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7 それは残酷過ぎる現実と無償の愛だった…。ナビ最終章。今、全ての謎が解き明かされる。

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 大学に着くと、設楽教授はすでに待っていて、職員用の駐車場に車を誘導してくれた。
「不破君、久しぶり。」
「お久しぶりです、教授。」
「元気そうでなによりだ。お兄さんの方は今日が初対面だね。何度もやり取りはあったけど。」
「いろいろありがとうございました。」
「じゃあ、さっそく案内しよう。こっちへ…」


 教授は自分の研究室では無く、大学の端にある倉庫のような建物に僕らを連れて行った。そして扉を開けるとそこは全く使われていないようなホコリを被った道具がたくさん放置されてあった。

 こんなとこで理人はいったい何をしようとしているんだ…。

「不破君! 外に誰もいないか確かめてドアに鍵をかけてもらえるか?」
「は、はい!」

 僕は扉をそっと開けて外を見回した。怪しい人影は見当たらなかった。僕がドアの鍵をかけるのを見届けると、教授は奥の方に置いてあった折り畳み椅子を入れてあるキャスター付きの大きな箱を移動させた。

 理人と僕もそれを手伝った。箱を何個かどけると、地下収納のような扉が現れた。教授は鍵を取り出し、その扉を開けた。扉が開くと同時にホコリが舞った。僕がせき込んでいると、教授と理人はすでにその下にある階段を下りていき、僕にも早く来るように言った。

 …何だ…ここ…。

 倉庫の地下にはかなり高度な装置がたくさん置いてある研究室があった。見たこともない機械がたくさんある。そして部屋の真ん中には透明の大きな水槽があって、中に泡がたくさん出ている赤い液体が入っている。その水槽を囲むように機械があって、天井にもなんらかの装置がある。

「じゃあ、僕はこれで失礼するよ。」
設楽教授が言った。
「教授、一緒に何かするんじゃないんですか?」
これから行われる内容が全く分からない僕は、てっきり教授も一緒にいるのだと思っていた。

「僕はこの件に関して、ここまでしか関われない。後の事は、君たちのお父さんと協力して手伝わせてもらうから!成功を祈っているよ。」
「設楽教授、ありがとうございました!」
理人が頭を下げた。設楽教授は僕に鍵を渡すと、何か訴えるように僕の目を見て、そして去って行った。

「ねぇ、これから何が始まるんだよ! そろそろ俺にも教えてくれてもいいだろう?」
僕は理人に訴えた。
「…そうだな…そろそろ…その時期だな…。」
理人の目は悲しそうだった。今にも涙が零れ落ちそうだった。
「…実は…」

「私から言うわ!」
懐かしい声がした。振り向くと、さっき僕が通り抜けた瞬間時空移動装置が現れて、極彩色の世界から奈美が現れた。
「奈美!」

 奈美は装置から出てくると、いきなり僕たちに抱き着いた。彼女は僕たちに回した腕にギュっと力を入れて、長い間無言でそうしていた。

「頼人も最近世界がおかしいなって、気付いていたんじゃない?」
「…え?」
「世の中、どんどんネガティブになっていってるでしょ?」
「う、うん…。それが何か関係あるの?」
「これは故意に操作されているの。」
「故意に操作って…誰が…?」
「悪者が!」

 奈美はそう言ってフフっと笑った。理人も苦笑いをしていた。
「なんだよまた二人で! いつまで俺だけ蚊帳の外なんだよ!」

「最初は人だった…それから同じ意識を持つ人々が集まって組織になった。そして今、人工知能が世の中をその方向へ導いてる。ものすごく広範囲に信じられないようなスピードで…。」
「それって…陰謀説みたいなもんなの?」
「説じゃ無くて、現実だよ。」

 真顔でそう答える奈美を見て、やはりいろんなところで修行してたらしいから、変な宗教にでも捕まって洗脳されたんじゃないかと思った。

「で、世界がネガティブになるとしたら、何か問題でもあるの?」
「…地球が真っ二つに割れちゃう。」
「は? 嘘だろ絶対。てか、住むとこ破壊されるんだったら、その悪者たちだって困るじゃないか!」

「洗脳されてる人間は、その日が来たら初めて自分たちがやったことに後悔するだろうけど…一番後ろにいる連中は、実態を持たないから、ここで吸い尽くすだけ吸い尽くしたら、別の星に移動して、また同じ事をするのよ。やつらはネガティブなエネルギーを食べるエナジーバンパイアだから。」

「…なんだ…それ…」

「とにかく、私たち三人は、それに抗う為にこの星に生まれようって約束したの。地球が壊れないように、人類がネガティブな方向へ落ちてしまわないように、人々がもともと持っている優しい気持ちを取り戻すために、私たちは私たちの全てを使って手助けをするの! …頼人! あなたが思い出せないのも理由があるからなのよ。あなたは最後までこの約束を遂行するためにわざと思い出せないようにしたの。」

「俺が…最後まで…って、じゃあ、奈美と理人は途中でやめるの?」
僕がそう聞くと、二人はとても悲しそうな顔をした。
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