38 / 72
38
しおりを挟む「まぁね、今回はちょっと度が過ぎたかなとは自分でも反省してる…。だけどあんた男でしょ! それぐらい受け入れなくてどうすんのよ! あれだけサキ~サキ~って私のこと追い掛け回してたくせに!」
サキさんはドヤ顔で自慢げに言った。
―ヒロキ…好きになったら、追い掛け回したりする人なんだね。けっこう情熱的なんだね。知らなかったな。私は…そんなことされたことないな。
自分との差を思い知らされて悲しくなった。
「あんた、仕事何してんの?」
サキさんは、急に話を変えた。
「わ、私ですか? 私は…その…占い師をしています。」
「はぁ? 占い師? あんた、どこの大学出身なのよ?」
サキさんはあからさまに見下すような態度で私を質問攻めにした。
「…大学は…行ってないです。地元の高校を出てから占いの仕事をしています。」
高圧的にこういう質問をされて、なんだか自分が惨めな気分になってきた。
「どうせ資格とかも無いんでしょ? あのね、ハッキリ言っとくけど、あなたのような人じゃヒロキをサポートなんか出来ないの。ヒロキの仕事の事、なぁ~んにもわかんないでしょ?」
サキさんは私をからかうように言った。
「何さっきからタヌ子に失礼なこと言ってるんだよ! タヌ子は俺をめちゃくちゃ支えてくれてるよ! 仕事だって手伝ってくれて、どんだけ助かってるか! タヌ子がいると、本当に安らぐんだ。どれだけ癒されてるか!」
ヒロキが私をかばってくれた。嬉しくて目がウルウルしてきた。
「タヌ子~? 今、あんた、この子の事タヌ子って言った? ウケル! タヌキって事? ま、目が垂れてるとこが似てるかな? ポケーっとしてる感じだけど、まあけっこう顔は悪く無いんじゃない? 遊びの女だってのは分かったけど、あんまりそういう事続けると、この子にも悪いじゃない。さっさと荷物まとめさせて帰らせてあげなさいよ。」
サキさんはヒロキにそう言った。
「タヌ子は遊びの女なんかじゃないよ!」
ヒロキはサキさんに怒鳴った。
「じゃあ、何なのよ!」
サキさんはものすごい威圧感でヒロキに問い詰めた。
ヒロキは少し考え込んでいた。
「何…って…それは…それは…。」
ヒロキは最後まで私の存在をハッキリさせようとしなかった。
「ほら! 単なる同居人って事でしょ!」
サキさんは勝ち誇った。
―もうダメだ。終わりだ。眩暈がする。吐き気がする。心臓がドクドクいって破裂しそう!
苦しいよぅ…。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
人生前のめり♪
ナンシー
ライト文芸
僕は陸上自衛官。
背中に羽を背負った音楽隊に憧れて入隊したのだけれど、当分空きがないと言われ続けた。
空きを待ちながら「取れる資格は取っておけ!」というありがたい上官の方針に従った。
もちろん、命令は絶対。
まあ、本当にありがたいお話で、逆らう気はなかったし♪
そして…気づいたら…胸にたくさんの記章を付けて、現在に至る。
どうしてこうなった。
(…このフレーズ、一度使ってみたかったのです)
そんな『僕』と仲間達の、前向き以上前のめり気味な日常。
ゆっくり不定期更新。
タイトルと内容には、微妙なリンクとズレがあります。
なお、実際の団体とは全く関係ありません。登場人物や場所等も同様です。
基本的に1話読み切り、長さもマチマチ…短編集のような感じです。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
流星の徒花
柴野日向
ライト文芸
若葉町に住む中学生の雨宮翔太は、通い詰めている食堂で転校生の榎本凛と出会った。
明るい少女に対し初めは興味を持たない翔太だったが、互いに重い運命を背負っていることを知り、次第に惹かれ合っていく。
残酷な境遇に抗いつつ懸命に咲き続ける徒花が、いつしか流星となるまでの物語。
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかし、正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる