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7 永遠姫とはじめての喧嘩
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残暑払い特別編を書きました笑。夏は関係ないですが、楽しんでもらえれば。
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誰よりも強い当主と誰よりも賢い奥方に支えられ、帝の覚えもめでたい九条家には八歳になる大切なお姫様がいた。同い年の少年と今日も仲良く手習いをしていた。
お姫様の名前は永遠。友人の誠二からはちょっとクレイジーだと思われている女の子である。
「えー、父上と母上の名前、難しいね!」
すっかり漢字で書けるものが増えた永遠は、今日は大好きな両親を喜ばせようと二人の名前を書く練習をしていた。もちろん隣にはお揃いのスモックを着た少年、誠二が大人しく、そして永遠よりもかなり上手に、九条家当主夫妻の名前を書いていた。
「こっちとこっちだったらどっちが上手かな?」
「どちらも(昔に比べれば)お上手ですよ。」
女中たちには、永遠の選んだ二つの書の違いはわからない。
「せーじは?書けた?」
「うん。」
「見せて!」
「だめ。」
誠二は何枚もの書の中から特に綺麗なものを選び分けていく。永遠は席を立って誠二の作品が並べてある側に回り込もうとする。それを誠二がブロックする。
「だめ。最初に奥様に見せるから。」
「えー、永遠も見たいよ!」
「後で。」
「見たい!」
二人は決着のつかない言い争いをしながら八歳らしくもみ合った。特筆すべきは、永遠がまだ手習いの時に手を汚すということだ。今日は大好きな両親の名前を書くということで盛り上がった永遠はいつも以上に手を汚していた。
「見、せ、てっ!!」
飛びついた永遠の勢いに押されて、誠二がよろめく。よろめいた誠二には支えられず、永遠も倒れこむ。
「「あ……。」」
誠二渾身の書の上に永遠は手をついていた。綺麗に伸ばされていた紙にはしわが寄り、恐る恐る手を持ち上げてみるとそこには……。
ご想像の通り、永遠の手形に墨がついていた。
「あ…、あ…、せ、せーじ、ご…、ごめ……。」
汚れてしまった書を見て、誠二はわなわなと震えている。永遠はその背を前におろおろとしている。
「せ、せーじ、ごめ…、ごめん……。」
「……きらい。」
「え?」
「とわ、きらい。」
誠二の目にうるうると涙がたまっているが、我慢強い誠二は流さないように口をへの字に曲げている。
一方、永遠の目からは一気に涙があふれた。
「ご、ごべんなざい!せーじ、ごべんなざい!どわのごど、ぎらいにならないでぇぇぇ!」
永遠は誠二にびたっと抱き着くと、屋敷中に響くほどの大声で泣き喚いた。
「ごべっ…!ごべっ…!ううぅぅぅぅぅっ…!」
響き渡る鳴き声が近くでお昼寝していた双子の赤ん坊を無理やり起こし、泣き声は三重奏となってさらに響き渡った。そうして出てくるのは、永遠の母である。
「永遠、泣き止みなさい。何があったのか説明しなさい。」
永遠は「うっぐ…。」とえづきながら泣き止もうとする。誠二は永遠が汚してしまった書を抱きしめてぷるぷるとしている。母は永遠の頭と誠二の頭をぽんぽんと撫でた。
誠二はそろそろと胸に抱えていた汚れた書を母に渡した。
「お、奥様に見せようと思っていたのに…、とわに…、姫様の手の汚れがついて…。」
「なるほど。」
「ごべんなざい…!」
泣き止みつつあった永遠の涙腺が再び崩壊する。
「うぐぐっうっ…!ぎらいになざないでぇぇ…!」
「永遠、泣いて許してもらおうとするな。」
「ぢ、ぢがう…!どばらない……!」
「誠二はどうしたい?」
母は誠二が上手に書いた自分の名前を優しい表情で眺めた。
「僕も姫様に『きらい』って言いました…。ごめんなさい…。」
二人で謝りあい、その場は一件落着かと思いきや、永遠はその日誠二にずっと抱き着いて『ごべんなさい!ぎらいにならないで!』と泣いていた。
誠二が帰宅するころには空まで永遠と一緒に涙を流すような雨模様だった。
====
