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「…マジで! 美咲、よく我慢してたよね! 何で言わなかったの?」

「うん…まあ、一緒にランチ会するママ友だし、グループの関係が悪くなるのも嫌だったから…」

「私だったら即友達辞めてるわ…。てか遥、美咲をバカにしすぎじゃない?」

「そうだよね…」

「美咲も舐められないようにしなよ! う~ん、そうだな…まず外見から変わった方がいいのかもね…」

「え…?」

「だって美咲…いつも飾りっけないし、なんか生活に疲れてる感じ漂ってるじゃない。女ってマウンティングする生き物だから、美咲のそういうとこ見て遥も見下してるところあるんじゃない?」


 …は? あんた何様? 不倫した人にそんなことえらそうに言ってほしくないわ…


「ジム通ってダイエットするとかさっ。私が通ってるとこ紹介しようか?」

「…とりあえず、お言葉だけありがたくいただいとくわ…。ごめん、私そろそろ行かなくちゃ。じゃ、またね。」


 里香の無神経な言葉にモヤモヤしながらも気を取り直して電車に乗った。

向かった先は、最近話題の洋菓子屋。テレビで見て食べてみたいなと思いつつも、値段の高さにいまだ買ったことはない…。美穂のお返しを兼ねて奮発しようと思ったのだ。

自分の家の人数分のケーキと、美穂の家の人数分のケーキ。それだけではとても釣り合いそうにないので焼き菓子も買った。

それでもきっとあの海鮮盛り合わせの方が高いことはわかっているが、まあ恥はかかないだろう。

けっこうな量になってしまったお菓子の包みを持って美穂の家へ向かった。



「あらー、どうしたの急に?」

「これ、最近テレビで話題の店のお菓子なの。ついでがあったから美穂にも食べてもらおうと思って…。この前、すごいお土産ももらっちゃったし、お礼って言うか…」

「あ! ここ、有名店じゃない? 高かったでしょ? お礼なんていいのよぉ。旅行いったついでに私が勝手に送っただけなんだし。

見返り期待したわけじゃないのよ。そんなことでいちいちお礼なんてしてたら破産しちゃうわよ!

 美咲のとこマンション買ったばかりでこれからローンも大変でしょ? ほんとに気を使わないで! 勝手にやってることなんだから!」




 勝手にやってるって…
 
 お返ししてたら破産するって、うちの経済事情考えてくださってるわけ?
 
 ローン抱えた可哀そうな友人に慈善活動でもしてる気分なの?

 貧乏人はもらうだけもらっといてお返しする権利は無いということですか…




 吐きそうだ!

 吐きそうだ!

 吐きそうだ!



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