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しおりを挟む加奈は隅の方にちょこんと座って、ただニコニコみんなの話を聞いているだけだった。
「いや、マジで! 俺見たんスから!」
この飲み会を企画してくれた不動産会社の武本君は、自分が担当した事故物件の話をして女の子たちを怖がらせていた。
加奈は怖がる態度を見せつつも、空いた皿をまとめたり、店員が持ってきた料理を取り分けたり、テキパキと動いていた。
僕はその時、めずらしく飲みすぎてしまって、みんなの話が頭に入ってこなかった。
ボーっとうつろな目でただみんなを見ていると、無口だけど気配り上手な加奈の姿がやたら印象深かったのを覚えている。
途中、トイレに立って戻ってくると、席替えされていた。
空いている席を探して座ると、隣が加奈だった。
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