視点は変わり、帰宅後の誠二は出迎えた母にあらまあとその姿を驚かれた。
「どうしたの?そのよれよれの着物は?」
「とわ…、姫様と喧嘩して…。」
母は永遠の性格もよくわかっている。永遠は仲のいい友人と喧嘩して、それをそのまま放っておくような女の子ではないのだ。
「それで?」
「泣きながら謝られて、そのまま離してくれなかった…。」
「あらあら。」
母は「着替えていらっしゃい」と言って誠二を部屋に送りだした。
泣き喚いて大変だった永遠の様子を思い出して、誠二はちょっと笑ってしまう。あんなに泣かれてしまっては怒り続けることも難しい。
そういえば、永遠の双子の弟たちも永遠の泣き声を聞くと泣くのをやめ、ついには永遠の前で泣かなくなってしまった。
誠二は自分の部屋に入るとてきぱきと着替えをした。誠二は自分のことはたいてい自分でできる。誠二の生家である高遠家にお金がないわけではない。一つ年上の兄である孝一は着替えを使用人や母に手伝ってもらっている。
誠二は自分やった方が速いと思うだけだ。
着替えを終えた誠二は、思いついて宝物のように部屋にしまっている一冊の本を取り出した。
それは、永遠の企画したクリスマスパーティーで誠二がもらったプレゼントの異国語の本だ。すべてのページに挿絵が入った、とても美しい本で、この本を異国語で読めるようになることが誠二の目標だ。
明日はこの本を持って行って、永遠と一緒に読もう。そして、『僕は永遠のこと大好きだよ』と言うのだ。
誠二が本をめくっていると、がらりと廊下側の戸が開いて兄の孝一が部屋にやってきた。
「おい、誠二。ご飯の時間だぞ。」
「兄上。」
「お前、また本読んでるのか?そんなんじゃ父上みたいな近衛兵になれないぞ?」
孝一は城で帝のために近衛兵の部隊長として働く父を尊敬し、体を鍛えるために轟流という流派の道場に週に三日ほど通い始めていた。
来年からは誠二も通うことになっている。
「ん?なんだよ、その本。」
「これは九条家の当主夫妻にいただいたものです。」
誠二は嬉しそうに本をめくって見せる。孝一は珍しく興味を抱いたのか少しひったくるように本を奪い取った。
「綺麗な本だな…!」
「あ、兄上!返してください!」
「ちょっとの間、俺に貸してくれよ。」
「ダメです…!明日九条邸に持っていくんです…!」
誠二は本を取り返そうと兄の手をつかむ。
「けち臭いこと言うなよ。明日じゃなくてもいいんだろ?」
体格のいい兄にはかなわない。本をつかんで引っ張ってもびくともしない。
「返してください!」
返せと言われると返したくなくなる困った性格の兄は誠二を振り切ろうと本をひったくり乱暴にページをめくる。
今日は誠二にとってとことんついてない日であった。
孝一の乱暴な手つきにびりっと本のページがやぶれた。
「ああ!!!!」
誠二の大きな声に孝一がびくりと手をとめた。
「な、なんだよ。」
「ページが破れてしまっています!兄上!やめてください!」
「これぐらいなんだよ、読めるだろう。」
「大切なものなんです!!」
誠二は孝一から本を奪い返そうと手を伸ばす。
「うるさいな!!」
孝一は誠二の手から逃れ、本を放り投げる。
勢いよく飛んでいく本は孝一が開け放ったふすまを越えて、廊下を越えて…。
雨降る外へと飛んで行った。
====
「え、せーじ、今日来ないの?」
誠二の家から届いたらしい手紙を読みながら母は頷いた。隣には珍しくお休みの父がいる。
「どうやら昨日雨に打たれて風邪を引いたらしい。」
「かぜ?お熱があるの…?」
「みたいだな。」
「…永遠に会いたくないのかな?」
母はなんとも言えない顔で永遠を見た。ただ母にもわからないことだっただけなのだが、永遠には手紙にそう書いているのを言えないでいるように見えた。父は少し苦笑して永遠を抱き上げてくれた。
「お見舞いに行こうか。」
「…永遠が行ったら嫌じゃないかな?」
「誠二はそんな厳しいやつじゃないって永遠もわかってるだろう?」
父は不安そうな永遠にウインクをした。
「心配ならお土産を持っていこう。誠二の好きなものをね。」
「うん!!」
永遠は女中頭の朝子に向かって、誠二の好きなものを羅列していく。
「せーじは甘いものが好きなんだよ!異国のケーキを持っていきたい!」
