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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
16 夏子→菜々子
しおりを挟む事故の衝撃で、何故か私は菜々子の体に入れ替わってしまった。こんな漫画のような事がまさか自分の身に降りかかるとは思ってもみなかった…。しかし何で私がこんな地味な女にならなければならないの!
「姉ちゃん、検査の結果は異状なかったって。しばらく自宅で様子見してくださいって先生言ってたよ。」
扉を開けて私の病室に入って来たのは、菜々子の弟、大輝だ。しょうがない…菜々子のフリをするか…。
「私、帰っていいの?」
「うん。家に帰ってもしばらく安静にしてくださいって。」
大輝という子はとても優しく、私の身を気遣って荷物も全部持ってくれた。なかなか躾が行き届いている。出口に向かって大輝と歩いていると、前から息を切らせた小太りの男が走ってきた。
「鈴原さんっ!」
自分の事を呼んでるって気付かなくてスルーしたら、大輝が肘でつついて私に目配せをした。え…この小太り、私の事を呼んでいたのか…。そういや、菜々子の苗字、鈴原だったわ…。
「…どちら様?」
「ちょ、ちょっとぉ~鈴原さん~、冗談は勘弁してよぉ~」
「すみません! 姉は頭の打ちどころが悪かったようで、記憶障害を起こしているんですよ。」
大輝がすかさずフォローした。
「そ、そうなのっ? 大変じゃない! 歩いて大丈夫なの? 僕、車椅子持ってこようか?」
「大丈夫です。検査したけど異常は無かったようですし、大輝もいるし。」
「異常無かったの…。良かった~。心配したんだよ~! ぼ、僕、車回してくるから出口で待ってて!」
小太りはそう言って走り去っていった。
「誰? あの小太り。」
「姉ちゃんの会社の社長だよ!」
「あ、そう。っぽくないね…。」
「…。」
大輝もそれは認めたようだ。
「大輝! 焼肉でも食べに行くか!」
「えっ? 姉ちゃん、大丈夫なの? 給料日まだ先だよ。」
「快気祝いにあの社長に奢ってもらおう! 大事な社員が事故ったんだから、お見舞い代わり、そのくらいしてくれるでしょ!」
「マジで~! 送ってもらう上にご馳走させるなんて悪いよ~!」
大輝はそう言ったが、社長に話を持ち掛けると彼は快諾した。頬を赤らめてウキウキしてるぞ! なんだ。コイツ、もしかして菜々子に気があんじゃない?
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