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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
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しおりを挟む「あの男さ…本当に心当たり無いの?」
「見たことも無いですっ!」
「そう? たまたま僕が通りかかったからよかったけど、あのままどこかに連れ去られてたかもしれないよ。あんな人通りの多いところで、知り合いでもない人間があんなことするかな…。」
「それもそうですよね…。」
その時私は思い出した。
“ちょっと面倒なのが来るかもしれないけど、スルーしといてくれればいいから…”
そう言えば夏子が言っていた! その面倒なのっていうのがあの男の人って事? 私は真相を確かめるべくスマホを取り出し夏子にラインを送った。
「…何してんの?」
「今、あの男の正体を確かめています!」
「訳わかんないな、最近の君は…」
尚之さんは夜景を見ながら一人またワインを飲み始めた。
「あっ! 来た!」
夏子から返信がやって来た。
夏子(やっぱりアイツ来たのね。)
私(誰なの? あの人! 私、今日車に引きずり込まれそうになったんだよ! 尚之さんが助けてくれたからよかったものの…)
夏子(尚之が助けてくれたの? ほんとに?)
私(尚之さん、すごくいい人じゃない! 離婚なんて考えなおしたら?)
夏子(あいつ、そんな事まで話したの!)
私(話しややこしくなるから、その事は今度話をしよう。それよりもあの男よ!)
夏子(あいつはさ、結婚前に付き合ってたやつよ。もうしつこくって…。完全にストーカーなの)
私(あの人、夏子にすごく執着してたよ! 酷い別れ方でもしたんじゃないの?)
夏子(そんな事無いわよ。別にそこまで好きだったわけじゃないし。あいつより尚之の方がいい物件だったから乗り換えただけじゃん。)
私(そんな、人を物みたいに!)
夏子(あいつ、頭おかしいのよ。別に私がねだった訳でも無いのに次から次に高価なプレゼントよこしてさ、デートも高いとこばっか連れてってさ、そんで私からフラれたから、その代償をよこせって。あんたが好きでやったことでしょーがってのよ。)
私(それ、尚之さん知ってるの?)
夏子(知る訳無いでしょ。そんな事話したら尚之は私と結婚しなかったよ。)
私(尚之さんにその事話してもいい?)
夏子(いいわよ…。どうせもうすぐ別れるんだから。)
ラインはそこで終わった。夏子は忙しくて私とラインをしている暇など無いとの事だった。あれ? 夏子って、私と入れ替わってるんだよね…。私、そんなに忙しい状況になってるの?
「あの…わかりました…」
尚之さんは視線をゆっくりこちらに向けた。
「あの人…私が結婚前に付き合っていた人で…その…私に恨みをもっているようで…それでストーカーになっているようです…」
「…だろうね。」
「知ってたんですか?」
「会社に何度も変な男から電話があったからね…。もしかしてって思った。」
「…なんか…すみません…」
夏子、何でそんなタチの悪い男とつきあったんだろう…。私が悪い訳じゃないけど、散々迷惑をこうむってきた尚之さんを前にすると罪悪感が込み上げてきた。
「まあ、これでハッキリしたから警察に被害届だしておくよ。良かった。君が白状してくれて。今まで聞いても絶対に認めなかったからな…」
「…そうでしたか…」
レストランを後にしてタクシーでマンションへ向かった。さっきの話が尾を引いて、何となく話しづらい雰囲気だった。無言で車に乗っていると、ワインで寄っているせいもあってうつらうつらしてきた。そしていつの間にか爆睡してしまった。
「…僕たちもう一度やり直さないか?」
「尚之さん…」
「正直、君との結婚は間違いだったって思っていた。結婚後に豹変した君を見て、どれだけ後悔したか!」
尚之さんは苦虫を噛み潰したような顔で吐き出した。
「だけど…今の君は全然違う。僕が求めていた女性だ! 僕は同じ女性に二度恋したんだ! いや、最初は騙されていた。しかし今は本物だ!」
「尚之さん…私もあなたが好き! だけど…ダメなんです。私はあなたとは一緒にいられない!」
「どうして?」
「だって…だって…私は…菜々子だから!」
「菜々子だからぁ~!」
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