「体調が悪いのに重たいものは良くないですよ。」
「じゃあ果物にする!あと異国の本も持っていく!重たいからダメかな?」
「そういう重たいではありませんよ、姫様。」
騒ぐ永遠の横で母は困った顔をしている。
「私は今日仕事で付き添えないが…。」
「私が行くよ。」
「せっかくの休みだろう?」
「たまにはいいさ。それに高遠家なら問題ないだろう?」
永遠の知らないところで付き添いは父に決まった。
ーーーー
「九条将軍、それに永遠姫様、ようこそいらっしゃいました。」
出迎えてくれたのは誠二の母である時子だ。誠二とよく似た顔立ちでいつも笑顔の女性だ。しかし、今日はやや暗い顔をしていた。
「ときこおばさん、せーじの体調はどうですか?明日は九条家に来れますか?」
「こら、永遠。気が早いよ。二、三日はお休みかな。」
「あらあら。ありがとう。今朝は熱があったけれど、もう下がってきてるのよ。だけど、本人がとても…元気がなくてね。」
朝子がお土産の果物を差し出す間、永遠はしょんぼりしていた。
「どうしたの、永遠姫?」
「せーじが元気ないの、永遠のせいなの。昨日、せーじ、永遠のこと嫌いって言ってたから。」
「まあ…!でもそれは違うわ!実はね、誠二は昨日、長男の孝一と喧嘩してしまったの。そのせいなのよ。誠二は永遠姫のこと大好きなのよ。」
「…本当?」
「ええ。この後、会ってあげてくれる?」
「うん!」
切ってもらった果物と一緒に誠二の部屋に入ると布団の上で起き上がって誠二が待っていた。
「せーじ!」
「誠二、大丈夫かい?」
「旦那様、お見舞いに来ていただき、ありがとうございます。」
父は「私はすぐに出るよ」と言って本を枕元において時子とともに部屋を出て行った。部屋の隅には朝子が待機している。
「とわもお見舞いありがとう!」
「せーじ、今日は寝てていいんだよ!」
永遠は誠二の肩をぐっと押すと布団に寝かせる。「あ、果物食べる?」と寝ている誠二の口に突っ込もうとしたので慌てた朝子に止められた。
「今日はせーじの好きな異国の本を持って来たんだよ!永遠が読んであげる!」
永遠は異国の本を抱えて、挿絵が見えるように広げた。あっという間に持ってきた本を自国語で読み上げて手持無沙汰になってしまう。
「そうだ!せーじがクリスマスにもらった本も読んであげるよ!」
「あ…、それは…。」
誠二の顔が暗くなったが、そのことに永遠は気づかず、「どこにある?」と誠二の部屋をひっくり返す勢いで探し始めようとした。
「姫様!誠二様は体調が悪いので今日はここまでです!」
「そっか…。せーじ、早く元気になってね!」
「う、うん。」
永遠は朝子に手をひかれて部屋を出た。
「せーじ、思ったより元気だったね!」
「そうですね…。」
父は客間で時子とぼろぼろの本を前に話し込んでいた。
「父上?そのお本はどうしたの?」
「ああ、永遠。」
父は困ったような顔をしている。本は水の中に落としたものを乾かしたのか、ページがしわしわになり、広がっていた。泥の汚れみたいなものもある。
「誠二が元気のない原因だよ。クリスマスに私たちがプレゼントした本だ。」
「どうしたの?」
「誠二の兄の孝一がね、喧嘩中に外に向かって投げてしまったの。昨日は午後から雨がたくさん降ってたでしょう?しかも水たまりの上に落ちたものだから…。」
「そうなんだ…。」
そういえば永遠が誠二にあの本を読もうと言ったとき、浮かない顔をしていたかもしれない。
「もう一冊同じものを買ってあげることはできるが…、私たちからあげても誠二は気を使うだけだろうね。」
「そうね…。私たちが買ってもあの子は嬉しくないでしょうしね…。大好きな奥様たちからもらったのが嬉しかったんでしょうし…。」
父と時子は困ったようにため息をつきあっていたが、永遠は気づいていなかった。ぼろぼろになった本を見て、あれをもらったときに誠二がいかに喜んでいたかを思い出す。
…どうにかしなくては。
ーーーー
永遠は九条家に帰ると、女中にお願いして大量の半紙と絵具をだしてもらった。
「永遠、今度は何を始めるんだい?」
休暇中の父が熱心にお絵描きをする永遠の手元を覗き込む。
「誠二のお本を作り直してあげるんだよ!」
「え?」
