので、物件探し手間はないはずなのだが、それでも何かと忙しいのだ。

無事に見習い研修を終えてEランクの冒険者になったレグルスにももう学生のような夏休みはない。Eランクには月当たりの必要任務数が課せられている。さらに一年でCランクになることを目指しているレグルスはさらにせっせと働く必要がある。


「キャサリンもレグルスもヨークも、全然魔法学園にいないからつまらなかったわ。」

前をブルックと並んで歩いていたマーリンはこちらを振り返ってにやりとする。マーリンは魔法騎士団への就職が決まっている。

「レグルスったら、しばらく仕事が忙しくて、キャサリンと卒業旅行に行けないなんて、可哀そうに。」

「早くCランクにならないといけないからいいんだよ。キャサリンも忙しいし。」

「一人暮らしを始めたからってお家ばっかりで済ませるのは良くないと思うわよ。」

そう、レグルスは一人暮らしを始めた。場所は冒険者協会にほど近いアパートメントだ。駆け出しの冒険者には格安で部屋を貸してくれる。不規則な生活になるし、依頼を家に持ち帰ることもあるので、思い切って一人暮らしをすることにしたのだ。
そして、既に何度か泊りに来ているキャサリンの私物がもう部屋にある。


「結局、最初から最後まで、レグルスはぶれなかったな。」

「ずっとロバートが好きなままだったね。」

そうしみじみと言うのは後ろを歩いていたヨークとウルだ。

「学園中の女の子が『何でなの!?』ってわめいてたよ。特によく二人を知らない下級生の獣人女子が。」

それを聞いてキャサリンが嫌なことを思い出してしまい、顔をしかめる。

「そういえば、『私はレグルス先輩とお泊りデートしたんです!』て主張する女子に会ったけど、あの子はなんだったの?」

「ああ、マーシー・バーニーだろう?兎族の。ロバートがばっさり正論をぶつけた後もしばらくあのくだらない嘘を吹聴して、その上『ロバート先輩にいじめられた!』なんて喚いていたんだけど…。」

キャサリンもレグルスもその話をヨークにはしていない。相変わらず、すごい情報網だ。

「その話はもういいじゃないか!」

レグルスが慌てて遮ろうとするが、キャサリンが胡乱な目でレグルスを見た後に「続けて」とヨークを急かす。


「あれ、聞いてなかったのか?レグルスが『俺のキティを侮辱したのはお前か!』って下級生のところに乗り込んで、嘘だったことをみんなの前で証言させたんだよ。完全に立場をなくしてたよ、彼女。」

キャサリンが目を瞠る。レグルスは明後日の方向を向いて目を逸らした。

「…ちょっと可哀そう。」

「は!?自業自得だろう!?俺たちをよく知らない後輩にまで噂が広まりかけてたんだぞ!?」

「でも、私たちほとんど学園にいなかったし、害がないなら放っておけばよかったんじゃない?」

「お前、こういうの大嫌いじゃないか!なんで擁護するんだよ!?」

「だ、だって……、多分その子、レグルスのことすごい好きだったんだろうし…。」

いつもの自分らしくない主張であることはわかっているのか、キャサリンは覇気がない。


「ついにキャサリンも恋する乙女の気持ちを慮るようになったのね。」

「大きな成長ね。レグルスに感謝。」

「私がヨークの好きなところを語っている時につまらなそうな顔し続けたのはまだ許さないけど。」


実は先の一件以来、レグルス先輩は怖い、という噂が四年生を中心に回っていたのだが、仲良く手をつないで歩くレグルスとキャサリンのラブラブな様子に、それも仕方がない、というものに変わって行くのだが、卒業した二人の耳にはもう入ってこない話だった。


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