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しおりを挟む爆発の衝撃で俺たちは気を失っていた。意識が戻って目を開けると、校舎の中庭側の壁は吹き飛び、レストランの中もめちゃくちゃになっていた。もし建物内の席に座っていたら、俺たちは死んでいたかもしれない。実際中に座っていた人たちは血を流して倒れている。あの時旭がテラスのこの席がいいと言ってくれて、俺たちは命拾いをしたようだ。
ノエルは息をしていた。気を失っているだけだった。
よかった。ノエルに何かあったら生きてられない。
「おい!大丈夫か?」
俺はみんなに声をかけた。
「…う…う~ん…。」
みんな気がついた。
たいした怪我も無さそうだったので安心した。
「…なんかすっげーリアルな夢見てた。乃海とノエルと…安藤先生が出てきた…。」
類が寝ぼけた声で言った。
「私も見たよっ!乃海が戦争で死ぬんだよね!ノエルも爆弾が落ちて…吹き飛ばされて…多分死んだよね…。安藤が…!」
旭はそう言いかけて安藤の方を見た。
安藤は頭を抱えて俯いていた。
「もしかして、みんな同じ夢見てた?」
俺が聞くと、皆は頷いた。
「ノエルが働いていた軍需工場みたいなとこ…多分ここだよね?校舎は建て変わってるし、ここから見える市街地もだいぶ変わってるけど、面影残ってる!絶対ここだと思う!」
旭が言った。
「あの夢、私たちの前世なんだと思う。」
ノエルが言った。
「うん。確かにそんな感じだった。」
旭がそう言った。
その時、安藤が立ち上がってその場を離れた。俺たちのいる場所から離れたベンチに座って頭を抱え込んでいた。旭はそんな安藤をしばらく見てから、安藤のいるベンチへ行き、横に座った。
「俯瞰して見ないと、自分の行動がどうだったかって、意外と自分じゃわからないもんだよね…。」
旭はボーっと上を見上げて言った。
「俺は…俺はそんなに酷いやつだったのか…。」
安藤は頭を抱え込んだまま俯いて言った。
「安藤さー、パンダ見たことある?」
安藤は俯いたままだったが、旭はお構いなしに一人で話した。
「私さー、あるパンダファミリーの話読んで、人生観変わったんだけどさー。パンダって絶滅危惧種じゃん。だからとりあえず数を増やさなきゃいけないから、人工授精したり、産まれた貴重なパンダを死なせちゃいけないから人口保育をするのが普通だったんだって。でもね、そうやって育ったパンダって、子作りしなくなったり、子供が生まれても育児放棄したりするようになるらしいんだよ。だけど、和歌山のある動物園は、パンダに自分の子の育児をさせるようにしたんだって。そしてある程度大きくなるまでお母さんの愛情をたっぷり受けて育つようにしたの。そうやって育ったパンダは自然に子作りしたり、育児放棄もしないで子供を育てるようになるんだって。」
旭はパンダを思い浮かべながらウットリして言った。
「…何が言いたいの?」
安藤は旭を睨んで言った。
「世界が続いていく動力は…。」
旭は安藤の目をしっかり見た。
「愛なんだ!」
旭は自信に満ちて言った。
「…と、パンダから学んだ!」
安藤は呆れたように笑った。
旭も一緒になって笑った。
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