さすがの父も永遠が何をしたいかわからないようだ。
「これがね、せーじのお本の最初だよ!」
そこには少し不格好ながらも青い瞳に白っぽい髪の女性が描かれていた。
「あー、永遠、誠二の本に書かれていた絵を覚えているのかい?」
「覚えてるよ!いっしょに何度も見たもん!」
「永遠は母上に似て頭がいいね。」
父は永遠の頭を優しくなでた。
「文字はどうするんだい?」
「…永遠、文字は覚えてない。」
「さすがにね。」
「だから母上の読み聞かせの内容で書く!」
「それは覚えているのか…。」
====
誠二は三日後に母から許可が下り、九条家へとやってきた。初日以来、永遠はお見舞いには来ておらず、会うのは久々だ。
今日は旦那様も奥様も仕事で不在らしく、朝子と永遠が迎えてくれた。珍しく誠二の叔父で旦那様の秘書をしている鳴海もそこにいた。永遠はなにやら分厚い紙束を抱えている。
「せーじに贈り物だよ!」
「贈り物…?」
永遠はちょっと不安げな顔で紙束を誠二に手渡した。表紙には『青いばらの巫女様のお話』と書かれていた。それは先日ぼろぼろになってしまった誠二の宝物のタイトルとして奥様が言っていたものである。
一枚めくると少し不格好ではあるが記憶にあるのによく似た女性の絵が描かれていた。その次も、その次も、記憶にある本の挿絵にそっくりなものが何枚も描かれていた。文字もたくさん書かれており、永遠が一生懸命に書いてくれたのがよくわかる。
「せーじの大事なお本の代わりになるように永遠が作ったんだよ!でもね、お本みたいに綺麗に書けなかったの…。もっと綺麗におぼえてるんだよ?でも綺麗に書けなかったの…。」
永遠はしょんぼりした様子で「ごめんね」と俯いている。
でも、誠二には十分嬉しかった。不格好でも永遠が一生懸命作ってくれたことが嬉しかった。誠二は前に永遠に『きらい』と言ってしまったのに、その後『すき』とは言えていないのに、永遠がここまでしてくれるのが嬉しかったのだ。
「せーじ?」
「ありがとう、とわ。うれしい。」
誠二は永遠お手製の本を抱えてめったに見せない満面の笑みになった。それを見て、永遠も嬉しそうに満面の笑みになる。
「永遠がお金もらえるようになったら本物のお本を買ってあげるからね!」
「いい。僕、これでいい。宝物にする。」
しかし、ふとそこで誠二は真顔になってしまった。
「でも、持って帰ったら兄上にまた水たまりに投げ捨てられるかも…。」
途端に誠二の顔が暗くなった。
「あー、誠二、旦那様に頼まれて誠二の部屋を私の部屋の隣に用意してもらったよ。そこに置いておくといい。」
鳴海はこのためにその場にいたらしい。
「本当ですか?」
「好きな時に泊まっていいとのことだ。もちろん義姉上の許可が出たら、な。」
====
永遠と誠二は今日も今日とて手習いをしていた。題材は先日”ごべんなざい”事件に発展した父と母の名前だ。
「せーじ、見て、書けたよ!」
「僕も書けた。」
永遠が誠二の手元を覗き込むと、そこには父の名前でも母の名前でもなく”永遠”と上手に書かれていた。
「これ、本のお礼にとわにあげる。」
「ありがとう!永遠もせいじの名前、書けるんだよ!」
「とわ、僕ね。」
「なあに?」
「僕、とわのことすきだよ。きらいって言ったのはうそだからね。」
少しもじもじしながらそう言う誠二に永遠は目をぱちぱちさせてから満面の笑みになった。
「永遠もせいじ大好き!」
ーーーー
「誠二は永遠の贈り物を喜んでくれたのかい?」
「はい。姫様には感謝しきれません。」
鳴海の安堵した表情に父と母は苦笑した。高遠家では長男の孝一が次男の誠二に全く謝ろうとしないために時子が鬼になった。
恐怖に負けた孝一は謝罪したが、恐怖に負けてのことだとは誠二にも明らかだ。我慢しがちな誠二が抱え込み、単純な性格の孝一はこれで解決したとけろりとしていた。
そこで誠二の緊急避難先として九条家に部屋を用意したのだ。
「育児って本当に難しいな。」
「奥様にとって難しいならば、完璧にできる人などこの世にいないのでしょうね…。」
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誰よりも強い当主と誰よりも賢い奥方に支えられ、帝の覚えもめでたい九条家には八歳になる大切なお姫様がいた。同い年の少年と今日も仲良く手習いをしていた。
お姫様の名前は永遠。友人の誠二からはちょっとクレイジーだと思われている女の子である。
「えー、父上と母上の名前、難しいね!」
すっかり漢字で書けるものが増えた永遠は、今日は大好きな両親を喜ばせようと二人の名前を書く練習をしていた。もちろん隣にはお揃いのスモックを着た少年、誠二が大人しく、そして永遠よりもかなり上手に、九条家当主夫妻の名前を書いていた。
「こっちとこっちだったらどっちが上手かな?」
「どちらも(昔に比べれば)お上手ですよ。」
女中たちには、永遠の選んだ二つの書の違いはわからない。
「せーじは?書けた?」
「うん。」
「見せて!」
「だめ。」
誠二は何枚もの書の中から特に綺麗なものを選び分けていく。永遠は席を立って誠二の作品が並べてある側に回り込もうとする。それを誠二がブロックする。
「だめ。最初に奥様に見せるから。」
「えー、永遠も見たいよ!」
「後で。」
「見たい!」
二人は決着のつかない言い争いをしながら八歳らしくもみ合った。特筆すべきは、永遠がまだ手習いの時に手を汚すということだ。今日は大好きな両親の名前を書くということで盛り上がった永遠はいつも以上に手を汚していた。
「見、せ、てっ!!」
飛びついた永遠の勢いに押されて、誠二がよろめく。よろめいた誠二には支えられず、永遠も倒れこむ。
「「あ……。」」
誠二渾身の書の上に永遠は手をついていた。綺麗に伸ばされていた紙にはしわが寄り、恐る恐る手を持ち上げてみるとそこには……。
ご想像の通り、永遠の手形に墨がついていた。
「あ…、あ…、せ、せーじ、ご…、ごめ……。」
汚れてしまった書を見て、誠二はわなわなと震えている。永遠はその背を前におろおろとしている。
「せ、せーじ、ごめ…、ごめん……。」
「……きらい。」
「え?」
「とわ、きらい。」
誠二の目にうるうると涙がたまっているが、我慢強い誠二は流さないように口をへの字に曲げている。
一方、永遠の目からは一気に涙があふれた。
「ご、ごべんなざい!せーじ、ごべんなざい!どわのごど、ぎらいにならないでぇぇぇ!」
永遠は誠二にびたっと抱き着くと、屋敷中に響くほどの大声で泣き喚いた。
「ごべっ…!ごべっ…!ううぅぅぅぅぅっ…!」
響き渡る鳴き声が近くでお昼寝していた双子の赤ん坊を無理やり起こし、泣き声は三重奏となってさらに響き渡った。そうして出てくるのは、永遠の母である。
「永遠、泣き止みなさい。何があったのか説明しなさい。」
永遠は「うっぐ…。」とえづきながら泣き止もうとする。誠二は永遠が汚してしまった書を抱きしめてぷるぷるとしている。母は永遠の頭と誠二の頭をぽんぽんと撫でた。
誠二はそろそろと胸に抱えていた汚れた書を母に渡した。
「お、奥様に見せようと思っていたのに…、とわに…、姫様の手の汚れがついて…。」
「なるほど。」
「ごべんなざい…!」
泣き止みつつあった永遠の涙腺が再び崩壊する。
「うぐぐっうっ…!ぎらいになざないでぇぇ…!」
「永遠、泣いて許してもらおうとするな。」
「ぢ、ぢがう…!どばらない……!」
「誠二はどうしたい?」
母は誠二が上手に書いた自分の名前を優しい表情で眺めた。
「僕も姫様に『きらい』って言いました…。ごめんなさい…。」
二人で謝りあい、その場は一件落着かと思いきや、永遠はその日誠二にずっと抱き着いて『ごべんなさい!ぎらいにならないで!』と泣いていた。
誠二が帰宅するころには空まで永遠と一緒に涙を流すような雨模様だった。
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視点は変わり、帰宅後の誠二は出迎えた母にあらまあとその姿を驚かれた。
「どうしたの?そのよれよれの着物は?」
「とわ…、姫様と喧嘩して…。」
母は永遠の性格もよくわかっている。永遠は仲のいい友人と喧嘩して、それをそのまま放っておくような女の子ではないのだ。
「それで?」
「泣きながら謝られて、そのまま離してくれなかった…。」
「あらあら。」
母は「着替えていらっしゃい」と言って誠二を部屋に送りだした。
泣き喚いて大変だった永遠の様子を思い出して、誠二はちょっと笑ってしまう。あんなに泣かれてしまっては怒り続けることも難しい。
そういえば、永遠の双子の弟たちも永遠の泣き声を聞くと泣くのをやめ、ついには永遠の前で泣かなくなってしまった。
誠二は自分の部屋に入るとてきぱきと着替えをした。誠二は自分のことはたいてい自分でできる。誠二の生家である高遠家にお金がないわけではない。一つ年上の兄である孝一は着替えを使用人や母に手伝ってもらっている。
誠二は自分やった方が速いと思うだけだ。
着替えを終えた誠二は、思いついて宝物のように部屋にしまっている一冊の本を取り出した。
それは、永遠の企画したクリスマスパーティーで誠二がもらったプレゼントの異国語の本だ。すべてのページに挿絵が入った、とても美しい本で、この本を異国語で読めるようになることが誠二の目標だ。
明日はこの本を持って行って、永遠と一緒に読もう。そして、『僕は永遠のこと大好きだよ』と言うのだ。
誠二が本をめくっていると、がらりと廊下側の戸が開いて兄の孝一が部屋にやってきた。
「おい、誠二。ご飯の時間だぞ。」
「兄上。」
「お前、また本読んでるのか?そんなんじゃ父上みたいな近衛兵になれないぞ?」
孝一は城で帝のために近衛兵の部隊長として働く父を尊敬し、体を鍛えるために轟流という流派の道場に週に三日ほど通い始めていた。
来年からは誠二も通うことになっている。
「ん?なんだよ、その本。」
「これは九条家の当主夫妻にいただいたものです。」
誠二は嬉しそうに本をめくって見せる。孝一は珍しく興味を抱いたのか少しひったくるように本を奪い取った。
「綺麗な本だな…!」
「あ、兄上!返してください!」
「ちょっとの間、俺に貸してくれよ。」
「ダメです…!明日九条邸に持っていくんです…!」
誠二は本を取り返そうと兄の手をつかむ。
「けち臭いこと言うなよ。明日じゃなくてもいいんだろ?」
体格のいい兄にはかなわない。本をつかんで引っ張ってもびくともしない。
「返してください!」
返せと言われると返したくなくなる困った性格の兄は誠二を振り切ろうと本をひったくり乱暴にページをめくる。
今日は誠二にとってとことんついてない日であった。
孝一の乱暴な手つきにびりっと本のページがやぶれた。
「ああ!!!!」
誠二の大きな声に孝一がびくりと手をとめた。
「な、なんだよ。」
「ページが破れてしまっています!兄上!やめてください!」
「これぐらいなんだよ、読めるだろう。」
「大切なものなんです!!」
誠二は孝一から本を奪い返そうと手を伸ばす。
「うるさいな!!」
孝一は誠二の手から逃れ、本を放り投げる。
勢いよく飛んでいく本は孝一が開け放ったふすまを越えて、廊下を越えて…。
雨降る外へと飛んで行った。
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「え、せーじ、今日来ないの?」
誠二の家から届いたらしい手紙を読みながら母は頷いた。隣には珍しくお休みの父がいる。
「どうやら昨日雨に打たれて風邪を引いたらしい。」
「かぜ?お熱があるの…?」
「みたいだな。」
「…永遠に会いたくないのかな?」
母はなんとも言えない顔で永遠を見た。ただ母にもわからないことだっただけなのだが、永遠には手紙にそう書いているのを言えないでいるように見えた。父は少し苦笑して永遠を抱き上げてくれた。
「お見舞いに行こうか。」
「…永遠が行ったら嫌じゃないかな?」
「誠二はそんな厳しいやつじゃないって永遠もわかってるだろう?」
父は不安そうな永遠にウインクをした。
「心配ならお土産を持っていこう。誠二の好きなものをね。」
「うん!!」
永遠は女中頭の朝子に向かって、誠二の好きなものを羅列していく。
「せーじは甘いものが好きなんだよ!異国のケーキを持っていきたい!」
「体調が悪いのに重たいものは良くないですよ。」
「じゃあ果物にする!あと異国の本も持っていく!重たいからダメかな?」
「そういう重たいではありませんよ、姫様。」
騒ぐ永遠の横で母は困った顔をしている。
「私は今日仕事で付き添えないが…。」
「私が行くよ。」
「せっかくの休みだろう?」
「たまにはいいさ。それに高遠家なら問題ないだろう?」
永遠の知らないところで付き添いは父に決まった。
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「九条将軍、それに永遠姫様、ようこそいらっしゃいました。」
出迎えてくれたのは誠二の母である時子だ。誠二とよく似た顔立ちでいつも笑顔の女性だ。しかし、今日はやや暗い顔をしていた。
「ときこおばさん、せーじの体調はどうですか?明日は九条家に来れますか?」
「こら、永遠。気が早いよ。二、三日はお休みかな。」
「あらあら。ありがとう。今朝は熱があったけれど、もう下がってきてるのよ。だけど、本人がとても…元気がなくてね。」
朝子がお土産の果物を差し出す間、永遠はしょんぼりしていた。
「どうしたの、永遠姫?」
「せーじが元気ないの、永遠のせいなの。昨日、せーじ、永遠のこと嫌いって言ってたから。」
「まあ…!でもそれは違うわ!実はね、誠二は昨日、長男の孝一と喧嘩してしまったの。そのせいなのよ。誠二は永遠姫のこと大好きなのよ。」
「…本当?」
「ええ。この後、会ってあげてくれる?」
「うん!」
切ってもらった果物と一緒に誠二の部屋に入ると布団の上で起き上がって誠二が待っていた。
「せーじ!」
「誠二、大丈夫かい?」
「旦那様、お見舞いに来ていただき、ありがとうございます。」
父は「私はすぐに出るよ」と言って本を枕元において時子とともに部屋を出て行った。部屋の隅には朝子が待機している。
「とわもお見舞いありがとう!」
「せーじ、今日は寝てていいんだよ!」
永遠は誠二の肩をぐっと押すと布団に寝かせる。「あ、果物食べる?」と寝ている誠二の口に突っ込もうとしたので慌てた朝子に止められた。
「今日はせーじの好きな異国の本を持って来たんだよ!永遠が読んであげる!」
永遠は異国の本を抱えて、挿絵が見えるように広げた。あっという間に持ってきた本を自国語で読み上げて手持無沙汰になってしまう。
「そうだ!せーじがクリスマスにもらった本も読んであげるよ!」
「あ…、それは…。」
誠二の顔が暗くなったが、そのことに永遠は気づかず、「どこにある?」と誠二の部屋をひっくり返す勢いで探し始めようとした。
「姫様!誠二様は体調が悪いので今日はここまでです!」
「そっか…。せーじ、早く元気になってね!」
「う、うん。」
永遠は朝子に手をひかれて部屋を出た。
「せーじ、思ったより元気だったね!」
「そうですね…。」
父は客間で時子とぼろぼろの本を前に話し込んでいた。
「父上?そのお本はどうしたの?」
「ああ、永遠。」
父は困ったような顔をしている。本は水の中に落としたものを乾かしたのか、ページがしわしわになり、広がっていた。泥の汚れみたいなものもある。
「誠二が元気のない原因だよ。クリスマスに私たちがプレゼントした本だ。」
「どうしたの?」
「誠二の兄の孝一がね、喧嘩中に外に向かって投げてしまったの。昨日は午後から雨がたくさん降ってたでしょう?しかも水たまりの上に落ちたものだから…。」
「そうなんだ…。」
そういえば永遠が誠二にあの本を読もうと言ったとき、浮かない顔をしていたかもしれない。
「もう一冊同じものを買ってあげることはできるが…、私たちからあげても誠二は気を使うだけだろうね。」
「そうね…。私たちが買ってもあの子は嬉しくないでしょうしね…。大好きな奥様たちからもらったのが嬉しかったんでしょうし…。」
父と時子は困ったようにため息をつきあっていたが、永遠は気づいていなかった。ぼろぼろになった本を見て、あれをもらったときに誠二がいかに喜んでいたかを思い出す。
…どうにかしなくては。
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永遠は九条家に帰ると、女中にお願いして大量の半紙と絵具をだしてもらった。
「永遠、今度は何を始めるんだい?」
休暇中の父が熱心にお絵描きをする永遠の手元を覗き込む。
「誠二のお本を作り直してあげるんだよ!」
「え?」
さすがの父も永遠が何をしたいかわからないようだ。
「これがね、せーじのお本の最初だよ!」
そこには少し不格好ながらも青い瞳に白っぽい髪の女性が描かれていた。
「あー、永遠、誠二の本に書かれていた絵を覚えているのかい?」
「覚えてるよ!いっしょに何度も見たもん!」
「永遠は母上に似て頭がいいね。」
父は永遠の頭を優しくなでた。
「文字はどうするんだい?」
「…永遠、文字は覚えてない。」
「さすがにね。」
「だから母上の読み聞かせの内容で書く!」
「それは覚えているのか…。」
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誠二は三日後に母から許可が下り、九条家へとやってきた。初日以来、永遠はお見舞いには来ておらず、会うのは久々だ。
今日は旦那様も奥様も仕事で不在らしく、朝子と永遠が迎えてくれた。珍しく誠二の叔父で旦那様の秘書をしている鳴海もそこにいた。永遠はなにやら分厚い紙束を抱えている。
「せーじに贈り物だよ!」
「贈り物…?」
永遠はちょっと不安げな顔で紙束を誠二に手渡した。表紙には『青いばらの巫女様のお話』と書かれていた。それは先日ぼろぼろになってしまった誠二の宝物のタイトルとして奥様が言っていたものである。
一枚めくると少し不格好ではあるが記憶にあるのによく似た女性の絵が描かれていた。その次も、その次も、記憶にある本の挿絵にそっくりなものが何枚も描かれていた。文字もたくさん書かれており、永遠が一生懸命に書いてくれたのがよくわかる。
「せーじの大事なお本の代わりになるように永遠が作ったんだよ!でもね、お本みたいに綺麗に書けなかったの…。もっと綺麗におぼえてるんだよ?でも綺麗に書けなかったの…。」
永遠はしょんぼりした様子で「ごめんね」と俯いている。
でも、誠二には十分嬉しかった。不格好でも永遠が一生懸命作ってくれたことが嬉しかった。誠二は前に永遠に『きらい』と言ってしまったのに、その後『すき』とは言えていないのに、永遠がここまでしてくれるのが嬉しかったのだ。
「せーじ?」
「ありがとう、とわ。うれしい。」
誠二は永遠お手製の本を抱えてめったに見せない満面の笑みになった。それを見て、永遠も嬉しそうに満面の笑みになる。
「永遠がお金もらえるようになったら本物のお本を買ってあげるからね!」
「いい。僕、これでいい。宝物にする。」
しかし、ふとそこで誠二は真顔になってしまった。
「でも、持って帰ったら兄上にまた水たまりに投げ捨てられるかも…。」
途端に誠二の顔が暗くなった。
「あー、誠二、旦那様に頼まれて誠二の部屋を私の部屋の隣に用意してもらったよ。そこに置いておくといい。」
鳴海はこのためにその場にいたらしい。
「本当ですか?」
「好きな時に泊まっていいとのことだ。もちろん義姉上の許可が出たら、な。」
====
永遠と誠二は今日も今日とて手習いをしていた。題材は先日”ごべんなざい”事件に発展した父と母の名前だ。
「せーじ、見て、書けたよ!」
「僕も書けた。」
永遠が誠二の手元を覗き込むと、そこには父の名前でも母の名前でもなく”永遠”と上手に書かれていた。
「これ、本のお礼にとわにあげる。」
「ありがとう!永遠もせいじの名前、書けるんだよ!」
「とわ、僕ね。」
「なあに?」
「僕、とわのことすきだよ。きらいって言ったのはうそだからね。」
少しもじもじしながらそう言う誠二に永遠は目をぱちぱちさせてから満面の笑みになった。
「永遠もせいじ大好き!」
ーーーー
「誠二は永遠の贈り物を喜んでくれたのかい?」
「はい。姫様には感謝しきれません。」
鳴海の安堵した表情に父と母は苦笑した。高遠家では長男の孝一が次男の誠二に全く謝ろうとしないために時子が鬼になった。
恐怖に負けた孝一は謝罪したが、恐怖に負けてのことだとは誠二にも明らかだ。我慢しがちな誠二が抱え込み、単純な性格の孝一はこれで解決したとけろりとしていた。
そこで誠二の緊急避難先として九条家に部屋を用意したのだ。
「育児って本当に難しいな。」
「奥様にとって難しいならば、完璧にできる人などこの世にいないのでしょうね…。」
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